
「保護猫の譲渡会、やっぱり子猫が人気らしい。大人猫さんの魅力をつぶやきたい。うるめちゃんは4歳半のときに我が家に来ました。最初は生活音に慣れておらず、人への慣れ具合も“撫でられる程度”。でも1年後、私がソファに座っていると甘えてきたり、『にゃあ』とおねだりしてくれるように。おもちゃでは一生懸命遊ぶし、他の猫にも積極的に絡みに行く。一番驚いたのは、夜中に赤ちゃんの授乳で起きていると、一緒に起きて見守ってくれること。大人猫の魅力、少しでも伝わりますように! 保護猫を検討している方、大人猫もぜひ見てくださいね」
そう綴って写真を投稿したのは、Xユーザーの硝子さん(@Purin20191)です。写っていたのは、サビ猫の「うるめ」ちゃん(5歳・女の子)。飼い主さんの言葉には、4歳半で迎えた元保護猫へのあたたかな思いと、大人猫ならではの魅力への確信が詰まっていました。
この投稿には3.1万件超の“いいね”が寄せられ、多くの人の共感を呼んでいます。そんなうるめちゃんとの出会いと、これまでの歩みを詳しく伺いました。
“ずっとのおうち”を探していた母猫に訪れた春
うるめちゃんとの出会いは、先住猫たちとの縁からつながっていました。飼い主さん宅には先住のキジトラ猫「しらす」ちゃんと、里親さんから譲渡されたハチワレ猫「めかぶ」ちゃんが暮らしており、実はうるめちゃんは、めかぶちゃんのきょうだい猫なのです。
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「めかぶが子猫のときに保護された際、うるめは捕まらず、地域猫として暮らしていたそうです。1歳半くらいの頃に、5匹の子どもを連れて現れたところを親子一緒に保護されました」
その後、子猫たちは無事にずっとのおうちが決まりましたが、大人猫だったうるめちゃんだけはなかなかご縁が見つからなかったといいます。
「ずっと気になっていて、保護団体のHPに載っているのを何度も見ていました。すでに2匹いるし悩んだのですが、“キャリアアップできたらお迎えしてもいい”と夫と約束して…無事に目標を達成できたので、うるめを迎えに行きました」
3匹目に消極的だったというご主人も、うるめちゃんに一目ぼれ。
「『めかぶとそっくり! かわいい!』って、即決でした(笑)」
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“猫とは思えない顔”でシャー 慎重な性格の奥にあったもの
お迎え初日、うるめちゃんは「猫とは思えない顔でシャーと言っていた」と飼い主さん。めかぶちゃんとは正反対の慎重派で、生活音にもおびえるような様子だったといいます。
「とても賢くて、他の猫の行動を見ながら徐々に家に慣れていきました。最初の頃は、人間が近づくと逃げてしまう。でも、おもちゃで遊ぶうちに、少しずつ心を開いてくれました」
しらすちゃんやめかぶちゃんとの関係も、最初は一筋縄ではいかなかったとか。
「先住猫たちからシャーシャー言われていましたが、それでもめげずに絡みに行っていました。猫には社交的でも、『人間にはまだまだ時間がかかるかな』と思っていたんです」
そんなうるめちゃんが、ある日から変わっていきました。
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「先住猫に混じって遊ぶようになったり、撫でてほしそうに寄ってくるようになったり…。気づいたら、1匹でも人間に甘えてくるようになっていたんです」
特に印象に残っているのは、飼い主さんが妊娠・臨月を迎えた頃の出来事です。
「疲れてソファで横になっていると、うるめがそっと乗ってきて『撫でて』と甘えてくれたんです。今までそんなことなかったのに! きっと、うるめなりに何か感じ取ってくれていたんだと思います。とても優しい子です」
現在は、夜中のミルクタイムにも一緒に起きて、赤ちゃんを見守ってくれているそうです。
ひとりで命を守った日々を越えて、今は“甘える番”
うるめちゃんは、かつてひとりで5匹の子猫を育てあげた母猫でした。
「私自身が妊娠・出産を経験して、あらためてそれがどれほど大変なことだったかを痛感しました。猫と人間では違うけれど、うるめも1匹でがんばって、警戒心が強いのに人間に近づいてごはんをもらい、自分はガリガリになっても子どもを守った。ほんとうに尊敬しています」
そして今は、そんなうるめちゃんにこう伝えたいといいます。
「今度は、うるめがたくさん幸せになる番だよ。いっぱい甘えて、いっぱい食べて、いっぱい遊んでね」
地域猫として子育てをしていた日々、ずっとのおうちがなかなか見つからなかった日々を経て…今、うるめちゃんは家族の真ん中で、あたたかな時間を過ごしています。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)