限定公開( 23 )
われわれは“金の錬金術”を実現する方法を発見した──米国の核融合スタートアップ企業であるMarathon Fusionは7月17日(現地時間)、そんな内容のプレプリント(査読前論文)を発表した。同社が公開した理論は、核融合を利用した方法で、水銀(Hg)から金(Au)を生成するというものだ。
同社が発表したプレプリントは「Scalable Chrysopoeia via Reactions Driven by Deuterium-Tritium Fusion Neutrons」で、論文投稿サイト「arXiv」に掲載中。「重水素-トリチウム融合」という核融合反応によって、198Hgから同位体197Hgを生み出し、これが半減期64.1時間で197Auへ崩壊するという。この方法では、核融合発電所は1GWth(熱エネルギーの単位)当たり、年間2tの金を生成できるとしている。
同社は「経済的な影響は計り知れない。現在の金価格は1kg当たり10万ドルを超えており、年間2tの金生産は核融合出力1GWth当たり約2億ドルの追加収益を生み出す。これは往々にして、電力販売のみの場合と比較して総収益が2倍以上になり、核融合の経済的価値提案を根本的に変える」と説明している。また金以外にも、パラジウムなどの貴金属の製造や核電池用の材料生産などでも応用可能と主張している。
一方で工学的な課題もあり、一部のプロセスを実験室での実証レベルから工業レベルにまで拡大する必要があるという。また、生成される金には放射性不純物(195Au)も含まれ、その冷却期間には6.8〜17.7年の時間が必要になるという。
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同社はこの研究について「これは新たな『黄金時代』の幕開けだ。重要な鉱物の生産だけでなく、エネルギー、繁栄、科学的な発見においてもだ」と主張している。
なお、今回発表した論文は、査読前であるため、専門家による再検証などをする必要がある。
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