
高校サッカーインターハイ2025注目選手 後編
高校サッカーのインターハイで活躍が期待される、チームの攻撃のキーマンは誰か。 ここでは攻撃的MF&FWの注目選手8人を紹介する。
前編「Jクラブも注目の大会屈指のDF&ボランチ8人」>>
長璃喜
(おさ・りゅうき/昌平/MF/3年/165cm、62kg)
U−18世代屈指のドリブラーが進化を遂げている。1年時の選手権で衝撃的な3試合連続ゴール。シザース、切り返しから一気に加速し、左サイドから中、縦へ切れ込むドリブルはわかっていても止められない。
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毎試合のように対戦相手からドリブルを警戒されるなか、今年は裏抜けなどオフ・ザ・ボールの動きが増加。埼玉県予選ではいずれも鋭い動き出しから2試合連続ゴールを決めるなどプレーの幅が広がり、得点数にも結びついている。
「得点、シュートの意識は上がっています。(進路も注目されるが、)まずはインハイ」
前回大会決勝では2度の同点ゴールでチームを救い、試合終了間際に決勝点をアシスト。"主役"となったMFが今年も夏に輝く。
山口豪太
(やまぐち・ごうた/昌平/MF/3年/172cm、60kg)
ジュニアユースのFC LAVIDA時代から注目されてきたスーパーレフティ。1年前のインターハイでは10番を背負って出場し、5アシストを記録するなど初の日本一に貢献した。同じく10番として臨む今年は、埼玉県予選決勝で左足のスーパーミドルを決めて決勝点。全国連覇への挑戦権を獲得した。
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右サイドから得意のドリブルでマークを外し、シュート、ラストパス。昨年まではケガの影響でなかなか得点数を増やせなかったが、今年はプレーの質や裏抜けの意識が高まっており、課題として取り組んできたシュート練習の成果も出始めている。
「プロ1本で考えていて、そこに行きたいなって思っています」というように、希望進路はプロ。インターハイの活躍で、より自身の価値を上げる。
豊田寛太
(とよだ・かんた/立正大淞南/MF/3年/174cm、63kg)
パスセンスを武器に下級生時から出場機会を掴んできた司令塔。「昨年よりも脅威になれる選手を目指している」と話す今季の成長は著しい。大きな変化はゴールへの意識だ。
「去年はどちらかというと捌くプレーが多かったけど、それだと怖さがない。『もっと怖い選手にならなければいけない』と先生方に言われているので、ボールを持ったら前に進めたり、走りながらもらおうと意識している」
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判断よくボールを動かしながら、自身も積極的に相手ゴール前に顔を出し、フィニッシュに絡む。攻撃のすべてに絡む姿は立正大淞南のキングと言っても過言ではない。豊田を中心とした攻撃の破壊力は全国でも上位で、近年続く早期敗退の流れを食い止められるか注目だ。
福島和毅
(ふくしま・かずき/神村学園/MF/3年/161cm、59kg)
中盤での持ち運びに長けたプレーメーカー。相手の間合いからうまく外れ、囲まれても簡単にマークを剥がせるだけでなく、奪われそうになればパスで逃げることもできる。随所でセンスの高さを見せつけ、Jリーグのスカウト陣が川崎フロンターレの大島遼太の名前を挙げるのも頷ける選手だ。
「ピッチ内で引っ張る意識は強い」と口にする今季は、チームを勝たせるために守備で奮闘する意識が強まり、守備強度も増している。
昨年のインターハイは準優勝したが、ケガ明けで思いどおりに出場機会をつかめず。出番を得た決勝では先制点をマークしたが、直後に再び負傷し、交代を余儀なくされた。悔しさを晴らすために、今年は主役として昨年越えを狙っている。
大藤颯太
(おおふじ・そうた/流経大柏/FW/3年/186cm、74kg)
長身ストライカーは今年、大きなインパクトを残している。下級生時に榎本雅大監督からボランチやセンターバックでの出場機会も与えられながら、ひたむきに努力してきたことが結実。もともと備えていたスピードを裏抜けで発揮できるようになったことや、DFにとって何が嫌かを理解したことでプレーの幅が広がり、自信を持つ技術もより表現できるようになっている。
プレミアリーグEASTで得点ランキング首位タイ(6月末、第11節終了時点)の8得点をマークし、千葉県予選決勝でも2得点。ゴール前の狭い局面でもボールを失わず、難易度の高いゴールを連発して周囲を驚かせている。インターハイの目標は「得点王を取りたいです」。大ブレイク中の大器が日本一と個人タイトルも勝ち取る。
瀬尾凌太
(せお・りょうた/桐蔭学園/FW/3年/181cm、78kg)
今年6月にU−17日本代表スペイン遠征メンバーに初選出され、カナダ戦とモロッコ戦で2試合連続ゴール。
また、同5月以降のプリンスリーグ関東1部で大宮アルディージャU18や横浜F・マリノスユース相手に5戦連発、計9ゴールと活躍し、桐蔭学園を5連勝へ導いた。これまで全国出場歴こそないものの、2008年早生まれで「フィニッシュの質には自信があります」というFWは、U−17W杯メンバー候補に急浮上してきている。
高校進学前から意識して肉体強化。昨季は壁に当たっていたが、現在は181cm、78kgのサイズを生かしてポストプレーでも強さと精度を発揮し、その得点力で違いを生み出している。アピールのためにも「毎試合1点以上」を誓うストライカーが、大舞台でゴールを量産する。
オノボフランシス日華
(おのぼ・ふらんしすにちか/山梨学院/FW/3年/179cm、67kg)
今季開幕前のフェスティバルでは、強豪校や1歳年上の山梨学院大1年生を相手に"無双"。爆発的なスピードによるラインブレイクと相手を引きつけてから急加速するドリブル、浮き上がるような跳躍から繰り出すヘッドなどでDFをねじ伏せ、ゴールを量産していた。
「マークされるのは当たり前なんで。そこを突破してこそストライカー」というオノボは勢いそのままにプリンスリーグ関東1部開幕戦で横浜F・マリノスユースから3発。リーグ戦前期だけで10得点をマークし、山梨県予選でも8得点を記録した。技術力、体力の向上は必要だが、世代屈指のストライカーであることは確か。
「プロで活躍して親孝行したい」という夢を叶えるためにも、今夏、大暴れする。
伊藤湊太
(いとう・そうた/京都橘/FW/3年/183cm、65kg)
183cmの身長とスピードに乗ったドリブルが持ち味で、左サイドから放つカットインシュートは魅力十分。
「たくさんJのスカウトに見られるのはわかっていたので得意なドリブルを最大限に出してアピールしようと思っていた」
そう振り返る昨年の選手権を機に注目度が高まり、今年はU−17高校選抜とU−18日本代表に選出された。複数のJクラブに練習参加した経験も大きく、京都橘のスタッフは「ボールを持ってから自分でやろうという気持ちが強くなった。プレーに余裕を感じる」と口にする。
ケガの影響で予選の出場機会は限られたが、全国大会で復帰予定。プロ入りが有力視されるストライカーが、チームの命運を握ると言っても過言ではない。