これが“本来のOM-5”だっ 新色もうれしい「OM-5 Mark II」で実感したマイクロフォーサーズの軽快さ

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2025年07月27日 09:31  ITmedia NEWS

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新色「サンドベージュ」の「OM-5 Mark II」。OMらしいコンパクトなミラーレ一眼だ。ボディは17万3800円(OM SYSTEM STORE販売価格)

 オリンパス(当時)から初代「OM-D」が発売されたのは2012年の春だった。13年前のことだ。随分前のことである。


【その他の画像】


 そのときの製品名が「E-M5」。その初代OM-Dを受け継ぐのが今の「OM-5」であり、その2代目である「OM-5 MarkII」がこのたび誕生したのである。


 フラッグシップ機のOM-1シリーズに比べると、グリップが浅くてより小型軽量なボディで、気軽に扱えるカメラだ。


 内部的には2022年発売のOM-5とさほど変わらないが、一つ大事な変更点がある。


 最初に言っておくけれども、OM-5はUSB Type-Cが主流になっている中、USB端子が旧いmicro-Bだったのだ。それはちょっとした欠点だったと思う。


 OM-5 Mark IIではそれがUSB Type-Cに変更されたのだ。良かった良かった。


●新色のサンドベージュがいい!


 と、いきなり細かい話から入ってしまったけど、OM-5で一番気になっていたのがUSB端子だったので勘弁を。


 そこ以外は前モデルとほぼ変わらないのだけど、印象が新しくなったのは新色のおかげかと思う。


 今まではシルバーとブラックだけだったのだけど、そこにサンドベージュが加わったのだ。今まで、エントリーモデルでホワイト、あるいはもっとカラフルな目立つ色のミラーレス一眼が登場したことはあったが、OM-5 Mark IIが選んだのはサンドベージュ、つまりツヤ消しのベージュだ。


 子どもの頃作っていた戦車のプラモデルを思い出すといった人がいたけれども「アウトドアシーンにマッチするサンドベージュ」と言っているだけにその印象は間違ってないかと思う。ツヤ消しならではの手触りもよく、シルバーやブラックとは全く異なった印象だ。


 OMシリーズなので、防塵・防滴は強力。保護等級IP53に対応し、-10℃までの耐低温性能を持っている。アウトドアに気軽に持ち出せるフィールドワークカメラとして十分な頑丈さである。


 よく見ると、前モデルからボディのデザインも少し変わってる。グリップ部だ。


 グリップ部に2段階の傾斜がついており、グリップは浅いけれども手にした時すごく指の掛かりがいい。グリップが浅い分、よりコンパクトに感じる。また前モデルに比べてディテールの凹凸が減って滑らかになっており、印象はかなり違う。個人的には今回のデザインの方が好きである。


 では性能から順番に見ていく。


 イメージセンサーはマイクロフォーサーズ(4/3型)で約2037万画素。当然ボディ内手ブレ補正で、中央部で約6.5段分の補正をしてくれる。


 センサー自体は前モデルと同じで、上位機のOM-1やOM-3より1世代前のものになる。だから高感度にはさほど強くない。


 ISO感度は標準でISO6400まで、それ以上は拡張ISO感度となり、最高でISO25600までとなる。


 が、ISO12800で撮ってみると、確かにディテールは荒れるけど、意外に悪くない。


 シャッタースピードはミドルクラス機ながらメカシャッターで1/8000秒まで。さらに電子シャッターにすると1/32000秒。連写はプロキャプチャー機能(いわゆるプリ連写)を持っており、電子シャッターだと最速秒30コマ(これはフォーカスと露出が固定される場合。AF/AE追従だと約秒10コマ)までいける。


 つまるところ、基本性能は高いのだ。


 ただ、OM-1やOM-3が持つ被写体検出AFには未対応で、検出してくれるのは人物の瞳だけとなる。その辺は画像処理エンジンが「TruePic IX」のままで上位機種の「TruePic X」ではないというのが大きいだろう。


 顔検出は顔全体と瞳に枠が出るので分かる。


 背面の操作系はOM-5と同じ。十字キーの周りに4つのボタンがあり、親指を置く位置の上にISOボタン。AF-ONボタンの周りにレバーがあるが、これはカスタマイズできる。わたしは1にS-AF、2にC-AFを割り当てて使っている。


 瞳検出を使い、絞り優先で撮ったのがこちら。なぜ手にカップを持っているかは……ちょっと色味が欲しかったというだけで他意はありません。


 使ったレンズは「M.ZUIKO DIGITL 25mm F1.8 II」。防塵防滴の新型で35mm判換算で50mm相当。コンパクトでOM-5に似合う。


 背面モニターはバリアングル式で約104万ピクセルと控えめだが、EVFは約236万ピクセルのOLEDで比較的大きくて見やすい。


 続いて上面から。


 左肩は電源とドライブモード、そしてEVFと背面モニタの切換。右肩は撮影モードダイヤルと前後の電子ダイヤル。前ダイヤルの中心にシャッターボタンがある。


 そして右肩に「CP」ボタンが(以前は露出補正ボタンがあった場所)。


●OMシリーズならではのCP機能を使ってみる


 CPはコンピュテーショナルフォトグラフィーの略。ここでは電子シャッターによる連写+合成を利用したデジタルならではの撮影機能を指すと思っていい。


 複数枚撮影して合成することで高解像度な写真を得られる「ハイレゾ」撮影、OMならではなのが連写+合成でNDフィルターをつけたときのようなスローシャッターでの撮影ができる「ライブND」、フォーカス位置を少しずつずらして撮影して合成することで被写界深度が深い写真を撮れる「深度合成」(被写界深度が極端に浅くなるマクロ撮影時にいい)、などがある。


 ハイレゾには「手持ちハイレゾ」撮影があり、約5000万画素の画像を作りだしてくれる。手持ちでokというのがいい。


 約2000万画素の通常の画像と等倍で比べてみた。ディテールが分かりやすいよう松の木を選んでみたが、不自然さもなくかなりいい感じ(ただ、風が吹いて揺れたりするとちょっと)。


 意外に使いでがあるのが「ライブND」。NDフィルターをつけたときのようにシャッタースピードを落として撮れるもので、例えば昼間でもシャッタースピード1秒で撮れたりする。しかも手持ちで。ちょっとした人工的な小さな滝をライブND16を使ったスローシャッターで撮ってみた。


 他にも電子シャッターで連写して合成する系の機能としては、手持ち夜景、比較明合成を行う「ライブコンポジット」や、リアルタイムで写りを確認しながら撮れる「ライブバルブ」撮影がある。


 ライブコンポジットは、この季節、花火撮影に使うのがおすすめ。撮影が楽すぎて人間が堕落します。


 もう一つ、OMらしい機能といえば、一時期一世を風靡した(は大げさ)アートフィルター。


 最近は種類が増えてないけれども、一番新しい「ネオノスタルジック」で1枚。


 と、ざっくりとOMらしい機能をメインにあれこれチェックしてみた。


 もう一つ、前モデルから進化した点がある。それはメニューのデザイン。最新のOM-1やOM-3と同じデザインに統一されたのだ。


 最後はいろんな作例のバリエーションといこう。


 基本レンズキットである「M.ZUIKO 12-45mm F4.0 PRO」を使ったものから。


 何はともあれお馴染みのガスタンクであるが、どうもスカッと晴れなかったので全体におとなしい映りに。これはまあ天候のせいだ。


 なので、すかっとした青空を。


 このレンズはF4.0通しの軽量なズームレンズでけっこう寄れるのもうれしい。


 人物も1枚。シーンモードのeポートレートで。


 ちょっとボケを楽しみたいときは、25mm F1.8で。ずらっと並んだ招き猫で。センサーサイズが4/3型なので大きなボケという感じではないがこのくらいはいける。


 さらに12-45mmとセットで使うと非常に便利な望遠ズーム「M.ZUIKO 40-150mm F4.0 PRO」。望遠端で35mm判換算300mmまでいけるのだが、非常にコンパクトで持ち歩きやすいのがOM-5 Mark IIに合う。


●これが本来のOM-5だ


 メディアはSDカード(SDXC UHS-II対応)。メディアスロットはシングルだが、側面にスロットがあるので出し入れしやすくてよい。


 バッテリーは前モデルと同じで、持ちは標準で約310枚。バッテリーがコンパクトな分多くはないが、USB充電や給電も可能なのでその辺を加味した運用をするといいだろう。


 OM-5 Mark IIを使っていると、初代OM-5には申し訳ないけど、これが本来のOM-5だな、と思う。


 ボディはCIPA準拠(バッテリーとメモリーカード含む)で418gと、上位機に比べるとコンパクトで携帯時の負担も少ないし、グリップもヘビーな望遠レンズを付けない限りは握りやすくてよい。ボディがコンパクトで軽い分、レンズを含めたシステム全体がコンパクトに済むというマイクロフォーサーズのメリットが生かせるわけだ。


 上位機に比べると、被写体検出AFがない、USB PDには未対応など見劣りする部分もあるが、標準ズームレンズキットで20万円を切る(OM SYSTEM STORE価格で19万5800円)ことを考えると納得できる。


 そして個人的に……新色のサンドベージュがけっこう気に入ったのである。



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