トランプ氏「勝利宣言」演出=「大型合意」で停滞払拭―関税長期化、くすぶるリスク

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2025年07月24日 08:20  時事通信社

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ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領=22日、ワシントン(AFP時事)
 【ワシントン時事】トランプ米大統領は、日本との貿易交渉で合意したと電撃的に「勝利宣言」した。背景には、巨額の貿易赤字を計上する日本との「大型合意」を誇示することで、交渉の停滞感払拭を演出し、他国との交渉を加速させる思惑がありそうだ。ただ、高関税措置の長期化が景気の腰折れを招く恐れもある。「米国第一」を掲げるトランプ氏の要求は今後も予測不能で、日本政府は引き続き米側の出方に神経をとがらせることになりそうだ。

 「史上最大の合意だ」。トランプ氏は22日、ホワイトハウスで満足げに語った。

 トランプ氏はこの日、米国の譲歩により自動車関税を引き下げることには触れず、日本が「聖域」として死守してきたコメの輸入拡大をのませたことを誇った。日本企業による巨額の対米投資も引き合いに出し、「過去の合意とは大きく異なる」と豪語した。

 ほぼ全ての貿易相手国・地域を対象に当初90日間と定めていた交渉期間で合意に至ったのは、英国とベトナムだけだ。トランプ氏は8月1日まで期限を延長し、各国首脳に対する書簡で高関税をちらつかせ、強引に市場開放を迫るなど焦りも透けた。その後、インドネシア、フィリピンとの合意にこぎ着けたものの、対米報復を掲げて強硬姿勢を貫く欧州連合(EU)や中国、「最前列」にいたはずのインドとの合意は遅れている。

 主要な貿易相手国である日本との電撃合意は、他国との協議を前進させ、好条件を引き出す狙いもあるとみられる。日本との合意が他国にとって「新たな基準」となるためだ。トランプ氏は対日合意を発表した直後、「あす23日はEUが来訪し、その後も他国がやって来る」と強調した。

 来年秋の米国中間選挙に向けて求心力維持を図りたいトランプ氏。米国の関税収入が急増する一方、物価上昇は顕在化しておらず、雇用統計も底堅い。だが、日本以上に懸案であるEUや中国などとの交渉で成果が挙がらず、関税戦争が米消費者の懐を直撃すれば、新たな実績作りに突っ走り、日本に再び矛先を向けるリスクもある。日本政府は「追加の要求が出てくる可能性がゼロかと聞かれれば、それは分からない」(交渉筋)と身構えている。 

このニュースに関するつぶやき

  • 総理は日本の米を輸出するとか言っていたね。しかし、公約を守ったことはないとうそぶく総理だから国民も信じてはいない。作った米は輸出して国民はアメリカの米を食うか。
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