
デスクワークをしたり、ゲームを楽しんだりなど、長時間座る生活を送っている人も多いかもしれません。ただ、座る時間が長い状態が続くと、健康に悪影響を及ぼす可能性が高いそうです。そこで、長時間座る生活を送ることによる危険性について、YouTubeチャンネルの登録者数が50万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
“座る時間が長い人”は老化が進みやすい!
若い人であっても、座りがちな生活をしていると老化が加速していきます。
例えば、ジム通いの若者であったとしても、その後に長時間座りっぱなしで生活をしていると健康にはマイナスになるという研究結果が出ています。
週に60時間以上、1日あたり大体8.5時間以上を座って過ごす人は、しっかりと運動をしたとしても心臓病や代謝疾患のリスクが高まり、体の老化が進んでしまうと報告されています。
週に数回、軽く運動する程度では、この座りすぎの影響を十分に打ち消すことは難しい。
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座る時間を減らすことも大事ですが、それと同時に運動時間も増やしていかないと、健康や老化のリスクを抑えることはできません。
座る生活の人は運動習慣が必要不可欠
30分程度のランニングやサイクリングをしっかりと習慣にしている人は、同じだけ座っていたとしても、運動をしていない人に比べれば、EMI、体重、コレステロールの値が良好でした。
最大5〜10歳分の差がつくことがわかっているので、座る生活をしている人でも運動をすることは生物学的な年齢を若くする効果があります。
ただ、やはり座っている時間が長いことは最大のリスク因子ではあるので、運動で相殺することはできないのです。
暦の年齢に比べて生物学的な年齢が高くなることを、基本的には老化が進むと言います。
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1日10時間以上座りっぱなしの人は、高齢の女性であると、生物学的な年齢は暦年齢に比べて8歳くらい差が出てくるという報告もあります。
暦年齢と生物学的な年齢が一致しない上に、年々差が開いていくことになるのです。
“1週間で150分”の運動を意識する
動脈硬化の程度や動脈の血管年齢も老化具合を見る上で重要な指標になりますが、若い人であっても、血管が老化している人が最近増えています。
これは座っている時間が長い生活をしている人が若い人でも多いことに関連しているのではないかと思います。
日々のメンテナンスは人の体でも大事なことなので、運動したり座らないようにしたりすることは、体を若々しく保つためには重要です。
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仕事でどうしても座らなくてはいけない場合は、定期的に立ち上がること。 連続で1時間以上は座ることがないように、30分〜1時間毎には立つことが大事です。
歩きながらのミーティングなども最近は推奨されていますし、電話をするときも立ちながら話したり、歩きながらいろいろなことをやってみるのを会社内でも共有すると、平均の座っている時間を短くできるはずです。
運動をする習慣をつけることも、体の老化を防ぐ上で重要です。
理想は毎日30分くらい、汗ばむ程度の運動をすることですが、平日が難しければ週末に集中して運動することでも効果は出るので、1週間で合計150分を一つの目安として意識するようにしてください。
こういった小さな意識の積み重ねが、5年後、10年後の体の年齢に大きく反映されてくるので、ぜひ生活習慣を見直してみてください。
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は50万人超(2025年5月時点)。