オウガ・ジャパン(OPPO)から6月26日に発売された「OPPO Reno 13 A」。実機を使って性能や使い勝手を検証した。
OPPO Reno 13 AはUQ mobile、楽天モバイル、Y!mobileの3キャリアから発売された他、MVNO各社、量販店、ECサイトでもオープンマーケットモデルが販売されている。オープンマーケットモデルの価格は4万8800円(税込み)だ。
同社の河野謙三専務は発表会で「AIが一部の人だけのものであってはならない」と語り、エントリーモデルからハイエンドまで全ラインアップにAI機能を搭載していく方針を明らかにした。この機種にも多数のAI機能が搭載されている。その実力をチェックしていこう。
●美しいデザインだが指紋は目立ちやすい
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今回試用したルミナスネイビーは、カメラ部分が美しい青色のグラデーションで彩られている。光の角度によって青みが変化し、背面下部にはフィルムによる光沢感の変化も見られる。カメラバンプ周りがなだらかに隆起している形状は、この価格帯のスマートフォンとしては十分に美しい仕上がりだ。背面はポリカーボネート製だが、すりガラス風の仕上げにより安っぽさは感じられない
ただし、透明度の高いカメラバンプ周辺だけでなく、すりガラス調の背面全体で指紋による陰影の差が目立つ。頻繁に拭き取る必要があるのは少々煩わしい。
本体重量は約192gで、200gを超えていないため日常使いに支障はない。厚さ7.8mmも十分及第点といえる。最初から保護フィルムが貼られているのは好印象だ。
●盛りだくさんのAI機能 画像や文章の生成、文字起こしを試す
OPPOのAI機能はクラウド型を採用しており、「高性能なCPUに依存せずともスムーズに動作する」(オウガ・ジャパン河野専務)という。実際の検証結果を機能別に紹介する。
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画像系AI機能では、AI消しゴム2.0が背景の人物を数秒で全て認識し、10秒かからずに削除できた。影が少し残る箇所もあるが、ほぼ違和感なく処理される。AI反射除去では、空港の窓ガラス越しの撮影で強い反射があった写真でも、飛行機がはっきりと見えるようになった。
AI Studioという顔写真のスタイル変換機能では、1枚の顔写真をアップロードすると、ディスコスタイルやヴェネツィアのカーニバル風など、さまざまなテーマに沿った画像を生成できる。クレジット制で1回の生成で10スターを消費するが、OPPOアカウントでログインすると5000スターが無料で付与される。さらに、毎日アプリでチェックインボタンを押すことで50スターを追加で獲得できるため、初回分を使い切っても継続的に利用可能だ。現時点では有料でスターを購入する方法は用意されていない。
テキスト系のAI機能では、メモアプリのAIアシスタント機能で簡単な見出しから詳細な文章を生成できる。「書き続ける」「詳しく」「短くする」「フォーマル」などのオプションで、用途に応じた文章の調整も可能だ。ドキュメントアプリでは文章の要約、翻訳、PDF変換などのAI支援機能が利用できる。
標準のレコーダーアプリには文字起こし機能が搭載されている。Pixelのようなリアルタイム文字起こしではなく、録音後にクラウドサーバにアップロードして処理する方式だ。31分の録音データを約3分で文字起こしできるなど、処理速度は実用的だ。固有名詞や専門用語の認識精度も高く、議事録作成などに活用できる。
これらのAI機能はクラウド処理で動作するため、通信環境が必要となる。河野専務は「当面は課金のことは一切考えずに、お客さまにまずは触っていただきたい」と述べており、現時点では全てのAI機能が無料で利用できる。
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●初搭載のステレオスピーカー、防水はIP69に
6.7型の有機ELディスプレイは、画面占有率92.2%でベゼルも実測2.2mm前後と細く、没入感のある視聴体験を提供する。黒の締まりは良好だが、白の表示がやや元気すぎる印象で、価格帯相応といったところか。
120Hzのリフレッシュレートにも対応し、SNSやWebサイトの長文記事をスクロールする際に快適に操作できる。ミッドレンジでもこの機能が搭載されているのは評価したいポイントだ。屋外での視認性については、最大輝度1200ニトとされている。スペックの通り、真夏の強い日差しの下では、より高輝度なハイエンド機と比較するとわずかに見えづらいように感じた。
Reno Aシリーズとして初めてステレオスピーカーを搭載している。上部の通話スピーカーと右下部のスピーカーで構成される。音圧バランスに差があり、横向きで動画再生すると右側に音が寄る傾向がある。高音域にシャリつきが感じられ、低音域の迫力も控えめだ。
IP69の防水防塵(じん)性能により、水道水でサッと洗い流せるのは便利だ。おサイフケータイ(FeliCa)にも対応しており、日本市場向けの基本機能はしっかり押さえている。
●日常使いには十分なパフォーマンス
プロセッサのSnapdragon 6 Gen 1に対して、メインメモリ8GB、ストレージ256GBという構成だ。実際のパフォーマンスについては、アプリの切り替えの操作で2〜3秒程度待たされる場面はあったが、日常使いにはおおむね支障ないと感じた。
Geekbench 6でのベンチマーク結果は、シングルコア883、マルチコア2274となった。これは同価格帯のGalaxy A54(シングルコア977、マルチコア2770)にはやや及ばないものの、2020年のミッドハイモデルであるGalaxy S20 FEに近い性能を実現している。
3DMarkのWild Lifeテストでは2555ポイント、平均フレームレート15.30FPSを記録した。全デバイスの上位29%という結果で、ミッドレンジとしては妥当な性能だ。テスト中の温度上昇も28℃から29℃と1℃程度に抑えられており、発熱制御は良好だ。ただし、本格的な3Dゲームをプレイする場合は、フレームレートが9〜20FPSの範囲で変動するため、設定を調整する必要があるだろう。
ミドルウェアレベルでリソース管理が強めに行われているようで、バッテリー持ちとのトレードオフと考えれば妥当だろう。
●優秀なバッテリー性能 どれだけ持続するか試した
本機はReno Aシリーズ最大容量となる5800mAhのバッテリーを搭載する。実測では、Xの連続使用で1時間あたり約12%の消費、Netflixでの動画視聴では1時間あたり約5.5%の消費となった。これは、Xなら約8時間、動画視聴なら約18時間の連続使用が可能という計算になる。スタンバイ時の電力効率も優秀で、SIMなし・Wi-Fi接続の待機状態で5日間充電なしで稼働し続けた。
発表会では「バッテリーを少し増やしてみました」という控えめな表現だったが、実際には前モデルから大幅な容量アップを実現している。ユーザーからの要望に応えた改良点の1つだ。ミッドレンジのプロセッサと大容量バッテリーの組み合わせにより、ハイエンド機では実現しにくい長時間駆動を達成している。
急速充電は独自規格の45W SUPERVOOCと標準規格の45W USB PDに対応し、約30分で1%から44%まで充電可能とされる。ただし、充電器は別売りだ。
手元にあったUSB PD 45W以上の充電器をいくつか接続してみたところ、電源オンの状態ではいずれも25〜27Wでリンクした。実測では27Wで充電され、1%から80%まで約44分、100%までは約1時間20分かかった。45W対応とされているが、実際は27W程度での充電となり、5800mAhの大容量バッテリーということもあって急速充電としてはやや時間がかかる印象だ。
なお、4年後もバッテリー容量80%以上を維持する長寿命な設計となっている。一般的なスマートフォンのバッテリーは2〜3年で劣化が目立ち始めるが、本機なら買い替えサイクルを延ばせる。環境への配慮という観点でも、長期間使用できる設計は評価できるポイントだ。
●カメラの実力を検証 広角+超広角の構成
アウトカメラは5000万画素(広角)と800万画素(超広角)のデュアルカメラ、インカメラは3200万画素だ。5000万画素の広角カメラは、日中の撮影では十分な実力を発揮する。
京都タワーでズーム性能を検証したところ、1倍撮影では建物の看板から窓枠まで、細部まで解像している。0.6倍の超広角では、タワー全体と周辺の建物を含めた広い範囲を撮影できた。2倍ズームは光学ズームではなくデジタルズームだが、建物側面の文字も読み取れる程度の解像感を保っている。デジタルズーム最大の10倍では、さすがに画質の劣化は見られるものの、タワー上部の白い「Kyoto Tower」の立体文字看板がはっきりと判読できる。
風景撮影では、石橋の質感や背後の山々の緑がしっかりと描写されている。石の表面の苔やざらつきまで確認でき、水面への映り込みも自然だ。
料理撮影も得意で、ビュッフェ料理の色彩を鮮やかに記録できた。スクランブルエッグの黄色、野菜の緑、赤こんにゃくの赤など、食材本来の色が食欲をそそるように再現されている。
●プリインストールアプリの多さは要注意
実使用で気になったのは、プリインストールアプリの多さだ。Booking.com、AliExpress、LinkedInといった海外サービスに加え、ゲームアプリも多数(ソリティアは2種類)プリインストールされている。これらを使わないユーザーは、1つ1つアンインストールするか、ホーム画面から削除する作業が必要になる。
ロック画面マガジン機能もデフォルトで有効になっており、海外のモデルなどがランダムに表示される。設定アプリから「パーソナルカスタマイズ」→「ロック画面マガジン」とたどってオフにする必要があり、初期設定時の手間が増える。
アプリインストール後のセキュリティテスト画面にも「おすすめアプリ」が表示されるなど、各所に収益化の仕組みが組み込まれている。
●4万円台で実現したAI機能てんこ盛りスマホ
OPPO Reno 13 Aは、4万8800円でハイエンド級のAI機能を搭載し、5800mAhの大容量バッテリーでXなら約8時間、動画視聴なら約18時間の連続使用が可能だ。120Hz有機ELディスプレイ、IP69防水対応、日中撮影では十分な画質のカメラ性能など、ミッドレンジとして充実した機能を備えている。
一方で、プリインストールアプリが多く初期設定に手間がかかる点、急速充電が実測27W程度にとどまる点は注意が必要だ。
特に3万円台では性能が物足りず、7万円台では予算オーバーという人には魅力的な選択肢となるだろう。AI機能の充実度と5800mAhという大容量バッテリーの組み合わせは、この価格帯では大きなアドバンテージといえる。
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