写真 学校や家庭で居場所を失い、夜な夜な繁華街をさまようトー横キッズ。未成年飲酒やオーバードーズといった行為を繰り返し、身を滅ぼす者も少なくない一方で、まだ“再生の道”は残されていた! 彼らを救う手段とは――?
◆精神科病院で得た「酒も売春もくだらない」の悟り
精神科病院で過ごした数週間が、斎藤花凛さん(仮名・17歳)の人生を変えた。
「スマホは使えたけど、会話も行事もなくて、本当に虚無の時間。でもその“何もない”中で、初めて自分と向き合えた気がします。あれがなかったら、今も流されていたと思う」
始まりは中学3年の冬。母親との口論から家を飛び出し、本やSNSで見知っていた“トー横”に足を運んだ。
「最初は誰にも相手にされなかった。でも、広場でひとりぼーっとしていたとき、知らないおじさんに“遊ばない?”って声をかけられて……寝る場所もなくて、1万5000円で応じてしまいました」
◆かつては鏡月の一気飲みを好んでいたが、「今はお茶」
その後は、夜の街に居場所を求め、ただ時間をつぶす日々。SNSで拡散される動画、安酒、パパ活。外から見れば“自由”にも思えるその生活の実態は、承認欲求と孤独に支配された空虚だった。
「家庭もうまくいかず、精神的に不安定になって、自殺未遂も経験しました。児相に2度送られた後、もう自分から“病院に入りたい”って言ったんです」
精神科病院への“自発的な入所”が転機となった。
「何もない時間って、強制的に自分と向き合うしかなくなる。“酒も、売春も、くだらない”って思えるようになった」
退院後は通信制高校へ進学。今は将来を見据え、飲食業界で働くことを目指している。
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
―[密着! トー横キッズ[再生の道]]―