米株価、高値圏に回復=FRB議長解任など警戒―トランプ政権半年

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2025年07月20日 08:01  時事通信社

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時事通信社

4月3日、米株式市場の動きを見守るニューヨーク証券取引所のトレーダー(EPA時事)
 【ニューヨーク時事】第2次トランプ米政権発足から20日で半年。トランプ大統領が矢継ぎ早に打ち出す高関税政策に振り回されていた米株式相場は、米景気の底堅さなどを追い風に高値圏に回復した。市場では一段高への期待も膨らむ。ただ、トランプ氏による連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任リスクや、関税交渉の先行き警戒感は依然強く、上昇基調が続くかは見通せない。

 トランプ氏が4月2日、ほぼすべての国・地域を対象とする相互関税を発表したことで、金融市場は大荒れの展開に。通商摩擦激化などへの不安から、株・債券・ドルが売られる「トリプル安」に見舞われた。慌てた政権は相互関税を足早に軌道修正したが、二転三転する同氏の発言に市場は戸惑ったままだ。

 それでも、堅調な企業業績を好感した買いが膨らみ、ハイテク株中心のナスダック総合指数は今月、史上最高値更新が相次ぐ。ダウ工業株30種平均は、成長志向のトランプ氏復権に沸いた昨年12月の最高値に迫る。企業からは足元の環境が「非常に安定している」(米航空大手)との楽観的な声も聞かれる。

 市場では、投資家が重視するS&P500種株価指数が年末時点で10%以上上昇するとの強気な見方も浮上。一方、関税はじわりと物価を押し上げており、6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇と、伸び率は2カ月連続で拡大した。関税に伴うドル安基調も「インフレ圧力を幾分高める」(FRB高官)と警戒されている。

 米メディアは今月16日、トランプ氏が利下げに慎重なパウエルFRB議長を解任する可能性があると報道。トランプ氏は解任は否定したが、FRBへの利下げ要求を強めている。米国の信認を揺るがし、トリプル安再燃につながりかねない中央銀行への露骨な介入に市場は神経をとがらせる。

 来月1日が新たな税率の発動日となる相互関税を巡り、日本などとの協議も着地点が見えない。不確定要素を多く抱える中、市場では「大きなショックが起これば相場は簡単に急落する」(アナリスト)との観測もくすぶる。 

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