中1の娘を“あえて”トー横に送った母の胸中「あの場所があったからこそ、笑えるようになった」

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2025年07月21日 09:30  日刊SPA!

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初めの頃は、送り届けたあとも物陰からしばらく様子を窺っていたという
 学校や家庭で居場所を失い、夜な夜な繁華街をさまようトー横キッズ。未成年飲酒やオーバードーズといった行為を繰り返し、身を滅ぼす者も少なくない一方で、まだ“再生の道”は残されていた! 彼らを救う手段とは――?
◆トー横に理解のある親子が激白! 娘を“あえて”送った母の3年間

「娘がトー横に通っていたことを、私は否定しません。あの場所があったからこそ、笑えるようになったんです」

 そう語るのは、ナツさん(仮名・52歳)と、元“トー横キッズ”だったメイさん(仮名・15歳)だ。メイさんが初めてトー横に足を運んだのは、中学1年の冬。

 学校でいじめに遭い、不登校となって家に引きこもるなか、SNSで知ったトー横に強い関心を抱いた。

「どうしても行きたい」と頭を下げる娘に、最初は当然のように母親も反対した。だが、時間を守ることという条件付きで、ナツさんは送り出すことを決めた。

「お母さんが車で送ってくれて、最初の頃は夜になると迎えにも来てくれました。トー横の人たちは親身に話を聞いてくれて、あの頃、久しぶりに心から笑えたんです」

 中学2年になると、平日は電車で、週末は母の車で通う日々に。本人も危険と隣り合わせであることは理解しており、自衛意識を強く持っていたという。

「パパ活の誘いはきっぱり断っていたし、ODもやらなかった。レイプや盗難に遭いそうになったこともあるけど、お母さんに教えてもらった護身術で対処してました。危険よりも、“ここなら自分を出せる”って感覚のほうが強かった」

◆自分の気持ちを話せるようになって、卒業できた

 転機が訪れたのは、中学2年の冬。トー横で付き合っていた彼氏と別れたことをきっかけに、通う頻度が次第に減っていった。

 その頃、かつて彼女をいじめていたクラスメイトから突然の謝罪があり、和解。中学3年への進級と同時に、学校への復帰を果たした。

「トー横に来る前は、ずっと偽りの自分で生きてた。でも、ここで“素”の自分を出せるようになって、“嫌なことは嫌”って言えるようになった。たぶん、トー横でちゃんと“自分の気持ち”を話せたからだと思います。私は家に帰れば家族がいて、ちゃんと迎えてくれた。だからこそ卒業できたけど、そうじゃないコもたくさんいる。“自分を見てくれる人”がいるトー横から抜けられないのは、仕方ないと思います」

 自身の若い頃と重ね、酒やたばこについても完全否定はせず、対話を重ねる方針にした。

「門限は守ってくれてましたね。泊まりたいと言われたときは未成年だと周りに迷惑がかかると説明して断りましたけど、代わりに家に友達を泊めるのはOKにしたり、誕生日だけ特別に許可しました」

 母は今もトー横を否定しない。

「娘がちゃんと戻ってこられたのは、あの場所で出会った人たちのおかげです。もし、また“行きたい”って言われても、私は“いいよ”って答えると思います」

 トー横は、一部の子どもにとっては、“唯一素の自分を出せる場所”でもあった。

取材・文・撮影/週刊SPA!編集部

―[密着! トー横キッズ[再生の道]]―

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