「ローソンの偏愛アイテム」まさかの人気、カタカナTシャツも売れてます

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2025年07月21日 06:20  ITmedia ビジネスオンライン

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ローソンの「偏愛アイテム」が人気

 ローソンが6月10日に限定発売した「偏愛アイテム」に、じわじわと注目が集まっている。創業50周年記念アイテムとしてローソン好きのために開発され、ローソンでしか手に入らないオリジナルデザインだ。


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 「ローソンオリジナルTシャツ」(カタカナ・ストライプの2種、各1780円)、無印良品から「振って芯が出る低重心シャープペンシル(ブルーピンクボーダー)」(750円)と「ふっくらパイルハンドタオル(ブルーピンクボーダー)」(490円)、ボックスに「からあげクン」がデザインされた「ネピア フレスコアドティシュ 180W」(2種、各215円)のラインアップだ。


 中でも反響が大きかったのが、「Tシャツ」だという。斬新なデザインには、SNS上で賛否両論が寄せられた。社内からも「本当に売れるのか」と疑問視する声があがったというが、売れ行きはどうなのか。企画の狙いや発売後の反響を、ローソン 生活・日用品部 マーチャンダイザー 矢野僚子氏に取材した。


●斬新なデザインは、どう生まれた?


 「ローソン偏愛アイテム」は、創業50周年記念商品として創業祭を盛り上げる目的で誕生した。2024年にローソン店舗限定で発売したローソンイメージカラーの「無印良品」の靴下とハーフハンカチが非常に好調であることから、“ローソンらしい”アイテムを発売することにしたという。


 ローソンでの「無印良品」靴下の購入者は8割が男性だが、ローソンカラーの靴下購入者は約7割が女性だった。同商品の発売により、発売後2週間の「無印良品衣料品」カテゴリーの売上高は、前年比で3割以上伸長したという。


 今回、発売した「ローソンオリジナルTシャツ」は、一目で“ローソンのもの”と認識できるようなデザインで、「ストライプ」と「カタカナ」の2種類がある。


 「制服をモチーフにした『ストライプ』は、制服に使用している水色のストライプにピンクを1本加えて、ローソンらしさを強調しました。『カタカナ』は、若年層やインバウンドの方に人気のカタカナ表記を取り入れ、とにかく“ローソンの製品”だと分かるものを目指しました」


 “ローソンらしさ”は伝わるものの、特に「カタカナ」は着て街を歩くには勇気がいるデザインかもしれない。社内では、どんな反応だったのだろうか。


 「社内アンケートでは『ストライプ』が一番人気で、『これなら着て歩ける』『制服を着てみたい人に良さそう』などの意見がありました。対して『カタカナ』は、『大丈夫?』『本当に売れるの?』といった反発や疑問が多かったですね。その反面、『すごくいい』『ぜひ着たい』という声も聞かれて。若年層や外国人の方にカタカナTシャツが好まれている事実もありますし、『着たい』という社員の声を信じて製品化にいたりました」


 「シャープペンシル」は、店舗のクルーも日常的に使えて、消費者にとっても使いやすいものとして開発。「ハンドタオル」は、昨年発売したハーフハンカチに対して「大きくしてほしい」という声があったことを踏まえ、サイズを拡大した。「ティッシュ」は、以前からアニメなどのIP(知的財産)とコラボして発売した製品が好評だったことから、自社の人気製品「からあげクン」のデザインとした。


●Tシャツはどちらも売れている


 6月10日に発売してから1カ月強が経過した現在、どんな反響を得ているのか。


 「ずば抜けて反響が大きかったのが『Tシャツ』です。今まで売り出したことがないもので目新しさもあったのか、SNSや店頭でさまざまな反応があります。販売数は、『ストライプ』と『カタカナ』どちらも同じくらいです。社内の多くは『ストライプしか売れない』と思っていたようですが、その予想とは異なる結果となっています」


 販売数は同じくらいだが、購入者層は異なっていて、「ストライプ」は男性が多く、「カタカナ」は若年層や女性が多いという。社内でも、「カタカナ」は特に女性社員から好評だったそうだ。SNSの投稿を見ると、一部デザインを批判するような声もあるが、「ほしい」という声もかなり多い印象だった。


 「ハンドタオル」も好調で、発売後2週間の「無印良品衣料品」カテゴリーの売上高は、前年比で6割以上伸長した。同製品と「シャープペンシル」は、通常の無印良品カテゴリーの購買層である30〜40代の女性から多く選ばれているという。


 8月12日には、「偏愛アイテム」第二弾として2種類のTシャツが発売予定だ。それぞれ「からあげクン」と「ミルク缶」をデザインしたもので、M/L/LLの3サイズ展開。価格は1780円となる。


 「ミルク缶のロゴは、比較的着やすいデザインだと思います。からあげクンは、よくあるキャラTのビッグプリントを参考に、好きなキャラクターがドーンとプリントされたTシャツを着たいと思う方に向けて開発しました。社内で着て歩くと、特に『からあげクン』は男性社員から好評ですね」


●社内でも「偏愛Tシャツ」で勤務


 ローソンでは、店舗従業員と社員向けの熱中症対策としても、オリジナルTシャツを活用している。店舗従業員向けには「50周年記念Tシャツ」を別途で製作し、全国のローソン約1万4000店に配布。2025年6月3日から8月末まで、同Tシャツでの勤務を可能としている。


 「夏場は従来の制服が『暑い』として、『Tシャツで勤務できたらいいのに』という声が多く寄せられていました。そうした声に応えるカタチで50周年記念Tシャツが製作され、店舗従業員の負担減につながっていると思います。Tシャツを着ていることで、お客様に話しかけられるといった声も聞きますね」


 社員に対しては、発売中の2種類のTシャツでのオフィス勤務を6月27日から許可している。自身で好みのTシャツを購入して着用する取り組みだという。


 「熱中症対策が目的ですが、実際に着てみると、ローソンで働く誇りや企業としての一体感の醸成につながっているように思います。社内の雰囲気も明るくなるなと。社内は男性が多いせいか、ストライプを着ている社員が多いですね」


 同社のオフィスではビジネスカジュアルが基本で、これまではTシャツでの勤務はしていなかったという。一昔前に配布されたTシャツは着用化とされていたものの、実際に着ている人はほぼいなかったそうだ。そんななか、2025年6月1日から職場における熱中症対策の義務化が施行され、偏愛アイテムのTシャツが着用可能になったことで、多くの社員が着用するようになった。


 8月の第二弾アイテム以降はまだ具体的な予定はないというが、反響次第では、さらなる偏愛アイテムが投入されるかもしれない。


(小林香織、フリーランスライター)



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