
夏は冷たい飲み物を飲みがちですよね。
しかし、実は腸にとっては良くない影響を与えている可能性があります。
管理栄養士の筆者が、夏の飲み物を飲むときの注意点や改善策についてご紹介します。
■冷たい飲み物が腸にもたらす影響とは?
冷たい飲み物を飲むと、体が冷えて血管が収縮します。すると、血流が悪くなるため、腸の動きが低下して消化・吸収する力が弱まることになります。
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また、腸には体の約7割もの免疫細胞が存在しているといわれていることから、冷たい飲み物ばかり飲んでいると、免疫力の低下にもつながる可能性があるのです。
暑い季節に冷たい飲み物を飲むと爽快な気分になれますが、実は腸だけではなく、体全体に良くない影響をもたらすおそれがあるため、注意が必要です。
■今日からできる◎夏のドリンク習慣3選
(1)タンパク質を一緒に摂る
食事をすると、食べ物を消化・吸収・代謝するためにエネルギーが使われます。このときに消費されるエネルギーを「食事誘発性熱産生(DIT)」と呼びます。
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食事をすると体が熱くなったり汗ばんだりするのは、食事誘発性熱産生によるものです。
食事誘発性熱産生は食べる内容によって異なるのですが、数ある栄養素の中でも、特にタンパク質が最も熱産生が大きいのだそう。
そのため、冷たい飲み物を飲むときはタンパク質を多く含む食品を一緒に摂ると、腸の健康を守れますよ。
ドリンクにプロテインパウダーを加えたり、チーズなどの食品を摂ったりしながら一緒に飲むのがおすすめです。
豆乳や牛乳にもタンパク質は豊富に含まれるため、味に違和感がないようであればドリンクに加えて飲むと良いでしょう。
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(2)腸内環境を整える食材を摂る
そもそも腸内環境が良くなければ、何を飲んでも腸の不調を改善することは難しいでしょう。そのため、日頃から、腸内環境を整える作用のある食材を意識して摂取することが大切です。
善玉菌である乳酸菌や、善玉菌のエサとなる食物繊維などを含む食材を摂取しましょう。
特に暑い季節には、野菜のぬか漬けがおすすめです。ぬか漬けには乳酸菌が含まれており、野菜食物繊維を摂取することができるため、腸内環境を効率的に整えることができます。
さらにぬか漬けには、疲労を回復させる作用がある「ビタミンB群」も多く含まれています。夏は暑さで疲れやすいため、腸内環境にも疲労回復にも効果的なぬか漬けを意識して食べてみてください。
(3)血流を促す食材を摂る
腸の動きを良くするために、血流を促す作用がある食材を摂るがおすすめです。
生姜に含まれる香り成分「ガラノラクトン」や、辛味成分「ジンゲロール」には、血管を広げることで血流を改善させる作用があるのだそう。
また、ナッツ類に豊富な「ビタミンE」にも同様の作用があるといわれているため、冷たいドリンクを飲むときにはジンジャーシロップを加えたり、アーモンドやピーナッツを食べたりしながら一緒に飲むと良いでしょう。
お酢に含まれているアミノ酸やクエン酸にも、血流を改善する作用が期待できるといわれています。
お酢は、疲労の原因物質である乳酸の代謝をサポートする作用もあるため、暑さで疲れやすい夏にはぴったりですよ。味が合うようであれば、お酢を加えて飲んでみても良いですね。
冷たい飲み物は体を冷やして腸の血流を低下させる可能性があります。体を冷やさないことや腸内環境そのものを整えることを意識して、腸の不調を減らしましょう。少しの工夫で対策できますので、ぜひ参考に取り組んでみてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美)