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公正取引委員会は7月22日、米Visaのシンガポール法人に対し、独占禁止法違反に基づく行政処分「確約手続き」を行ったと発表した。同社はライセンス契約を結ぶクレジットカード事業者に対し、自社の取引ネットワークを使わなければ、一部取引における手数料の優遇が受けられないようにしており、独禁法違反の疑いがあったが、公取委に改善に向けた確約計画を提出。公取委はこれを認定した。
Visaシンガポール法人のビザ・ワールドワイドは、日本を含むアジア太平洋地域にVISAブランドのクレジットカード事業を展開している。同社は、小売店などにVISAカード決済の利用環境を提供する事業者が、消費者にVISAカードを発行する事業者に対して支払う手数料の標準的な料率を定めている。一方、ビザ・ワールドワイドの取引ネットワークを使う場合は、手数料の優遇を受けやすくなるような仕組みを設けていた。
しかし2018年1月、同社の取引ネットワークを利用しなければ、実質的に手数料率の優遇を受けられなくなると取引先に予告。21年11月に実施した。これにより、利用する取引ネットワークを他社からビザ・ワールドワイドのものに切り替えた事業者もいたという。
公取委は一連の行為に対し「ビザ・ワールドワイド以外の取引処理ネットワーク提供事業者が、クレジットカード事業者との取引機会が減少するような状態をもたらす恐れが生じ得る」としている。
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ビザ・ワールドワイドは、同社以外のネットワークを利用しても不利益が生じないよう条件を見直すことや、外部機関による制度運用の監視を5年間実施することなどを盛り込んだ確約計画を提出。公取委は「十分かつ確実に実施されると見込まれる」として認定した。
確約手続きは、公取委が独占禁止法違反の疑いがある行為を事業者に指摘した場合に、企業が自発的に是正策を講じることで法的措置を見送ることができる仕組み。確約計画が実施されていない場合は、独占禁止法違反の調査を再開する。
今回の対応について、毎日新聞や日本経済新聞などは「クレジットカードブランドに対する初の行政処分」と報じている。
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