
埼玉県北部の人目につかない場所で、8羽もの烏骨鶏が置き去りにされていたことが分かった。
発見したのは、大事故による胸髄損傷を負いながらも、動物保護活動を続けるXユーザーの桃丸(@momomaruke)さんだ。桃丸さんはSNSでこう呼びかけた。
「命に責任持とう。飼うと決めたんだから最後まで面倒みようよ! 捨てることは犯罪です。見かけた方や知ってる方は警察に通報してください。こんなの許しちゃいけない」
人目のない場所に烏骨鶏8羽が…
桃丸さんが烏骨鶏を見つけたのは、7月8日の早朝6時半ごろ。場所は埼玉県北部の民家から離れた人目のない一角だった。この場所は普段から粗大ゴミなどが不法投棄されるような場所で、タヌキやアライグマなどの野生動物も多く、放置された子猫が捕食されてしまうこともあるという。
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当日はすでに汗が流れ落ちるほどの猛暑。暑さに弱い烏骨鶏たちは、草むらに隠れるようにして身を寄せていた。「まだ大きな衰弱は見えませんでしたが、何羽かは足にけがをしていて心配でした」と桃丸さんは振り返る。
捕獲は素人にできるものではなかった
猫の保護には慣れている桃丸さんだが、鳥の捕獲は未経験。同じく現場にいた協力者と試みるも上手くいかず、警察に通報した。パトカーで駆けつけた警察官も「道具がない」と困っていたところに、偶然通りかかった地元の農家の人がケージを持参し、次々と捕まえてくれたという。
「逃げて遠くへ行ってしまった子もいて時間はかかりましたが、無事に全羽を確保できました」と話す。
警察の回答は「放鳥かもしれない」
桃丸さんは後日、生活安全課に連絡し「動物遺棄として捜査できないか」と相談したが、「遺棄とは言い切れない、放鳥の可能性もある」との返答だったという。「民家もなく、あの場所に烏骨鶏が8羽も自力で歩いてくるとは考えられない。それでも『放鳥かもしれない』と言われ、捜査する気はないんだと分かりました」と肩を落とす。
今は「ちきゅう農場」でのびのびと
警察からは「処分しかない」とも言われたが、桃丸さんはすぐにSNSで呼びかけ、引き取り先を探した。「そのままでは烏骨鶏たちは暑さにやられてしまう」と、近所の農家が一時預かりをしてくれ、涼しい場所で水と扇風機を用意してくれた。
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その後、Xの拡散で同じ埼玉県内にある「ちきゅう農場」が引き取りを申し出てくれた。「ちきゅう農場」では烏骨鶏を放し飼いで大切に飼育しており、今回の8羽のための場所もすぐに整えてくれたという。桃丸さんは「丸投げにはしたくなかった」として、1年分の餌代を負担した。
「命を捨てる大人は恥ずかしい」
桃丸さんは言う。
「動物を捨てるのは犯罪です。でもここではまだ簡単に捨てられたり、川に流されたりする。飼うと決めたなら最期まで責任を持つ。それができないなら飼わないでほしい。動物にも感情があり、大切な命です」
偶然と人の善意がつながり、命がつながった今回のケース。しかし、地域には「簡単に命を捨てる」問題が今も残っている。桃丸さんのXでの呼びかけは、飼い主のモラルを問い、私たちに問いかけている。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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