琵琶湖のビワマス、新種に=100年ぶり学名付与―研究員「保全に期待」・滋賀

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2025年07月23日 15:01  時事通信社

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時事通信社

滋賀県立琵琶湖博物館で展示されているビワマス=6月30日、滋賀県草津市
 滋賀県立琵琶湖博物館や京都大などの研究グループは23日までに、琵琶湖の固有種でサケ科の「ビワマス」を、新種として学名を付与したと発表した。ビワマスは100年前に学名が一度付いたものの、標本が別の魚だったことが判明し、学名のない状態が続いていた。

 新たな学名は「オンコリンカス・ビワエンシス」。ビワマスは西日本に広く分布するアマゴと同種とも考えられていたが、研究グループは、ビワマスとアマゴ、近縁種のヤマメの標本の遺伝情報を分析し、近縁種との交雑がないことを確認した上で、詳細な形態分析を行った。その結果、(1)消化器官の数や形(2)特定の部位のうろこの数(3)目の大きさ―に明確な違いがあることが分かった。研究成果は6月、国際学術誌に掲載された。

 ビワマスを巡っては1925年、米国の魚類研究者が日本の研究者から入手した標本に「オンコリンカス・ロヅラス」と学名を付与し、標本の魚がビワマスとして認識されてきた。しかし、90年の研究で標本が別の魚だと指摘されてからは学名がなかった。

 ビワマスは環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定される一方、滋賀県では「琵琶湖八珍」の一つとして刺し身やすしの材料に使われる。2024年の推定資源量は139トンと、県が定めた管理目標値に近い水準を保つものの、21年以降は減少傾向にあり、河川改修による産卵場所の消失や近縁種と交雑するリスクなども指摘されている。

 研究グループメンバーの田畑諒一・琵琶湖博物館主任学芸員は「学名が付与されたことで、今まで以上に保全活動が進んでいくことを期待している」と話した。同博物館では、研究に使われた標本を9月28日まで展示する。 
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