
4月の開幕からどうにか全ての外国館(7月19日についに開館したネパール館は除く……悔しい)を回った経験と長年の海外旅行ガイドの見地から、「内容に比べて待ち時間のタイパがいい!」と感じた外国館を、定番人気パビリオンから穴場的パビリオンまで5つ、ランキング形式でご紹介します。
若干のネタバレありで、当然筆者の主観も入っていますが、遠方からの訪問で、何度も行けない苦労を元にした情報ですので、ぜひ参考にしてみてください!
第5位:サウジアラビア館
サウジアラビア館は、まるで中東のスーク(市場)に迷い込んだような、独特のパビリオンのデザインが魅力的です。しかし一歩中へ入ると、サウジアラビアが目指す近未来のイノベーションについての展示がずらりと並び、伝統的なアラブのイメージとはまた違うサウジアラビアの新しい一面を知ることができます。見学は小さな館から小さな館へ移動しながら進みます。途中にある中庭の広場では、時間によってサウジアラビアの伝統音楽の生演奏が行われ、エキゾチックな調べで伝統的なアラブの世界にすっかり引き込まれていくようです。
中東といえば砂漠の夜に味わうアラビックコーヒーを思い浮かべる人も多いのでは。併設のカフェで提供していますのでぜひ。
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おそらく通常は30分前後、1時間待つことは少ないはずです。午前早めと夕方以降は待ち時間ほぼなしになることも。
第4位:クウェート館
こちらも蝶が羽を広げたような独特のスタイルが目を引くパビリオンです。館内ではまず、球体のモニターに映し出されたクウェートの歴史を、まるでタイムトラベルしているかのように学べます。その後に続くのは、中東の砂漠の世界を演出したコーナー。ここでは、サソリなどの動植物がリアルな映像で砂上に映し出され、あたかも生きているように感じられます。
そして、近未来の都市を体感するコーナーを経て、圧巻のクライマックスへ。砂漠型のスペースに横たわりながら眺めるプラネタリウム風のシアターは、夜の砂漠に身を任せているようで、もう動きたくなくなります、ホントに。
館内のトンネルを貫けるすべり台もあり、総じて大人から子どもまで楽しめるという意味では随一のパビリオンかと思います。
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開幕の頃には割とすんなり入れましたが、こちらも定番人気パビリオンの一角に入ってきた印象があります。1時間以上の待ちを想定する必要がありますが、列の打ち切り(並ばせてもらえない)を行うことが多いようで、できるだけ午前中の早い時間に並ぶか、事前予約枠がありますので、抽選にトライしてください。
第3位:フランス館
外国館の展示は通常2〜3部屋で終わることが多いのですが、フランス館のすごいところは、これでもか、これでもかというくらい、フランスのカルチャーやファッションブランドについての展示が続くところ。定番の人気パビリオンですが、隣にあるアメリカ館の行列がすごいため、やや空いている印象を受けるものの、展示内容の濃さはアメリカ館に劣るものではないと思います。
※平日日中の待ち時間
日中は1時間以上の待ち時間が見込まれるため、東ゲートから朝一番、もしくは夕方以降を狙ってください。
第2位:モザンビーク館
1つの建物をヨルダン、ペルーと3館で共有している中規模パビリオンです。館内はまず2階のシアターで旅行デスティネーションとしてのモザンビークの魅力を紹介し、続く1階の展示室で同国の産業、自然、文物などをバランスよく配置、説明しており、秀逸なパビリオンだと思います。
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売店には現地の特産品がところせましと並んでいますので、万博ならではの珍しいお土産探しにももってこいかと思います。実はこちら、館内に座れる場所が多いので、少し足を休ませながら見学できるのもおすすめのポイントです(もちろん休憩を目的とした長時間滞在はいいマナーではありませんが)。
※平日の日中の待ち時間
驚くことに、こちらは日中でも待ち時間ゼロで入館できることが少なくありません。筆者も複数回訪問してしまいました。ぜひ皆で訪問して、モザンビーク館を応援したいと思います!
第1位:ハンガリー館
ハンガリー館は展示数こそ多くはないものの、その演出は見る者を惹きつけます。入館するとまずハンガリーのアート展示が迎えてくれ、その先に真っ暗なホールが続きます。目を凝らすと、ホールの中央にハンガリーの伝統的な衣装をまとった女性が静かに立っています。あまりに微動だにしないため、最初は人形かと見間違えるほど。しかしやがて、暗闇の中を一条の光が差し込み、女性を鮮やかに照らし出したとき、静かにパフォーマンスの幕が上がります。
ホールに響き渡るのは、何とも物悲しいハンガリー伝統音楽の調べ。演者のピンと張った圧倒的な声量の歌声がホール全体に余すことなく伝わり、闇を照らす光の演出も相まって、一同は深い感動の渦に包み込まれます。
パフォーマンスが終わり、周囲が明るくなると、他ではよく見かける動画を撮っている人の姿は1人もありませんでした。皆、まさに「今ここ」「この時間」でしか味わえない、本物の生の歌声の力に深く没頭していた証でしょう。
また、ハンガリー館のマスコットである、ハンガリーの衣装をまとった「ミシュカ(男性)」と「マリシュカ(女性)」の人形もペアで人気を集めています。
※平日日中の待ち時間
おそらく日中でも1時間程度で入館できるはずです。午前早めと夕方以降ならそこまで待つことはないでしょう。また予約のできる外国館の1つであり、現時点では比較的予約も取りやすいと思われますので、事前抽選ではぜひ第1から第5希望の中の1つに入れてみてはいかがでしょうか。
(文:中原 健一郎(海外旅行 ガイド))