イメージです ※画像生成にAIを使用していますまるでサウナのように暑い毎日。通勤・通学途中に噴き出す汗に困っている方も多いのではないでしょうか。よく“滝のような汗”とたとえられることもありますが、「毎日シャワーを“浴びながら”通勤しているような感覚」だと話す女性もいます。
◆「冬以外、全部汗」──止まらない発汗のリアル
都内在住の矢田美鈴さん(仮名・31歳)は、子供の頃から汗っかき。日常生活に支障が出るほどだったそうです。
「夏になると汗をかくというわけじゃなくて、もう“冬以外全部”です。それも『シャワーを浴びながらシャツを着てるの?』っていうくらい、短時間で服が半透明になります」
会社の同期や友人を見ていると、その差に驚くのだとか。
「彼女たちは『暑い〜!汗かいちゃった』って言いながらも、ほんのり汗ばんでいるか、いないかというレベル。そして、肩や手に触れると、なんだかんだ言いながら乾いてる。服が肌にはりついていなくて、服と体の間に“さわやかな空間”がちゃんとあるんです。その隣で私は『常に小雨振ってるのかい!』っていうくらい、湿度100パーセント。ひとりジャングルの湿度です」
なんでも、母方の家系は男女問わずほぼ全員が汗っかき体質。そしてとくに健康に異常は見当たらないそうです。
「病気なら対策できるのですが、原因が見当たらない。病院に行っても、きまって『自律神経に問題があるかも』とか『ストレスかなあ』と言われるだけ。汗っかきの家系の悲しき宿命です」
◆自家発生する“生乾き臭”──汗と気温の悪循環
そんな極度の汗っかきであることを自覚している矢田さんは、最近ある悩みを抱えているとか。
「その悩みはズバリ、“生乾き自己生成システム”を生み出してしまうこと。洗い立ての服を着て、最初は柔軟剤の良い匂いがするけれど、すぐに汗をかいちゃって。そしてお店や会社に入るとクーラーが効いてるから、それが乾くんです。そして動くと汗をかいて、今度は暑すぎる日差しと気温で乾いて、また汗をかくから湿って。乾いて湿ってを繰り返していると、いつの間にか生乾き状態になってなんとも言えない匂いになってしまう。歩きながら生乾き臭をいちから生成するという、一種のバイオテロです……」
◆ジップロック5袋が日常?!汗との戦いに挑む日々
だからこそ匂いで周りの人に迷惑をかけたくないと、毎日の対策にぬかりはありません。
「毎日着替えのインナーシャツは何着も準備しています。まず、通勤用に1着。灼熱の満員電車を耐えて、会社に着いたら着替えます。そして社内用に2着。午前中と午後に分けます。汗をかいた服を入れるように、チャック付きのジップロックを常時5袋は持ってます。もうこれは常識です!」
市販の汗対策グッズは、あえてあまり使わないそうですがその理由とは……?
「とにかく高い!……この一言につきます(笑)。実際に私も色々買って試してみたんです。大きなバスタオルの真ん中に穴が空いていて、そこに顔を通すような“着るタオル”や、背筋矯正ベストのような形で両脇に氷のパックを挟み込む商品など。どれも千円から三千円はするし、大きくてゴワゴワしちゃう」
◆最強の味方はスーパーの“あれ”
そこで編み出したものが、スーパーで無料でもらえる“アレ”でした。
「ズバリ、保冷剤です。アイスや生ものを買うと『おひとりさま1個まで』もらえるところもあって、買い物をしつつそこで小さなハンカチサイズの保冷剤をゲットします。その保冷剤をスーツの両ポケットに入れるだけ。専用のベルトやカバーも必要ないし、コスパ最強です。体の一部が冷えるだけで、体感温度がかなり下がります」
保冷剤をポケットに忍ばせるとは、かなり即効性がありそう。100円ショップなどに売っている小型の保冷剤などでも代用できそうです。
「この厄介な体質と向き合うには、絶望し続けていてもどうにもなりませんからね。だったら、コスパ良くちょっとでも毎日を快適に過ごせる方法を勉強した方がいいかなって。まあ冬場でもしっとり潤っているので、乾燥知らずなのは嬉しいです(笑)。汗のおかげか新陳代謝が活発になって、『肌がきれい』と褒められるし。いいところだけを見て、前向きに過ごしてます」
異常な発汗や多汗症の背景には、ときに自律神経の乱れやストレス、さまざまな病気が隠れていることもあるので注意が必要です。ただ、謎の遺伝体質によって、汗に悩まされている人もいます。
まだまだ暑い時期が続くこの季節、たくさんの人々の“オリジナルの対策法”を知りたいですね。
<文/青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird