EHOMEWEI(イーホームウェイ)の「LQG-156PW」は、2K(2560×1440ピクセル)表示に対応した15.6型のモバイルディスプレイだ。144Hzのリフレッシュレートに対応し、DCI-P3の色域を100%カバーする他、タッチ操作およびタッチペンもサポートするなど付加価値の多い製品だ。国内代理店から機材を借用したので、レビューをお届けする。
●17型モデルとは異なる独自仕様 アスペクト比は16:9
まずは基本的な仕様を見ていこう。画面サイズは15.6型で、解像度は2560×1440ピクセルと、アスペクト比16:10だった17型モデル「RQG-170PW」とは異なり、天地がやや狭い16:9となっている。パネルタイプもIPSで、17型モデルのQLEDとは異なっている。
画面はグレア調だが、付属の保護フィルムを貼ることで映り込みを減らすことができる。
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リフレッシュレートは144Hzで、視野角は水平/垂直ともに178度、明るさは最大400ニト、コントラスト比は1000:1となっている。応答速度は1msだ。Windowsの10点マルチタッチを始めとしたタッチ操作に対応する他、MPPプロトコル準拠のタッチペンが付属しており、手書き入力も可能だ。
こういったスペックは、以前紹介した17型モデルとほぼ共通だが、本製品の背面のスタンドは横から見るとL字になっており、T字状だった17型モデルとは外見が全く異なる。意図的に変えているのか、あるいは供給元が違うなどの事情なのかは不明だが、17型モデルにはなかったデバイス接続用のUSB Micro-Bポートを搭載するなど、単純なサイズ違いのバリエーションというわけではない。
重量は製品ページ上では990gだったり925gだったりと表記にばらつきがあるが、実測では994gだった。スタンド込みであることを差し引いても、15.6型としては少々重めだ。保護ケースと合わせると1kgをゆうに超えるので、軽さを重視するユーザーは要注意だろう。
付属品は各種ケーブルに加えて給電用ケーブル、アダプター、タッチペン、さらに保護フィルムもセットになっており、モバイルディスプレイとしてはトップクラスと言えるほど充実している。
●タッチ操作およびタッチペンによる入力をサポート 縦置きは微妙
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では実際に使ってみよう。接続方式は、USB Type-CかHDMIの2択だ。USB Type-Cは2ポートあるが、タッチ操作およびタッチペンによる入力を行う場合は中央寄りのポートを利用する。
画面については、正面から見ると十分な品質なのだが、斜め方向から見た時は暗く見えがちな傾向がある。QLEDを採用していた17型モデルと比べるとその差は明らかで、あまりIPSらしく見えない。USB Type-C接続の場合、デフォルトでは輝度は低く設定されるため、なるべく上げて使った方がよいだろう。
なお本製品のスタンドは後部に飛び出ている構造上、ノートPCを真横に設置してもケーブルは干渉しづらいのだが、本体を縦置きにするとケーブルが真上から飛び出る格好になり、見た目がよくないことに加え、安定性も横置き時と比べるといまひとつだ。一時的に使うだけならまだしも、縦置きを中心に使うようであれば、別の製品を選んだ方がよいだろう。
また本製品は、2つのUSB Type-Cポートを用いてのパススルー給電にも対応している。試しに本製品を100Wの充電器につなぎ、その先にノートPCをつないだところ、ノートPCからは60Wの電源に接続していると認識された。
これが本製品付属の最大30Wの充電器だと、ノートPCからは15Wの充電器とみなされ、やや力不足なので、ノートPCのバッテリーをきちんと回復させたければ、より出力の高い充電器を用いた方がよいだろう。
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なお本製品はMicroB-ポートも搭載しており、マウスやキーボードを接続できる。もっともこの場合、フルサイズのUSBポートをMicro-Bに変換する必要があり、その変換アダプターは本製品には付属しないので、実際に使われることはあまりないかもしれない。
タッチ操作については、USB Type-Cの場合は接続するだけで利用できる。別のディスプレイがタッチによって反応してしまう場合は、コントロールパネルの「タブレットPC設定」で、タッチに用いるディスプレイを正しく指定すればよい。ちなみにHDMI接続でタッチ操作を行うには、信号伝送用のUSBケーブルを別途接続する必要がある。
さらにタッチペンも利用できる。付属のタッチペンはMPPプロトコル対応で、4096段階の筆圧検知と、45度の傾き検知に対応している。タッチペンを使う場合は、17型モデルと同様、本体を天地逆向きにすると安定した筆記が行える。
●やや癖があるOSDメニュー
OSDメニューについても見ていこう。OSDメニューは本体右側面のボタンを使って呼び出し、その後はタッチパネルで操作する。各項目はアイコン表示で、中には意味が分かりづらいアイコンもあるが、使い勝手自体は直感的で完成度は高い。
なおジョグダイヤルは音量調整および輝度調整に使用するのだが、こちらも17型モデルと同様、ジョグダイヤルを倒す向きと実際の画面上での動きが逆になっており、違和感がある。例えば、音量は奥に倒すと音量が上がり、手前に倒すと下がるのが一般的だと考えられるが、実際の向きは逆になっている。将来的にはファームアップなどで修正されることを望みたい。
●高い完成度で驚きの5年保証 長く使いたい人に
以上のように、タッチ操作およびタッチペンによる入力に対応しつつ、現行のモバイルディスプレイのトレンドであるパススルー給電にも対応している、さらに2K解像度や144Hzのリフレッシュレート、DCI-P3の色域も100%カバーするなど、高機能/高性能の製品だ。縦置き時の安定性が低かったり、ジョグダイヤルの動きが逆だったりと、ちょくちょく気になる点はあるが、全体的な完成度は高い。
実際に使って気になったのは、下部のベゼル幅がかなり広いことだ。アスペクト比が16:10を想定して設計したところに16:9のパネルを埋め込んだかのようで、最初に利用した際はアスペクト比が正しく指定できておらず黒帯になっているのかと思ったほどだ。画面下のラインがかなり高い位置にあるので、ノートPCと高さをそろえたい場合は、違和感があるかもしれない。
実売価格は4万4980円と、一般的な15.6型のモバイルディスプレイより値は張るが、タッチペンを筆頭に付属品が充実している上、5年もの長期保証にも対応していることを考えると妥当だろう。前回紹介した17型モデルとともに、ハイエンドな製品を長く使いたいユーザーに向いた製品といえる。
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