【関屋記念予想】AIは妙味十分な一頭をチョイス 不安要素も少なく狙いめか

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2025年07月23日 20:30  netkeiba

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関屋記念に出走予定のシヴァース(撮影:下野雄規)
【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

◆単勝二桁人気クラスの馬はほとんど上位に食い込めていない

AIマスターM(以下、M)先週は小倉記念が行われ、単勝オッズ16.3倍(9番人気)のイングランドアイズが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いのではないでしょうか。少々ヨレつつも素晴らしいスタートを切り、行きたい馬を先に行かせる形で好位を確保。グラティアス(16着)が後続を引き離して逃げる中、スズカダブル(15着)、ニホンピロキーフ(10着)とともに次位グループを形成し、枠なりに最内をキープしたまま向正面を通過しています。すぐ後ろにいたシェイクユアハート(2着)やナムラエイハブ(8着)が3コーナーで前を捕らえにかかり、一旦はポジションが下がってしまったものの、コースロスの少ない内めを通ってこれに付いて行き、先頭を射程圏内に捉えたままゴール前の直線へ。前を行くスズカダブルとニホンピロキーフの間を突いて鋭く伸び、先に抜け出しかけたシェイクユアハートを内から難なく捕らえ、最後は逆に1馬身3/4の差をつけて入線しました。終わってみれば先行馬にとっても差し馬にとってもなかなか難しい展開で、立ち回りの巧みさを問われた印象。松若風馬騎手の完璧なエスコートとイングランドアイズの潜在能力がこの上ない形で噛み合った、素晴らしい勝利です。

M イングランドアイズは重賞初制覇。格上挑戦の身だったうえ、3勝クラスに昇級してからのここ2戦が5着→7着という結果でしたし、強調材料に乏しいと見ていた方が多かったのではないでしょうか。

伊吹 ただ、出走メンバー中唯一の牝馬ということもあって、今回の負担重量は51.0kg。他の馬はすべて54.0kg以上でしたから、この点に注目していた方にとっては魅力的な存在だったのかもしれません。1勝クラスや2勝クラスを勝ち上がるのに時間がかかったとはいえ、もともと3歳時のクイーンCやフローラSで4着となった実績がある馬。ハンデキャップ競走のGIIIなら十分にチャンスがあると見るべきでした。

M 重賞のタイトルを獲得したことで、今後はさらに注目度が高まりそうです。

伊吹 皆さんもご存じの通り、母のヌーヴォレコルトは2014年のオークス馬。また、父のKingmanは3歳時に欧州のGIを4勝した名マイラーで、日本国内での代表産駒に2021年のNHKマイルCを勝ったシュネルマイスターがいます。これだけ血統的なポテンシャルが高いわけですから、今回の勝利をきっかけに大ブレイクする可能性がありそう。今秋以降も目が離せませんね。

M 今週の日曜新潟メインレースは、しらさぎSに続くサマーマイルシリーズの第2戦、関屋記念。昨年は単勝オッズ6.6倍(3番人気)のトゥードジボンが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ14.7倍(8番人気)のディオが2着、単勝オッズ3.7倍(1番人気)のジュンブロッサムが3着という結果で、3連単の配当は3万60円。難しいレースではあるものの、大波乱決着はそれほど多くない印象です。

伊吹 実際、過去10年の関屋記念における3連単の配当は、平均値が5万9833円、中央値が4万1505円。10万円を超えたのは2017年(13万1710円)が最後ですし、堅く収まりがちな一戦と言えるでしょう。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ても、単勝7番人気以下の馬は3着内率が5.9%にとどまっています。

伊吹 より詳しく見てみると、単勝7番人気から単勝9番人気の馬は2015年以降[1-3-1-25](3着内率16.7%)、単勝10番人気以下の馬は2015年以降[0-1-0-71](3着内率1.4%)となっていました。単勝二桁人気クラスの伏兵がほとんど上位に食い込めていないことを踏まえたうえで買い目作りに臨むべきでしょう。

M そんな関屋記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、シヴァースです。

伊吹 話の流れ的にもちょうど良いところを挙げてきましたね。単勝二桁人気クラスということはないはずですが、それなりに妙味あるオッズがつきそう。

M シヴァースは4歳馬。2走前の夢洲Sを勝ってオープン入りしたばかりではあるものの、3歳時のきさらぎ賞で3着となった実績もあります。新潟芝1600m外のレースで1勝クラスを勝ち上がっており、コース適性の高さは証明済み。人気薄なら狙いたいと考えている方は案外多いかもしれません。

伊吹 あとは前走のしらさぎSで10着に敗れてしまった点をどう見るか――といったところでしょう。少なくとも、Aiエスケープは巻き返してくる可能性が高いと見ている模様。この見立てを踏まえたうえで、レースの傾向とこの馬のプロフィールを見比べていきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは直近のパフォーマンスを素直に評価したいところ。2020年以降の3着以内馬15頭中12頭は、前走の着順が1着、もしくは前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒以内でした。

M 大敗直後の馬はあまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 ちなみに、前走のコースが国内、かつ前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.5秒以上、かつ前走の4コーナー通過順が2番手以下だった馬は2020年以降[0-1-0-34](3着内率2.9%)。先行力が非常に高い馬でない限り、前走で上位に食い込めなかった馬は疑ってかかるべきでしょう。

M シヴァースは前走のしらさぎSで10着に敗れているうえ、勝ち馬とのタイム差が0.7秒。もともと先行力の高い馬で、前走の4コーナー通過順も2番手でしたが、数字の上ではこの条件に引っ掛かっています。

伊吹 あとは距離適性も重要なファクターのひとつ。同じく2020年以降の3着以内馬15頭中13頭は、前年以降に今回と同じ距離のレースで“着順が2着以内、かつ4コーナー通過順が5番手以内”となった経験のある馬でした。

M 今回と異なる距離のレースを主戦場としてきた馬や、差し・追い込みの競馬しかできないタイプは割り引きが必要ですね。

伊吹 おっしゃる通り。この条件をクリアしていない馬は、思い切って評価を下げるべきでしょう。

M シヴァースの2走前、夢洲Sは阪神芝1600m外が舞台で、このレースを4コーナー3番手のポジションから快勝。距離適性や脚質に不安はありません。

伊吹 さらに、同じく2020年以降の3着以内馬15頭は、父がキングカメハメハ系かヘイルトゥリーズン系の種牡馬でした。

M こちらもはっきりと明暗が分かれています。

伊吹 今年のメンバー構成で言うと、ノーザンダンサー系種牡馬の産駒、そしてキングカメハメハ系に属さないミスタープロスペクター系種牡馬の産駒は、割り引きが必要です。

M シヴァースの父はヘイルトゥリーズン系種牡馬のモーリス。不安要素が比較的少ない一頭と言って良いのではないでしょうか。

伊吹 もともと私もこの馬にはシルシを回すつもりでした。前走のしらさぎSは、結果的に差し馬が上位を占める厳しい流れ。前走好走馬が強いレースであることを加味しても、この一点だけをもって嫌うわけにはいきませんよね。他ならぬAiエスケープが有力と見ているわけですし、積極的に狙って良いのではないかと思います。

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