KDDIとローソンは7月24日、「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東京都港区)内にあるKDDI本社の社員専用フロアに「ローソン S KDDI高輪本社店」をオープンした。オフィス環境に特化した「Real×Tech LAWSON」の実験店舗で、社員の生産性と利便性の向上を図る。配送ロボットを計10台導入し、オフィス内での回遊販売やデリバリーも実施する。
店舗はKDDI社員専用で、レジを設けず完全キャッシュレスで運営する。専用の「オフィスローソンアプリ」を使い、商品コードをスマートフォンでスキャンして決済する仕組みだ。事前にアプリで商品をカートに入れておくこともできる。
ただし、アプリと店頭の在庫状況は連動していないため、チェックイン後に商品を手に取ってから決済する必要がある。チェックインは、店頭の専用端末にスマホをかざして行う。広報担当者は「将来的には在庫と連動した運用を目指す」と話した。
KDDIが社員約1万人を対象に実施した調査では、約9割が日常的にコンビニを利用している一方で、「昼休みなど特定の時間に来店が集中しやすく、混雑やレジの待ち時間がストレス」といった課題があった。新店舗ではアプリ決済などにより、店内の平均滞在時間が約2分ほどになったという。
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陳列や清掃はロボットが担当し、値札には電子棚札を採用。店内カメラで人の動きを分析し、商品配置の改善にも役立てる。通常、同規模の店舗では4人程度の人員が必要だが、「ローソン S KDDI高輪本社店」は1人で運営可能だという。
●配送ロボットでオフィス内の買い物も
オフィス内での回遊販売やデリバリーに対応するため、配送ロボットを計10台導入した。社員からの「執務スペースを離れずに買い物したい」といったニーズに応えるもので、軽食や飲料を気軽に購入できるようにした。
ロボットは商品を載せて各フロアを自動で巡回する。現在位置や在庫はアプリで確認でき、欲しい商品があれば近くのロボットから取り出して決済できる。エレベーターとも連携しており、階の移動も自動で行う。なお、ロボットにはカメラを搭載せず、社内利用に配慮した設計となっている。
商品デリバリーでは、同建物内に6月に開業した「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」から運ぶ。アプリで注文すれば、配送ロボットが執務室まで商品を届ける。オフィス内の「S KDDI高輪本社店」では「からあげクン」などの揚げ物を扱っていないが、デリバリーによって購入が可能だ。
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アプリでは購買履歴に基づき、よく購入する商品や好みに応じた提案も行う。今後はカロリーや栄養バランスを考慮した商品のレコメンドも行う予定で、「毎日利用するオフィスだからこそ健康を意識した選択をしたい」という声に応える。社員IDと連携したクーポン配信も検討中しており、「上司と部下の1on1を促進する目的で、コーヒークーポンを配信する」といった活用例も想定されている。
8月からは、在庫状況に応じてリアルタイムで値下げする「ダイナミックプライシング」も導入する。消費期限が近い商品には割引価格が適用され、アプリで割引対象商品を確認できるほか、プッシュ通知によってタイムリーな情報を届ける。土日休みの運営に合わせ、金曜日には週末に向けた自動割引なども実施する予定だ。
10月には、オフィス内の空きスペースを活用した特設店舗で、弁当や日用品などの無人販売も始める。
KDDIは約1万3000人のグループ社員をモデルケースに、さまざまなテクノロジーの実証実験を進めている。今回のローソン新店舗での取り組みも含めて、今後は他の地域や企業への展開を視野に入れる。KDDIの松田浩路社長は「高輪をイノベーションの発火点としていきたい」と意気込んだ。
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