開票センターで報道各社の取材に応じる立憲民主党の野田佳彦代表=20日午後、東京都千代田区 立憲民主党は改選議席の22を上回る見通しだ。自民、公明両党は衆院に続き参院でも過半数維持が厳しい情勢で、野田佳彦代表は政権交代を目指す考えを表明した。野党連立政権を求める声が党内から出る可能性があり、石破茂首相の進退など与党の動向を見極めて具体的な対応を判断する。躍進した国民民主党は、看板政策の実現に向け与党に圧力をかける構えだ。
野田氏は参院選を、次期衆院選での政権交代に向けた「ホップ、ステップ、ジャンプ」の2段階目と位置付けてきた。消費税減税を訴える方針にかじを切り、政権批判票を一定程度取り込むことに成功。自公の議席大幅減を受け、衆院選を見据え攻勢を強める方針で、20日の民放番組で「首相はノーという国民の意思表示を受け止めるべきだ」と強調。自民との「大連立」は否定した。
野田氏は秋に臨時国会が召集された場合、ガソリン税の暫定税率廃止法案を成立に持ち込みたい考え。消費税減税で野党の具体策は異なるが、一致点を模索する。政策での協力で野党共闘の土台を築き、石破政権を追い込みたい意向だ。内閣不信任決議案の提出も視野に入ると言明した。
野田氏は「石破政権に代わる受け皿をどうつくるか検討しなければならない」とも語った。ただ、国民民主の玉木雄一郎代表は「政策本位で考える」との姿勢を崩しておらず、日本維新の会の吉村洋文代表も野党連立政権には否定的な姿勢で、野田氏の思惑通りに進むかは不透明だ。参院選で「台風の目」となった参政党とも政策的な隔たりは大きい。
昨年の衆院選に続いて「手取りを増やす」と訴えた国民民主は大幅に議席を伸ばすことが確実だ。主張が評価されたと受け止めており、所得税の課税最低ライン「年収の壁」見直しやガソリン暫定税率廃止の実現を最優先する方針だ。玉木氏も石破政権との連立を否定した。
参政党の神谷宗幣代表は将来的に与党入りを検討する意向を示しており、国会での動向に注目が集まるのは必至だ。

開票が始まり、取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表=20日午後、東京都新宿区