
4月に入社した新入社員が、研修を経て皆様の職場にも配属されているのではないでしょうか? 私が担当する管理職研修の中では、以下のような悩みをよく聞きます。
「新入社員を預かったが、育て上げて戦力化するために、どんな指導がいいのか悩みます」
「新入社員に離職されないように気を使っていますが、どこまで気を使えばいいのでしょうか」
「今時の新入社員とのコミュニケーションは、どのようにとっていくのがベストなのでしょうか」
皆様の状況は、いかがでしょうか? 今回は、配属された新入社員を組織に馴染ませ、定着させていく方法をご紹介します。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
入社間もない若手が転職意向を口にする原因とは?
リクルートの就職みらい研究所が毎年発表している『就職プロセス調査』の最新版(2025年卒対象)を見ても、就職先決定の理由は「自らの成長が期待できる」がトップです。これはここ数年変わりません。
|
|
2位は「福利厚生や手当が充実している」、3位は「会社や業界の安定感がある」でしたが、この2つの項目は、すぐに変化することは考えにくく、入社間もない若手が転職を考える原因としては、1位の「成長」に関係するものが大きいと想像されます。
成長に関連して新入社員が感じる不安や悩みとしては、
「この職場で仕事に必要な知識、技術を身に付けられるのだろうか」
「上司や先輩は丁寧に仕事を教えてくれるのだろうか」
といったものがあります。新入社員が入社早々に抱くこうした不安を、次に紹介する5つのステップで解消していきましょう。
5つのステップで、新入社員のオンボーディングを促進する
次のようなステップになります。
|
|
ステップ(1):メンバー間の相互理解を促進する
まず配属部署のメンバーとの相互理解を深めさせましょう。全体での自己紹介タイムや歓迎会を通して、どんな経験値やキャラクターを持った先輩メンバーがいるのかを理解させていきます。これまでの経歴や現在の役割など、先輩社員の人間性を理解できるように工夫していくことがポイントです。
ステップ(2):相談体制の構築
新入社員は人間関係や仕事の悩みを、誰に相談していいのか分からず一人で抱え込んでいることがよくあります。1on1を通して上司に相談できるタイミングを作ることやメンターを指定するなどして、不安や課題を相談できる体制を作ります。
ステップ(3):組織の目的と仕事を繋ぐ
|
|
入社早々の若者は、仕事に対して大きな期待を抱いています。新入社員の現在の仕事や、所属組織の目的、目標が会社のミッション・ビジョン・バリューにどう繋がっていくか伝えていきましょう。現在の仕事に意味や意義を感じられることが大切です。
ステップ(4):将来のキャリアイメージの明確化
新入社員のエンゲージメントを高めるために、管理職が伴走しながら将来のキャリアイメージを描いていきましょう。現在の役割と仕事を遂行していく先にどのようなキャリアステップがあるのか、イメージできるようになることが大切です。
ステップ(5):自己効力感を育み成長を促す
描いたキャリアイメージに向かって邁進できるよう、本人の自己効力感を育んでいきましょう。自己効力感とは、目標に対して「自分ならできる」「きっとうまくやれる」と、自分の能力を信じられる感覚のことです。小さな成功体験を積み重ねていくことで自己効力感が育まれ、成長実感を高めていきます。
以上、今回は、新入社員のパフォーマンスを最大化させるためのオンボーディングの進め方を、5つのステップでご紹介してまいりました。日頃の若手の言動や顔つきをしっかり観察し、どのステップに問題が起きているのかを判断しながら関わっていく必要があります。若手の早期離職が問題になっている中、簡単な取り組みではないですが、若手社員の成長に関わりながら上司自身の成長や組織の成長にも繋げていただければと思います。