ネグレクト?「体中が毛玉のワンコがいる」と保護団体に通報 譲渡をめぐる交渉も「手放します」「お迎えに来ました」飼い主の言葉は二転三転した

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2025年07月19日 17:40  まいどなニュース

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長期間、適切なお世話を受けてこなかったことが丸わかりのむっちゃん

宮崎県を拠点に犬猫の保護活動を行う団体、咲桃虎(さくもんと)のもとにある地域でワンコのトリマーをする方から相談が寄せられました。

【写真】毛玉をカットしてもらっている間のむっちゃん

「初めてのお客さんから預かっている『むっちゃん』というワンコがおり、ひどいネグレクトを受けていそうだ。体中毛玉だらけで、こんな状態のワンコは見たことがない。なんとかして助けてあげられないか」というものでした。その連絡と合わせて送られてきた画像には、体中毛玉だらけで、明らかにお世話を受けていなそうなボロボロのワンコの姿が。

団体の代表は迷うことなく、このワンコの保護を決意。飼い主の連絡先を聞き出し、まずは電話で譲渡の交渉をしました。

「いやいや大事にかわいがっています」

実は、保護活動の中で、この交渉は第一関門。なぜならば、第三者から見れば明らかに「ネグレクトだ」「虐待だ」と思われても、当の飼い主が「いやいや大事にかわいがっています」「ナンで第三者のあなたにとやかく言われなければいけないんですか」として拒絶すれば、本来の目的である辛い思いをしているむっちゃんを救い出すことができなくなってしまうからです。

そのため、団体メンバーは今回の飼い主にも慎重に、そして丁重に譲渡の交渉を持ちかけましたが、案の定飼い主が激昂。

「何故見ず知らずのアナタに、うちの子を譲渡しなければいけないのか」「自分はうちの子をとてもかわいがっている」の一点張り。結果的には電話をブチっと切られてしまいました。

トリマーさんのところに行き連れ帰ってしまった飼い主

そこで団体メンバーはその飼い主のもとに直接向かうことにし、そして警察や保健所にも協力を要請。「そのワンコの状態は、どう考えてもネグレクトである」という客観的な評価と合わせて保護したいと願ってのことでした。

残念なことに警察は現場に同行してくれませんでしたが、保健所の職員が来てくれました。

「ここで、飼い主と対面して譲渡の交渉」と思った団体メンバーでしたが、ここで想像していなかった事態が起きます。なんと飼い主が前述のトリマーさんのところに行き、むっちゃんを無理やり連れて帰ってしまったと言うのです。

衝撃的な事態ですが、諦めるわけにもいきません。トリマーさんとも連動し改めて飼い主の元へと向かいました。

飼い主の家に着くとこれまた意外な展開が。なんと、飼い主に対し、近所の方が「かわいそうすぎる。これは『飼っている』とは言えないのではないか」と涙ながらに飼い主に迫っていました。

それでも拒絶し続ける飼い主でしたが、団体メンバー、保健所職員も説得に加わると、態度を一変させました。そこで飼い主は一言こう言いました。

「自分の認識が甘かった。もう飼わない」

再び訪れた飼い主は「むっちゃんをお迎えに来た」と一言

それまでの抵抗が嘘のようにあっさりと譲渡を承諾。言い訳めいたことを並べてはいたものの、それでもむっちゃんを手放してくれることになりました。

改めてトリマーさんにケアをお願いし、毛玉をカットしてもらいました。あまりにも毛玉が固まっており、ワンコは痛がる様子も見せましたが、なんとか体が綺麗になりました。

「良かった。これで連れて帰れる」と喜ぶ団体メンバーでしたが、ここでさらに信じがたいことが起きます。

なんと、飼い主がトリマーさんの元を再び訪れ、むっちゃんを「お迎えに来た」と言うのです。

団体に譲渡した話などを改めて伝えても「は? 誰の話?」と飼い主は驚いています。

ここまでやりとりや態度からして、飼い主は「若年性アルツハイマーではないか」という疑いが強まりました。仮にこういった精神疾患があったとすれば、飼い主自身は「ワンコに話しかけて抱っこして、いつもかわいがっていた」と主張するのも「手放したくないがゆえの嘘」ではなく、「本当にそう思っている」のではないかとも見受けられました。

やっと団体に保護され幸せな第二の犬生へ

さらにむっちゃんの保護へのハードルが上がった気がしましたが、しかし、ここで改めて根気強く説得。ようやく飼い主は手放す約束を結んでくれました。

後にむっちゃんは団体に迎え入れられ、たっぷりの愛情と適切なケアを受けて、幸せな第二の犬生につながりました。「うちの家族になって欲しい」と名乗りあげてくれた方は、東京から団体がある宮崎まで車で迎えに来てくれました。今では遠く離れた東京で、幸せいっぱいの甘々な日々を送っているそうです。

人はいつどのような状況に陥るかわかりません。動物を迎え入れる際には慎重の上に慎重を重ねて決断すべきだと改めて思いました。

また、今回のようなネグレクトなどの疑わしい状況にいるワンコ、あるいはワンコの異変などに誰かが気づいた際、さらに効率良く飼い主に迫れるような効率的な仕組みも必要だとも思いました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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