写真や動画の品質は、機器の進化に伴い、以前とは比較にならないほど向上している。しかし、高画質になればなるほど、1ファイルのデータ容量は大きくなる。高画質化はストレージ不足とのトレードオフだ。
最近では、生成AIで気軽に画像を作成できるようになったが、どれも捨てがたい、もしくはいつか使うかもしれないということで、保存しておくケースも増えている(筆者だけかもしれないが)。これもストレージ不足に拍車をかける一因となっている。
そんな悩みを抱える人たちに試してもらいたいのが、高速なデータ転送を行えるポータブルSSD「SanDisk Extreme PRO with USB4」(以下、Extreme PRO with USB4)だ。今回、メーカーから借りることができたので、データの避難先として利用できるかどうかを試してみよう。
●頑丈さと高速転送が魅力
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Extreme PRO with USB4は、2025年1月下旬に販売開始したばかりのポータブルSSDだ。USB4 Gen 3x2接続(最大40Gbps)に対応し、最大読み出し速度は毎秒3800MB、最大書き込み速度は毎秒3700MBと、超高速なデータ転送を行える。
ボディーには、高い強度と耐久性を保ちつつ、軽量性も兼ね備えた鍛造アルミシャシーと、弾力のあるシリコンシェルを採用した。これによって丈夫さをもたせている。
耐衝撃性、耐振動性の他、流水に30分間さらしたり、限定的な粉じんと接触させたりしても動作に影響のないIP65規格の防滴防塵(じん)性能もあるので、持ち運びにぴったりだ。なお、動作温度は5度〜45度となっているので、極端に寒い場所や暑い場所では使わないようにしたい。通常利用の範囲であれば、5年間の製品保証を受けられる。
対応OS(デバイス)はWindows 10/macOS 10.15/Android11/Linux Ubuntu 22.04以降、Xbox One、PlayStation 4/5と、互換性も幅広い。
ストレージ容量は2TBモデルと4TBモデルがあり、それぞれオンラインストアの価格は順に5万4780円、8万8880円となっている。
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●箱の中身は?
パッケージの中身は、本体の他にUSB Type-C to Cケーブル、クイックインストールガイド、そして保証ガイドとシンプルだ。
ボディー裏と側面にはシリコンシェルが貼り付けてあり、弾力性がある。多少汗ばんでいたとしても、手から滑り落ちることはなさそうだ。
SanDisk製品のExtremeシリーズでおなじみのカラビナループが搭載されているので、ベルトやバッグストラップ、リュックなどにExtreme PRO with USB4を取り付けられる。
USB Type-C端子は底面にある。なお、本機はアクセスランプ非搭載なので、PCなどの端末から取り外す際には注意が必要だ。
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サイズは実測値で135.9(幅)×66.8(奥行き)×14.5(高さ)mmで、質量は159.5g(本体のみ。付属のケーブル込みで177.7g)だった。この程度のサイズと重さであれば、いつもの荷物に追加したとしても「うわ、負担が増えた!」と思うことはないだろう。
では、早速使ってみよう。まずはベンチマークテストからだ。
●公称の最大値を突破する高速なデータ転送速度を実現
今回、検証に使ったのは以下の4機種だ。
・ONEXPLAYER X1 Mini(AMD Ryzen 7 8840U、メモリ32GB、USB4端子)
・AYANEO SLIDE Ryzen 7840U(AMD Ryzen 7840U、メモリ32GB、USB4端子)
・MSI Claw A1M(Intel Core Ultra 5 135H、メモリ16GB、Thunderbolt 4端子)
・MacBook Pro 13-inch 2020(Intel Core i7 2.3GHz、メモリ16GB、Thunderbolt 3端子)
Windows OSを搭載した3機種では、計測ツールに「CrystalDiskMark 9.0.1 x64」(ひよひよ氏作)、macOSを搭載するMacBook Proでは、CrystalDiskMarkにそっくりなインタフェースを持つ「AmorphousDiskMark 4.0.1」(Katsura Shareware)を利用した。
それぞれ5回ずつ計測し、その平均値(小数点以下3位を四捨五入)と最大値を紹介する。
ONEXPLAYER X1 Mini
平均の書き込み速度は毎秒3726.45MB、読み出し速度は毎秒3800.97MB、最高となった書き込み速度は毎秒3738.53MB、読み出し速度は毎秒3805.26MBであった。
AYANEO SLIDE Ryzen 7840U
平均の書き込み速度は毎秒3736.76MB、読み出し速度は毎秒3806.2MB、最高値はそれぞれ毎秒3741.99MBと毎秒3809.67MBで、今回計測した4機種の中では、Extreme PRO with USB4のパフォーマンスを最大に引き出していた。また、5回の計測値のブレが少なく、安定したデータ転送速度を保っていた。
MSI Claw A1M
平均の書き込み速度は毎秒3210.51MB、読み出し速度は毎秒3787.08MB、最高値は書き込み速度で毎秒3224.24MB、読み出し速度で毎秒3808.7MBとなった。
MacBook Pro 13-inch 2020
Thunderbolt 3端子に接続して計測したMacBook Pro 13-inch 2020だが、平均の書き込み速度は毎秒1015.27MB、読み出し速度は毎秒1049.66MBであった。最高値は書き込み速度が毎秒1064.48MB、読み出し速度毎秒1081.59MBだ。
●SSD内に保存した素材データを直接編集してみた
ベンチマークテストで超高速データ転送速度を行えたという結果に満足しそうになったが、PC本体のストレージを介さず、Extreme PRO with USB4に保存したデータにアクセスして編集し、編集後にExtreme PRO with USB4に保存するテストを行った。ストレージの容量不足に悩んでいる場合、大容量になりがちな動画ファイルを本体内に保存したいと思わないからだ。
検証は、ベンチマークテストでも活躍したONEXPLAYER X1 MiniとMacBook Pro 13-inch 2020を利用した。長さにして9分ほど、合計データ容量1172MBの3つの動画を1本にまとめつつ、いくらかのキャプションを挿入する。ONEXPLAYER X1 MiniではAdobe Premiere Pro 2025を、MacBook Pro 13-inch 2020ではiMovieを編集に利用した。
ONEXPLAYER X1 Mini
本体に保存しているのと遜色のない速度で編集作業を行えた。Adobe PremiereProではプロジェクトの保存場所を最初に決めるが、その保存場所もExtreme PRO with USB4とした。
メディアの取り込みから編集中、そして保存まで引っ掛かるところは全くなく、快適に作業することができた。
完成した動画ファイルは、「高品質 1080p HD」で保存した。ファイル容量は879MBだ。
Extreme PRO with USB4に保存したところ、かかった時間は4分14秒だった。なお、その後、PC本体に同じファイルを保存したところ、かかった時間は4分9秒で、ほとんど変わらないという結果になった。
MacBook Pro 13-inch 2020
こちらも編集中は全く引っ掛かりなどなく、スムーズに作業を行うことができた。ONEXPLAYER X1 Miniで行ったのとほぼ同じになるよう、ところどころにキャプションを挿入し、動画の最後には暗転を挿入した。
完成した動画ファイルの容量は879.5MBで、先の作業の結果と同等のサイズとなった。
しかし、保存には37分14秒の時間がかかった。もっとも、本体内への書き出し時間が21分53秒43だったので、これはマシンの性能が低いから、としかいいようがない。
短い間ではあるが、Extreme PRO with USB4を試して感じたのは、「もう、SSD換装をしなくても良いのでは!?」というものだ。自作PCなら好きなように中身を変えられるが、完成品の中にはケースを開けると同時に保証対象外になってしまうものもある。
容量不足に悩み続けるか、保証対象外になっても快適さを選ぶかの二択を強いられていたが、データ転送速度が最大毎秒3800MBのExtreme PRO with USB4があれば、どちらの問題も解決できる。第3の選択肢であり、決定打にもなり得る。
価格がかわいくないこと、物理的な保護はあってもデータにパスワードをかけられないことなど、若干の残念ポイントもあるが、この快適さを経験したら、それらがさまつに感じられてしまうほど“推し”の製品となった。
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リコール対象製品を探す方法(写真:ITmedia Mobile)15
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