「このまま65歳まで働いて人生終わるの?」住宅ローン抱えた普通のママが3人の子どもと世界一周を決意したワケ

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2025年07月27日 09:20  女子SPA!

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おかんトラベラーさんと、家族のみなさん。アメリカのセドナにて(以下、写真はすべておかんトラベラーさんからの提供)
 こんにちは。コラムニストのおおしまりえです。

 子どもができると、旅行のハードルは高くなります。できればいろんな場所に行きたいけれど、お金や労力を考えると足踏みしてしまう。そんなママさんパパさんは少なくないはず。

 今回は、こうしたハードルを乗り越え、3人のお子さんを育てながら世界一周という大きな挑戦を果たした、インスタグラマーのおかんトラベラーさん(37歳・@okan.momtraveller・以下おかんさん)にお話を伺いました。

◆初めての子連れ海外旅行が「世界一周」!

 おかんさんは、もともと会社員として働く普通のママとして過ごしていたところ、「やっぱりもう1回海外に行きたい」という本心に気づき、そこから計画を進め、「子ども3人を連れて、家族で200日・14か国を巡る世界一周」を達成しました。

 おかんさんはもともと旅行が好きだったとはいえ、バックパッカーなどの経験はなく、英語もほとんど話せません。また、初めての子連れ海外旅がこの世界一周だったそうです。

 1か国目のタイをスタートに、そこからヨーロッパの国々を満喫。北アメリカ大陸へ移動し、キャンピングカー移動もしながら南アメリカ大陸へと突入。エクアドル・ペルー・ボリビアと大自然を満喫し、合計14か国の旅を終えました。

 スケール感のでかい旅ですが、住宅ローンを抱え、3人の育児に奮闘していた普通のママが、なぜ「世界一周」に踏み出したのか。その決意の舞台裏を聞きました。

◆「このまま65歳まで働いて、人生終わるの?」

「世界一周しようなんて、正直なところ、最初は夢のまた夢でした」そう語るおかんさん。

 きっかけは、コロナ禍で始まった、家から出られない閉塞感と、5年前、32歳のときにマイホーム購入でローンを組んだことによる“マイホームブルー”だったと言います。

「当時は65歳まで今の会社で働く予定で、35年の住宅ローンを組んだところでした。でも、いざローンを組んだら、『ローンを払い終える頃には65歳……とてつもなく長い間働かなくてはならない』と、頭をよぎった疑問に、心がざわついたんです」

 そうしておかんさんは、夢のマイホームを買った直後に猛烈なブルーに陥ったそう。当時はコロナ禍で、1回目の緊急事態宣言の真っ只中。外にも出られない状況が彼女を落ち込ませます。

◆「お先真っ暗だ」と落ち込んでいたとき、出会った一文

 おかんさんは救いを求め、毎日ネットの世界を彷徨ったといいます。

「当時は人生の選択を間違ったから、この先も真っ暗だと思い込んでました。そんな時に出会ったのが、作家の大木ゆきのさんのブログの一文でした。『今からどんなことでも叶えられるし、今後の選択も間違ってないよ!』とそこには書かれており、まるで呪いが解かれたように感じました。

『ここから私の未来は、私の手で変えられるのか!』って思ったら、パアーッと暗闇が晴れた気がして……そして自分の気持ちをもう一度見つめたら、『またイギリスに行きたい』って思ったんです。それが海外に意識が向いたキッカケです」

 おかんさんは12年ほど前、エージェントを通したイギリスへの短期留学を経験していたそう。その経験からくるポジティブな気持ちが蘇りました。のちに、彼女の人生の舵を大きく切る第一歩となりました。

◆「私、子どもと世界一周がしたい」と気づいたキッカケ

 ところで、「イギリスに行きたい!」という海外への気持ちは、実際の行動では家族みんなでの200日の世界一周旅になっています。かなり大きな違いありますが、いったいおかんさんに何があったのでしょう。

「もう一度イギリスに行きたいと思ってから、まずは英語を勉強し始めました。そこから英語コーチング(※)を受けることになり、『自分がなぜそう思ったのか』を深掘りしました。そうしたら、本心ではイギリスにだけ行きたいのではなく、イギリスを拠点にヨーロッパの各国に旅をしたかったのだと気づきました。

 同時並行で、その頃から今までの旅の記録を、インスタで発信するようになったんです。発信する中で、ローンを抱えて子ども3人を連れて世界一周旅行に行っている女性を見つけました。それが後に親しくなる、旅行会社を経営する戸田愛さんでした。

 彼女の存在を見て、『私も子どもと世界一周がしたい!』って、ピーンときちゃったんです(笑)。そこから、目標が家族で世界一周旅になり、準備をすすめることになりました」

※コーチング…相談者自身の目標や課題解決をサポートするために実施される、対話型の支援サービス

◆いつ旅に出る?最終的なタイミングは運

 こうして始まった世界一周旅への準備。あまりに壮大な計画に、何から始めるのかイメージがつきにくいですが、順番に取り組んでいったことを、教えてもらいました。

「まずは旅に出ると決めてから、出発のタイミングを定めました。悩んだ結果、当時長男がが3歳だったので、彼が小学生に上がる前に行くのが良いかなという話になったんです。

同時に3人目が欲しいと思っていたので、旅は3人目の育休中に行こうと決めました。もちろん、妊娠出産は厳密に時期を選べるものではないので、子どもが未就学児の頃に行くと決めても、最後は神頼みという感じです。まずは目安を決めて、そこに向かって進めていきました」

 結果として、おかんさんは無事3人目を出産し、子どもが5歳、3歳、1歳のタイミングで旅に出ることができました。

 予定通り育休中に旅は実行できたのかというと、紆余曲折あり、おかんさんは旅の直前に退職。旦那さんは会社に事情を説明し、心よく育休中の出発を後押ししてもらえたそうです。

 当時を振り返っておかんさんは、「下の子が1歳の頃に旅に出られたのは(良い意味で)大きい」と語ります。

「海外の人たちは、本当にみんな赤ちゃんが大好きなんです。特に印象的なのは、タイ、モロッコ、エジプト、中南米です。この国の人達は、特に1歳児を可愛がってくれました。私自身も、子どもを生んだことを旅の中で肯定してもらえた気がして、嬉しかったですね」

 ちなみに現在、末っ子くんはまったく人見知りをせず、保育園の初日から「いえーい!」と、楽しそうに登園していったのだとか。たくさんの人から可愛がってもらった経験が体感として残り、誰からも愛を感じられる子に育っているようです。

◆準備期間にInstagramの収益化に成功!でも新たな問題も…

「出発の時期をある程度決めたら、次に今までの旅や世界一周への挑戦についてInstagramで発信を続け、フォロワーを増やし、旅仲間を増やしていきました。準備期間中にフォロワー3万人を達成し、不安定ながら収益化の見込みが立ったので、道中の生活費はInstagram収益から一部賄えるようにもなっていましたね」

 おかんさんの旅の資金は、7〜8割は旦那さんの貯金を使用したといいます。ある程度まとまったお金を用意していたとはいえ、旅の間にただ貯金が減っていく生活は、不安も募ることでしょう。

 旅をしながら仕事ができるというスタイルを確立できたのは、旅の成功において大きな要因かもしれません。

 が、しかし、この“不安解消のために旅の間も仕事をする”という理想的なスタイルが、後に道中の夫婦の衝突にも繋がったと、おかんさんは話します。

「Instagramの発信は、もちろん旅の途中でも行います。しかし時差がある中で積極的にやろうとすると、どうしても夫婦の時間に食い込んでしまうんです。我が家は日中は子どもと過ごし、夜9時以降は夫婦の時間として、話し合いの時間を設けていました。でも、私は時間があればInstagramを頑張りたいと思っていたので、そこで優先順位の違いが浮き彫りになり、何度もケンカに発展しました」

 おかんさんの優先順位は、当時「子ども>仕事(Instagram)>夫婦」だったと言いますが、旦那さんの優先順位の1番は、夫婦の時間だったそう。そこですれ違いや不満が生じてしまったようです。

 着々と準備し、世界に飛び出すおかんさん一家。パワフルさに尊敬の念を抱きますが、「この旅は、みんなに助けてもらって実現したもの」だと言います。準備の間に、多くの旅仲間とつながることで、準備も旅の最中も、たくさんの助けをもらいながら進めて行けたのだとか。

 彼女のチャレンジを、次元の違う人の話と捉えるか、自分の中にも同じ可能性があると感じるかは、人それぞれでしょう。筆者は子連れ世界一周というチャレンジを聞きながら、私の中にある“子どもがいて諦めてしまったコト”も、まずは少しずつ掘り起こしてみようかな、と思ったのでした。

<取材・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518

このニュースに関するつぶやき

  • 何もかも我慢できない子持ちBBAが親の介護問題に直面したら、もう自殺しか道がなくなるよ。子育てみたいに国や社会が至れり尽くせり助けてくれない
    • イイネ!2
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