ダンディライアンのトンネルは続く? 「明日は大丈夫」と自信見せる太田格之進、対照的な牧野任祐

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2025年07月19日 21:20  AUTOSPORT web

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太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 2025スーパーフォーミュラ第6戦&第7戦富士
「結果的には『喧嘩両成敗』みたいになりましたね」

 7月19日に富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の終盤、2度に渡って繰り広げた小林可夢偉(Kids com Team KCMG)との接近戦の攻防を、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はそう振り返った。

 ピット作業直後の太田と可夢偉がダンロップコーナーでサイド・バイ・サイドとなり、行き場を失ったアウト側の太田はエスケープゾーンへ逃げる形に。

 これで太田は「スイッチが入った」。

 数周後に追いつくと、太田は最終パナソニックオートモーティブコーナーで7号車のインに飛び込み、両車接触。太田の6号車は走行を続けたが、可夢偉はタイヤにダメージを負い、ピットへと向かった。競技団の判定は、ダンロップコーナーでの行為に対して可夢偉に黒白旗、最終コーナーでの行為には太田に黒白旗。太田の冒頭の発言は、これを指してのものだ。

「あとで可夢偉さんに会ったら『すみません』と言おうと思っています。結構、微妙かなと思いますが……お互い様、という感じではないでしょうか」


■予選Q2では「チャレンジした」結果の4輪脱輪

 良くない流れは、朝の予選から始まっていた。Q1A組は、4番手で通過。Q2のアタックでは、太田はポールポジション獲得を目指して攻めの組み立てをしていた。

「セクター3はずっと速かったんですけど、セクター2があまり速くなかった。ポールを獲るなら、セクター2をちゃんと取りに行かなきゃいけないと思った」という太田はセクター2を攻めるも、リヤのグリップを失ってしまう。

「兆候は常にあったのですが、(攻めて)いってみたらそうなってしまって、飛び出して。だから4脱(走路外走行でタイム抹消)はチャレンジした結果なのでしょうがないのですが、残念ですし、まだ解決策を見つけきれていないので、明日(第7戦)の予選も若干心配なところはありますね」

 これにより12番手スタートで迎えた36周の決勝は、手応えと課題の両面を実感する内容となったようだ。

「ペースはすごい良かったと思うし、前のクルマにスタックした状態で(ピットインを)引っ張ったんですけど……スタックさえしていなければ、もうちょっと上にいけたと思います。とにかく僕たちはストレートスピードがなくて。セクター3ではすごく追いつくし、1周のペースでは速いんだけど、ストレートで抜ききれないというか、横にも並べないような状況がずっと続いて、そこは明日に向けて解決策を見つけるのが急務かなと思います」

 第6戦は10位、わずか1ポイントの獲得となった。

 太田は第7戦の展望として、「予選で3番手以内に入れたら……いけるかな、という感じ」と単独走行でのレースペースには好感触を得られているようだが、直線スピードがないことで、レースで競り合いの状況に持ち込まれた場合には課題が残る。

「富士はオーバーテイクできるサーキットですし、ストレート単体のスピードが重要視されるコースなので、そこは見つけていかないと。(バトルしている相手と自分の)両方がOT(オーバーテイクシステム)使っちゃうと絶対に抜けないようなシチュエーションだったので。中間加速のところの、ほんの数km/hの話だとは思うのですが、どうやったら空力的なアドバンテージが取れるかという部分を、もう一度チームと話し合っていかないといけません」

 開幕ラウンドの鈴鹿、続くもてぎではスタートダッシュを決めたが、前戦オートポリスからは良くないリザルトが続いてしまっている。サーキットの違いによるものかどうかどうかを問われた太田は、「明日は大丈夫です」と自分に言い聞かせるように発し、ミックスゾーンを後にした。


■「フィーリングと数字が合わない」と悩む牧野任祐

 単独走行でのレースペースには自信を滲ませていた太田とは対照的に、だいぶ“ハマっている”ように見えたのは、このラウンドにランキングリーダーとして乗り込んできたチームメイトの牧野任祐だ。

 金曜のフリー走行後にも、良い感触が得られていないことを語っていた牧野。土曜朝の予選に向けては「クルマのセットアップ自体は結構変えて臨んだのですが、なんか今週はいまいち、フィーリングと数字が合わない部分がすごくあって」と、不調のなかにいることを認めた。

「それが予選でも出てしまい、Q2に向けてもガチャガチャやりながら、なんとなく6番手という形にはなったのですが、これといって原因がまだ分かっていない。起きている問題は予選も決勝も同じなのですが、解決策というか、明確に『本当にここがダメ』というのが、いまのところ分かっていない。それを明日、またいろいろ変えながらトライしていくことになると思うのですが……ちょっと厳しいですね」

 太田と同じく、5月の第5戦オートポリス戦からパフォーマンスが急降下してしまっている感のある牧野だが、「オートポリスの問題は、(6月上旬の富士)テストの時点でなんとなく解決した」というが、好調だったテストの状態で走り出しても、同じようなフィーリングが得られていないのが今週の現状だという。今季からスペックが変更されたタイヤだけの問題でもない、と牧野。“トンネル”の出口の光はまだ見えない状態のようだ。

 第6戦の牧野はそれでも5位フィニッシュとダメージリミテーションに成功しているように見えるが、太田とは対照的にレースペースにも手応えを得られていないという。ここへきて、ダンディライアンの2台ははっきりと異なる状況に置かれているようだ。

「もちろんまったく同じにはならないし、難しいのですが、6号車で良かったもの・悪かったものはあると思うので、参考にするところは参考にして、明日に向けてはまたちょっと大きく変えていかないといけない。それがどう出るか、ですね」

 第6戦を経て、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)にランキングリーダーの座を明け渡す形となった牧野。20日の第7戦では、後半戦で“再浮上”を果たすためのヒントを、是が非でも見つけたいところだろう。

[オートスポーツweb 2025年07月19日]

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