JRPの定例会見『サタデーミーティング』に登壇した近藤真彦JRP会長 7月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6・7戦が行われている静岡県の富士スピードウェイで、JRP日本レースプロモーションの定例記者会見『サタデーミーティング』が開かれ、近藤真彦JRP会長、上野禎久JRP社長が登壇。このなかで、前日に第1回の会合が行われたという日本自動車会議所のモータースポーツ委員会について触れられる一幕があった。
■「モータースポーツを日本の文化にしようじゃないか」
6月10日に豊田章男トヨタ自動車会長が新たに会長に就任した同会議所は「クルマをニッポンの文化に」というキャッチフレーズを掲げているが、このたびモータースポーツ委員会が新設され、富士スピードウェイホテルで行われた初回の会合にはJAF(日本自動車連盟)やスーパーGT坂東正明代表など各モータースポーツ統括団体/プロモーターや自動車メーカーなどが出席したようだ。
「会の趣旨は、業界全体でこのモータースポーツ業界を活性化させていこう、と。加えて、自動車業界の一員として、『クルマをニッポンの文化に』というキャッチフレーズを、モータースポーツの側面から頑張れないか、という活発な議論がありました」と上野社長。現在業界が抱える課題などをメーカーやカテゴリーの垣根を越えて、ともに解決するための建設的な議論がかわされたという。
近藤会長は補足として「日本のモータースポーツは、スーパーフォーミュラだけ、スーパーGTだけが盛り上げればいいというものではない。全体で盛り上がっていかないといけないという旗振りを、章男会長がしてくださいました」と説明する。
「昨日集まったメンバーは、JRPはもちろん、スーパー耐久や、スーパーGTの坂東さん、2輪の方やJAFの方も来られました。これだけ日本のモータースポーツに関係する方たちが一堂に集まってミーティングをして、会食をしたということはいままであまりなかったんじゃないでしょうか」
近藤会長はモータースポーツ委員会の意義について、参加する各企業/団体の間での『横のつながり』をとくに強調。「この会合で、横のつながりを強めていって、会長のおっしゃる『クルマをニッポンの文化に』と同じように、『モータースポーツを日本の文化にしようじゃないか』という第1回のミーティングでした。非常に前向きで、将来性のあるミーティングをさせていただきました」と報告した。
今回の会見では来季以降のカレンダーに関する質問も挙がったが、モータースポーツ委員会によって横のつながりが強化されることにより、現状“限られた週末の奪い合い”という側面も感じられる各カテゴリーのカレンダー決定が、今後はよりスムーズになることも期待されると近藤会長は言う。
「いままでは少し、距離が離れていました、スーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、そして2輪や世界選手権、と」
「それが昨日みたいな会合のなかでは、『みんなで、これから丁寧に話し合って行こうよ』という話になったりして。だから今後は横のつながりを活かして、スムーズに……今までは『そこ(の週末)はウチが欲しい』『あそこはウチが欲しい』みたいなやりとりだったかもしれないけど、そのあたりもうまい話ができるような、そういう関係ができたのではないかと思います」
モータースポーツ“文化”という側面については、自身が長く身を置いてきた音楽業界の現状を引き合いに出し、近藤会長は次のようにも語った。
「20年くらい前、韓国のテレビ局の音楽ステージの舞台裏を見たことがありまして。つい最近、韓国に行ったらそれがガラっと変わっていて、個人的には『日本のエンターテインメント、逆転されたな』というのを肌で感じて帰ってきました。すぐに日本のテレビ局に行き、知り合いに『このままじゃダメだよ、もっと勉強しよう』と言ったくらいです」
ちなみに近藤会長といえば、KONDO RACINGの監督として6月には6年ぶりにニュルブルクリンク24時間レースに参戦。そこでも、日本のモータースポーツ界が抱える課題を認識させられたという。
「技術的には日本と同じくらいなのですが、やはりメカニックであったり、エンジニア、オーガナイザー、そしてお客さんもそうですが、『考え方』が日本とはちょっと違うものがあります。だから真似して欲しい、とは言わないですが、そういった部分で日本独自で物事を進めるのではなく、やっぱりちょっと海外に目線を置いて、レースのビジネスだったり、エンターテインメントをやっていくべきだなというのが、ここ2〜3年は勉強になりました」
委員会の設立と第1回の会合により強化された『横のつながり』が、今後の日本のモータースポーツ文化の発展にどう寄与していくのか、注目したい。
[オートスポーツweb 2025年07月19日]