
まるでドラマか漫画のワンシーンかとも思える救出劇がありました。
保護団体・Delacroix Dog Ranchのメンバーがたまたまプライベートで運転していた際のこと。団体メンバーの前を走るトラックがゆっくり左折しようとしていました。しかし、その左折の仕方がなんかヘンです。何かを避けるようにしながらの左折です。「何か障害物か大きなゴミでもあったのか」と思ってぼんやり見ていると、トラックが避けた場所になんと子猫の姿が……。
団体メンバーは慌てて近くにクルマを停めて、全速力で今にも轢かれそうだった子猫のもとへ。付近を通行中のクルマにも大きく手を挙げて停まってもらい子猫を抱き抱え、無事に救出に成功しました。
生まれて3週間ほどの子猫だった
しかし、車道の真ん中に小さな子猫がいたということは、親猫やきょうだい猫も付近にいる可能性があります。団体メンバーはしばし、付近を見渡したものの見つけることができなかったため、救った子猫をそのまま連れ帰り、すぐに動物病院へ。
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獣医師の診断によれば、生まれてまだ3週間ほどの子猫だとのこと。生まれてまもなくして彷徨い続けていたのでしょうか、かなり痩せています。救いだったのはよく鳴き、食欲も旺盛だったこと。
また、ノミ・ダニ・ゴミが体中についていて、全てを取り払って繊細な健康診断を行いましたが、いずれも命にかかわるような重篤な持病などはなく、この先たくさんの栄養を取れば健康体を取り戻すとのこと。救った団体メンバーはホッと胸を撫で下ろしました。
「いっぱい食べて大きくなってね」と「ごはん」と命名
その後、体を洗ってあげましたが、ここで見違えるほどに美しい姿に大変身。生まれたばかりということもあり、毛がフワフワ。ずっと触れていなくなるような美しい子猫になりました。
猫好きの誰もが目を惹くグレーハチワレにユニークな腹巻き柄もチャーミングでとってもかわいらしい子猫です。
団体メンバーは子猫に「ごはん」という名前をつけてあげ、前述の獣医師の助言に従い、まずはたくさんの「ごはん」を食べてもらうことにしました。
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その願い通り、子猫は気持ち良いほどにモリモリとごはんを食べまくり、当初は浮き出ていた肋骨周りにもモリモリとお肉がつき始めました。
また、生まれたばかりで先入観などが育っていないからか、どんな環境でも特に怯える様子もなく、初めて会う人間、他の猫に対しても警戒心を抱いたり、攻撃的になったりすることもなく、社交的な一面も見せてくれるようになりました。
半面、ひとりぼっちにされることがとにかくイヤな様子で、ケージにいれると「出せ出せ! ニャーニャー!」とかわいい声で訴えて来ます。これもまたごはんのかわいい仕草の一つです。
ついに「うちにおいで」の声が!
さらに成長を遂げたごはんは、初めて見るモノ全てに興味を持ち、部屋中を体力の続く限り天真爛漫に走り回るようにもなりました。
有り余る元気と好奇心発揮しまくりのごはんでしたが、程なくして「うちにおいで」の声が。優しそうな里親希望者さんからの声で、ごはんはここで正式譲渡となりました。以降、里親希望者さんの元で、いっさいの不安のない幸せな猫生を送っているそうです。穏やかなごはんの生活を見聞きした団体メンバーは「あの日、救うことができて本当に良かった」と目を細めました。
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(まいどなニュース特約・松田 義人)