母子殺害無罪、元刑務官が敗訴=国と大阪府の賠償認めず―地裁

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2025年07月18日 15:31  時事通信社

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時事通信社

大阪地裁
 大阪市で2002年、義理の娘=当時(28)=とその長男=同(1)=を殺害したとして殺人罪などに問われ、17年に無罪が確定した元刑務官の男性(67)が国と大阪府に計約1億2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、大阪地裁であり、三村憲吾裁判長は請求をいずれも棄却した。

 事件では、現場付近で見つかったたばこの吸い殻のうち男性のDNA型と一致した1本以外の71本を、起訴後に府警が紛失した。男性側は、府警と検察が紛失を隠蔽(いんぺい)し、男性の防御権を侵害したと主張していた。

 男性は陳述書で、約9年にわたる身体拘束について「筆舌に尽くし難い苦痛を負い、人生そのものを台無しにされた」と批判。刑務官だったことを踏まえ、拘置所での生活を「惨めで、つらくて、恥ずかしくて、悔しい経験だ」と訴えた。

 国側は、吸い殻による立証が不可能でも新たな立証によって有罪判決があり得る状態だったと反論。府側は、紛失した吸い殻について厳重な保管義務があったとは言えないとして、請求棄却を求めていた。

 男性を巡っては一審大阪地裁が無期懲役、二審大阪高裁は死刑を言い渡したが、いずれも最高裁が破棄し、審理を地裁に差し戻した。差し戻し審で無罪となり、高裁でも維持され確定した。 
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