
高齢化や人手不足で全国的に商工業者が減少傾向にある中、京都府京田辺市で新規事業者が増えている。市商工会の会員数は過去5年間で約190人増えて1193人となり、府内にある商工会の中で2番目の増加率となった。担当者は「近年は起業のハードルが下がっていることに加え、京都市内、大阪、奈良に近い利便性が大きいのではないか」とみている。
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美容師の舛田伸悟さん(45)と未来さん(35)夫妻は昨年6月、独立して京田辺市田辺に美容室をオープンした。伸悟さんが以前に勤務していた店も市内にあり、なじみ客が訪れやすい場所を探していたという。夫妻は「人口が増えているのは知っていたし、近鉄とJRの駅から近い場所は魅力的だった。ほどよく田舎でも生活は便利で、改めて働きやすいと感じる。思っていたより新規の方も来てもらっている」と口をそろえる。
京都府商工会連合会(京都市下京区)によると、府内に20ある商工会のうち、過去5年間で会員数が10人以上増えたのは7。京田辺市の増加率は19%で、トップの長岡京市(31%)に次ぐ伸びを見せた。連合会は「全国的には後継者不足が本格化し、人手不足も顕著で小規模事業者をめぐる環境は厳しい。その中での増加は目立つ」とする。
京田辺市商工会では、起業相談に加え、インターネットを活用する実践セミナー、空き店舗対策などの個別指導に取り組んできたという。寺井豊事務局長は「近年はスマートフォン1台で気軽に起業したり、大がかりな設備投資がなくても営業できたりと、新規のハードルは下がっている。会社員が副業として事業を始めたり、個人の趣味から事業化する例もあり、幅広くサポートしていきたい」と話す。
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(まいどなニュース/京都新聞)