
「高学歴」という言葉はよく使われるが、その基準は人それぞれで議論になることもある。そんな中、自身の経験から導き出した一つの定義が寄せられた。投稿者は50代男性。現在「エネルギー会社で研究開発」に従事しており、年収は1200万円だという。
男性は「理系の場合」と前置きした上で、高学歴の条件をこう断言する。
「大学院博士後期課程修了のみ高学歴です」
某国立大出身で同じ経歴を持つ男性は、以下でその詳細な理由を明かした。(文:湊真智人)
「論文拒絶」で博士後期課程を退学する院生も
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まず、博士の特に前期課程について、こう指摘する。
「大学はほぼ全入時代に入り、入学者の大部分は卒業する。マンモス国立大学理系の場合、博士前期課程には学部卒業者の9割以上が進学し、進学者の大部分は卒業する」
理系の場合、修士はもとより博士前期課程への進学は一般的であり、“高学歴”の要件としては不十分ということだろう。一方で、後期課程については事情が大きく異なるようだ。
「博士後期課程に入学する者は少なく、3年間で修了できる者も多くはない。とりわけ、理学研究科と工学研究科のサイエンス系研究室では、インパクトファクターが高い、すなわち査読者の人数が多い国際ジャーナルへの論文3本以上の受理を博士後期課程の修了要件としている」
進学者自体が少ない上に、修了するには論文執筆が高い壁となっているようだ。男性は、「論文拒絶により、博士後期課程を退学してしまう院生がいる」と語る。厳しい査読のある国際的な学術誌に、複数の論文が掲載されなければ博士号は得られない。その高いハードルを越えられず、志半ばで去っていく学生もいるというのだ。
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さらに、同じ博士後期課程でも、専門分野によって修了のハードルに差があるとも指摘する。
「他方、工学研究科のエンジニアリング系研究室では、日本の学会の日本語のジャーナルへの論文の受理でも博士後期課程の修了要件としているところが多く、ハードルはかなり低い」
男性からすると、「国際ジャーナル」への掲載が求められる“サイエンス系”に比べ、国内の学会誌でも要件を満たせる“エンジニアリング系”のハードルは低いという評価になるようだ。単に「博士課程修了」という経歴だけでなく、その過程で求められる研究の質や国際的な基準こそが、男性が考える「高学歴」の本質なのかもしれない。
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