
「もう広がってきていると思いますが、子どもへのブルーライトカット眼鏡の使用は悪い影響を与える可能性すらあるので、買うときは普通のレンズで大丈夫です」
ドクターK@眼科医パパさん(@doctorK1991)によるX(旧Twitter)への投稿が話題となりました。この投稿では、公益社団法人 日本眼科医会による「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見(※1)」も紹介されています。
「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。偏りのない情報と充分な科学的根拠に基づいて、小児の目の健康を守って頂くことを願います(※1から引用)」と、さまざまな科学的根拠を説明しています。
「ええっ、そうなの?!」
「子どもにダメなら、大人もなんか影響ありそう。。。」
「メガネ屋にその情報が伝わってないのかな」
「可視光範囲でカットするんだから、四六時中つけてたら特に子どもは色感覚普通におかしくなりそうだし、色覚の成長に影響しそう」
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意外!知らなかった!という声に加えて、眼鏡店に勤務されてると思われる人からもコメントが寄せられました。
「日本眼科学会で子どもへのブルーライトカット眼鏡って推奨されてないんですよ」
「これ、本当にそうなんだけど、ブルーライトカット=万人にいい!というイメージのお客さんまだ多い」
実は筆者も知らず、「確か私のサングラスも、ブルーライトカットになっていたような……」と。この興味深い投稿の詳細について、ドクターK@眼科医パパさんにお話を伺いました。
ブルーライト=悪ではなく、体内時計の調整に必要
ーーブルーライトは「網膜に届きやすいからカットしたほうがいい」と、悪者扱いにしていました!
「必ずしも『届く=悪い』ではありません。ブルーライトは可視光線の一部であり、太陽光や電球から出る光に含まれています。昼間のブルーライトは体内時計の調整や覚醒に役立つため、一律にカットすべきとは限りません。ただし、夜間はカットした方がよいケースが多いです。そのため、デジタル機器から発せられるブルーライトをカットすることが良いと広まったのだと思います」
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ーー子どもにとって、ブルーライトカット眼鏡をつけると、どういう影響があると想定されるのでしょうか?
「『小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見(※1)』では、『小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。なかでも十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まります。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません』と書かれています」
ーーでは、子どもはもちろん大人も、ブルーライトはある程度、浴びた方が良いということでしょうか?
「はい。大人も朝〜昼にブルーライトを適度に浴びることで、概日リズムが整い睡眠の質が良くなると言われています。ただし、夜間の浴びすぎは睡眠に悪影響を与える可能性があるため、時間帯がポイントです。睡眠の1〜2時間前からは浴びない方がいいですね」
ーーちなみに、先生のおっしゃる子どもは、何歳くらいでしょうか?
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「子どもへの影響を考える場合、中学生以下は特に注意が必要です。ただ、年齢に限らず、体が成長している間は近視なども進みうるので、成長が止まるまでは注意が必要です。」
ーーでは子どもと大人で、ブルーライトを発する電子機器を見る際の目の保護対策は違いますか?
「はい、異なります。 子どもはそもそも、使用時間や距離を管理することが重要。眼鏡よりも『使いすぎない』ということが優先です。 大人はブルーライトカット眼鏡や画面設定変更など、視環境を調整する対策が有効です」
ーー分かりやすいですね。ブルーライトを防ぐシートなども販売されていますが、これは効果がありますか?
「はい、一定の効果があります。特に夜間に画面を見る習慣がある人には有効です。日中の自然光からブルーライトは浴びられるので、電子機器に貼って『夜の人工光対策』として活用するとよいでしょう」
ーーちなみに、ブルーライトカット眼鏡をかけたほうがいい人もいますか?
「例えば、長時間パソコンやスマホを見る人。夜間に強い光を見ることが多い人。 睡眠の質が悪いと感じている人などですね」
◇
ブルーライトを浴びすぎて体内時計が狂うこともあれば、ブルーライトをカットしてしまうことで狂うということもあるのですね。ドクターK@眼科医パパさん曰く「ネット上には目に関する情報は正しいものもあれば、誤ったものもあるので気を付けたいですね」とのこと。正確な情報は大切ですね!
ドクターK@眼科医パパさんこと栗原大智さんは、先日『スマホ時代の「眼」メンテナンス』(高橋書店)を出版。間違った知識、気になる症状の予防・治療法、目のセルフチェックとセルフケア法をイラスト付きでわかりやすく解説。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)