ロッテ・田村龍弘[撮影=岩下雄太]※撮影=24年2月9日○ ロッテ 2 − 0 オリックス ●
<16回戦・ZOZOマリン>
ロッテ・田村龍弘の存在感が際立つ一戦だった。
23日、24日に開催される『マイナビオールスターゲーム2025』に寺地隆成捕手が選出されたため、休養となった21日のオリックス戦、田村は7月12日の西武戦以来となる『8番・捕手』でスタメン出場した。
先発投手は今季からFAで加入した石川柊太。移籍後公式戦初バッテリーとなったが、石川の良さを引き出す好リードで、6回二死まで1人も走者を出さず。試合序盤はストレートとカーブ主体も、5回は9球中8球、6回は26球中21球が変化球と、変化球主体の投球となった。
石川は「自分はまっすぐをいきたいと言っていたところを“こっちでいきましょう”という話もありましたし、そこは任せてしっかり投げられるようにというところは話しながら投げられました。うまくリードしてくれたなというところですね」と田村に感謝した。
田村は石川を7回1安打無失点、2−0の8回は横山陸人、9回はこれまで何度もバッテリーを組んできた益田直也と、オリックス打線を1安打無失点に抑える好リード。
バットでも、0−0の2回先頭の宮崎竜成がセンター前安打を放ち、無死一塁で迎えた第1打席、エスピノーザの初球をきっちりとピッチャー前に送りバント。西川史礁、安田尚憲の適時打につなげた。得点には繋がらなかったが、2−0の8回一死一、二塁の第4打席、マチャドの初球をサード前に転がしチャンスを広げた。
7月12日以来の出場となったが、攻守に貢献するあたりは流石だ。6月29日の取材で田村は「現状自分の立場としては、寺地がずっと試合に出ているわけなので疲れが溜まる時期だと思うし、寺地の調子が落ちてくる時があると思うので、その時にパッといけと言われた時に、当たり前のようにできるようにというところですかね」と話していたように、いつ出番が来てもいいように準備した結果が完封劇に繋がったといえる。
スタメン出場した7月12日の西武戦は1−5で敗れたが、その試合に先発した種市篤暉は、「西武戦でタムさん(田村龍弘)が大事なカウントの時に使ってくれて、カウントが取れましたし、ああいう使い方をしたら見逃してくれるんだなと分かったので、オリックス戦もカーブを試合の力感でどうやってカウントが取れるのかというのを勉強しながら投げたいと寺地と話をしました」と同試合は7回1/3を投げ5失点も、寺地とバッテリーを組んだ19日のオリックス戦は序盤からカウント球でカーブを有効的に使い7回無失点で4月23日の西武戦以来となる3勝目を手にした。
さらに、7月9日の日本ハム二軍戦で田村とバッテリーを組んだ育成・吉川悠斗も「いつも通りやっていたら大丈夫だと話はもらいましたね」という言葉をかけてもらい、同試合で2試合連続6イニングを投げた。
高卒2年目の寺地がメインに被っていることもあり、出場機会は限られているが21日のオリックス戦だけでなく、6月13日のヤクルト戦、4−4の5回からマスクを被り、八木彬(1回・無失点)、横山陸人(3回・無失点)、鈴木昭汰(1回・無失点)の5イニングを無失点に抑える好リードを見せれば、6月22日のDeNA戦は序盤から乱打戦となり、10−9となった6回裏からマスクを被り、横山(2回・無失点)、鈴木昭汰(1回・無失点)、中森俊介(1回・無失点)のリレーで、4回と5回に3点ずつ挙げていたDeNA打線を、6回以降無安打と完璧に封じ込んだ。
培ってきた経験と技術でマリーンズを支える重要なピース。後半戦も、必ずチームの勝ちに貢献してくれるだろう。
取材・文=岩下雄太