「太っている私が、かわいい女の子を描くなんて」…絵をあきらめた私を変えた出会い “そのままの自分でいい”と気付き、世界一かわいい子を描けるようになるまで【漫画】

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2025年07月24日 07:20  まいどなニュース

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「その子、なんでそんなに太ってるの?」友人のひと言から…(haraさん提供)

見た目や体型にコンプレックスを感じ、何かに挑戦することをためらったことがある人は少なくないでしょう。イラストレーターで漫画家のharaさんは、そんな葛藤を経て、自分らしさを取り戻していった日々を描いた作品『絵描きを目指してた子が、ぽっちゃりした女の子を描くようになった話』をSNSに投稿し、多くの共感を集めました。

【漫画】「その子、なんでそんなに太ってるの?」友人のひと言から、絵が描けなくなっていきました(全編を読む)

小さい頃から絵を描くのが大好きだったharaさんは、高校生の時に美大進学を目指して画塾に通っていました。ある日、女の子の絵を描いていると、友達から「その子、なんでそんなに太ってるの?」と言われ、自分の体を無意識にモデルにしていたことに気づきます。

自分自身を太っていて可愛くないと思っていたharaさんは、それ以来、女の子を可愛く描くために、自分のイメージを絵から切り離そうと意識するようになりました。

その後、無事に美大に合格したharaさんでしたが、もともと抱えていた摂食障害のなかでの一人暮らしは想像以上に過酷なものでした。課題に追われる毎日で、過食と嘔吐をくり返しながら、かわいくなれない自分に深く落ち込んでいきます。

そんななか迎えた就職活動。haraさんは、自分の絵が活かせる場所を見つけたいと前向きに面談に臨みますが、相手からの話は見た目やおしゃれに関するものばかりです。絵と自分は別のものとして描いてきたはずなのに、評価されているのは自分自身かもしれないと気づき、社会の現実を思い知らされます。

やがて自分のような人間が絵を描いて何になるのかと悩むようになり、思うように絵を描けなくなっていきます。そしてharaさんは、涙を流しながら卒業制作を仕上げ、これを最後に絵を描くのをやめようと心に決めます。

本屋で偶然出会った、自分を肯定する言葉

卒業後、地元に戻って絵とは関係のない仕事に就いたharaさんは、社会人としての生活をスタートさせました。そんなある日、地元の本屋で「プラスサイズモデル」や「ボディポジティブ」という言葉に出会います。「太っていてもおしゃれをしていい」「自分のままで大丈夫」といった考え方は、これまでharaさんを縛っていた価値観を大きく揺さぶりました。

そしてharaさんは「今のままの自分を好きになってもいいのか」と思い始め、久しぶりに絵を描こうとペンを取ります。無理に細く描かず、自分に近いラインをそのまま描いてみると、「楽しい」「うれしい」という感情があふれてきました。そのとき初めて、自分は最高にかわいい女の子を描いているのだと、心から思えたのです。

再び絵が描けるようになり摂食障害の症状も落ち着いてきたことから、haraさんは関西での一人暮らしを再開します。絵やマンガの仕事も少しずつ増え、読者からの「癒された」「肯定された気がした」といった声が、大きな励みになっています。

「かわいい」が誰かと比べるものではなく、自分を肯定する気持ちとして当たり前に広がってほしいという願いを込め、今も描き続けるharaさんに話を聞きました。

自分で自分にかけている呪いに気づくきっかけになれば

ー友人に描いた女の子の体型を指摘された経験は、ご自身の摂食障害に影響を与えたと思いますか?

この指摘をされたのは、もう既に摂食障害の症状がある頃でした。でも何気なく描いた女の子の体型を指摘されたことは驚きでしたし、「自分の体型もどう思われているかわからない」「自覚している以上に、他人から見た私もものすごく太って見えているのかも」という疑心暗鬼が大きくなっていくきっかけだったように思います。

ー美術系の学校や業界では、今も「見た目」や「おしゃれ」が重視されていると感じますか?

業界全体のことは分かりませんが、見た目やオシャレが重視される空気は、今も完全になくなったわけではないと思います。特にSNSでは、そうした発信が目立つぶん、「この仕事をするには、こういう見た目じゃなきゃ」と思い込んでしまう人も多いかもしれません。ただ、SNSも面接もあくまでアピールの場。素の自分と比べて落ち込まなくても大丈夫です。

ー今のharaさんが思う「かわいい女の子」の定義を教えてください。

「かわいい」の定義は人それぞれで、痩せている体型だけが当てはまるわけではありません。好みや状況によって変わる曖昧な感覚だからこそ、「これが正解」といった外からの押しつけには、疑問を持ったり距離を置くことも大切だと思います。

ー作品を通して伝えたい思いがあれば、ぜひお聞かせください。

体型のコンプレックスや「痩せないと幸せになれない」といった思い込みに、私自身も長く縛られていました。私の場合、プラスサイズモデルさんやボディポジティブの存在に出会い、その呪いのような考えに気づくことができました。私の作品が誰かにとって、そんな気づきのきっかけになれたら嬉しいです。

(海川 まこと/漫画収集家)

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このニュースに関するつぶやき

  • 実話には思えず、よくあるフェミ系のステレオタイプでつまらない。一部の人の脳には共感原理が働くんでしょう。
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