公園の花を摘む→自治体の所有物を損壊する行為→器物損壊罪や窃盗罪に該当?【弁護士が解説】

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2025年07月20日 16:40  まいどなニュース

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公園や道端の花を摘むのは罪になる? ※画像はイメージです(Masakazu Tokashiki/stock.adobe.com)

Aさんには3歳の子どもがいます。ある日子どもと公園で遊んでいると、「このお花持って帰りたい!」と子どもがツツジを指差しました。花壇に植えられていたので、「これは公園のだからダメだよ」と諭すと、「じゃあこれは?」と側溝のそばに生えていたたんぽぽを指差しました。

【写真】ツツジの甘い蜜、吸ったら毒?

「たんぽぽぐらいなら」と思う気持ちと「いやでも公園にあるものだし」と思う気持ちで迷い、判断がつかなかったため「見るだけにしようね」とその場で切り上げました。公園で自生している花を摘むと犯罪になるのでしょうか。また道端に生えている場合はどうなのでしょうか。弁護士の大橋史典さんに話を聞きました。

器物損壊罪や窃盗罪に該当する可能性がある

ー公園など公共の場にある場所で花を摘むと犯罪になるのでしょうか?

公園などの公共の場で花を摘む行為は、場合によっては犯罪に該当する可能性があるため注意が必要です。

たとえば、公園の花壇などに植えられている花は、市区町村などの自治体が所有・管理している「財産」なので、「誰のものでもない」というわけではありません。そのため、公園などの公共の場に植えられている花を勝手に摘んでしまうと「器物損壊罪」や「窃盗罪」に該当する場合があります。

具体的には、花を摘んだことで景観を損なったり、花壇の機能を害したと評価されると、器物損壊罪が成立するおそれがあります。花そのものを持ち去る意図が明らかだと、窃盗罪が成立するかもしれません。

このように、公共の場に咲いている花だからといって「誰のものでもない」と考えてしまうのは危険です。特に、意図的に花を摘む行為は犯罪になるかもしれないので慎むべきでしょう。

ー道端などで自生しているものでも花を摘むと犯罪になるのでしょうか?

道端などで何気なく咲いている花であっても、無断で摘んでしまうと犯罪になるケースがあります。

たとえば、個人が管理する私有地や私道、企業の敷地などに咲いている花を摘むと、やはり器物損壊罪や窃盗罪に該当する可能性があるでしょう。また、花を摘むために私有地などに無断で立ち入ったのであれば「住居侵入罪」が成立すると考えられます。

また、たとえ花が自生している場所が国道や県道、市道の脇だったとしても、その土地は国や自治体などが所有する「公共用地」です。そのため、公園などに植えられている花と同様、勝手に摘んでしまうと器物損壊罪や窃盗罪に該当する可能性があります。

ほかにも環境保護の観点から、法律によって植物の採取が禁止されている地域や種類があります。

たとえば、国が管理する国立公園や、都道府県が管理する国定公園では、植物の採取が厳しく規制されています。自生している花でも許可なく採取すると「自然公園法」に違反する可能性があるので、十分な注意が必要です。

また、悪気なく摘んだ花が「実は希少な植物だった」というケースもあるかもしれません。もし、「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)にもとづいて指定された「国内希少野生動植物種」に該当する植物を摘んでしまうと、やはり法律違反となってしまいます。

ーもし犯罪になる場合、具体的にどのような罪に問われ、どのような刑罰を受けるのでしょうか?

これまでご説明した通り、花を摘む行為は器物損壊罪や窃盗罪などに該当する可能性があります。器物損壊罪の刑罰は、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料です(刑法第261条)。また、窃盗罪は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(同法第235条)。

住居侵入罪が成立した場合、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に科されるかもしれません(同法第130条)。

もちろん、花を摘んだからといって必ず逮捕されたり、刑罰を受けたりするわけではありません。被害の程度や行為の悪質性などによって、ケースバイケースです。たとえば、1本の小さな花を摘んだだけの場合、警察が積極的に捜査に乗り出すとは考えにくいでしょう。

しかし、公園や道端に生えている花でも「誰かのもの」ではあるので、勝手に摘む行為は違法だと認識することが大切です。特に、大量に持ち去ったり、希少な花を摘んだりすると、犯罪になってしまう可能性が高くなると考えられます。

お子さまが無邪気に「お花を持って帰りたい!」と言えば、親としては「少しくらいなら…」と思うかもしれませんが、自然や公園をみんなで大切に使うという観点からも、「見るだけにしようね」と伝えるようにしましょう。

◆大橋 史典(おおはし・ふみのり)弁護士/弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士として約10年のキャリアを持ち、特に刑事事件の知識と経験が豊富。税理士や社会保険労務士の資格も有しているほか、ニュース番組や新聞社からの依頼で話題のニュースを解説するなど、メディアへの出演実績も多数(第一東京弁護士会所属)。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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  • じゃあデビュー当時の井森美幸はみんなのおもちゃにされてよかったのかというと、そういうことではない。(←バカの意味不明)
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