真夏のハンディファンで「やってはいけない」使い方 熱中症リスクを高める恐れも

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2025年07月27日 10:10  ITmedia Mobile

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炎天下のお供に欠かせないハンディファン

 2025年は、東京でも6月から30度を超える日が続き、7月も本格的な猛暑が続いています。そして、この時期になると話題に挙がるのがハンディファンです。


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 外出先でも手軽に涼を得られるハンディファンですが、先日、エレコムがXの公式アカウントで「35度以上の時はUSB扇風機は熱中症リスクを逆に高めてしまう可能性がある」と投稿し、少し話題になっていました。


 この投稿、エレコムが毎年行っているもの。その根拠に、米国環境保護庁(EPA)が作成した猛暑対策ガイド「Excessive Heat Events Guidebook」を挙げています。あまりに気温が高いと、扇風機から温風が出てくることになり、逆に体調を悪くしてしまう可能性があるのは想像に難くありません。また、バッテリーやモーターを搭載した製品の動作保証温度が、35〜40度に設定されているものが多いということも覚えておく必要はあるでしょう。


 ところで、この35度以上は危険という話、よく聞く話ではあるのですが、なぜ30度や40度ではなく35度なのか、何か根拠があるのか気になるところです。そこで簡単に調べてみました。


 まず、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、気温がカ氏90度(約32.2℃)を超える場合は、扇風機によって体温が上昇する可能性があると指摘しています。次に、エレコムが根拠として挙げている米国環境保護庁(EPA)が発行する猛暑対策ガイドでは、熱指数(ヒートインデックス、いわゆる体感温度に近いもの)がカ氏99度(約37.2℃、日本の基準に換算すると気温が35℃、湿度40%以上)を超える場合は扇風機を単独で使用しないようにとしています。なお、世界保健機関(WHO)は、気温が40℃以下の場合のみ使用を推奨しています。


 ざっと調べた限りだと、特に温度の根拠らしいものは見つけられませんでしたが、いずれも共通して体温より高い温風により、体温が上昇する可能性が指摘されています。


 これに関して、1つ面白い記事がありました。査読付きの医学雑誌NEJM誌に2024年11月に掲載された研究によると、気温38℃、湿度60%の環境と、気温45℃、湿度15%の環境で扇風機による影響を調べたところ、多湿な環境であればCDCが定めるしきい値を超えた温度でも、扇風機の効果はあったということです。逆に湿度が低い状況では、冷却効果はほとんど得られなかったとのこと。


 日本のように湿度が高い環境では、汗をより早く蒸発させて気化熱を発生させた方が、体にはいいのかもしれません。とはいえ、35℃〜40℃のような環境をハンディファン1つで乗り切るのは現実的ではありません。エレコムが言うように、ぬれタオルを首に巻き、そこに扇風機の風を当てるなどの工夫は必要でしょう。


 なお、割と雑に取り扱われがちなハンディファンですが、リチウムイオン電池を搭載した製品が多いので注意が必要です。リチウムイオン電池が劣化すると、衝撃により発火の可能性もあります。高温化で使われることが多いだけに、いっそう気を付けたいところです。


●おすすめのハンディファンを紹介


 ここからは、いくつかハンディファンを紹介します。


 まず、リズム(RHYTHM)ハンディファン。国内メーカー製のハンディファンで、評価も高い製品です。小型ながら、2重反転ファンを搭載しており、大風量を確保。風量の割に静音性も高いのが特徴です。手で持って使う他、卓上やストラップで首にかけて使用することもできます。


 サンワサプライのハンディファンは、6月24日に発売された新製品。通常の携帯扇風機に比べ風量が強く、ドライヤーのように風を送ることができ、最大風速は6m/sとドライヤーより少し弱いくらいの風量を出すことができるとのこと。手持ち・首掛け・卓上の3WAY仕様となっています。


 Smaly アイスハンディファンは、ファンの中心にペルチェ素子を使った冷却プレートを搭載するのが特徴。風で涼むだけではなく、冷却プレートを首などの太い血管に当てることで、効率的に体を冷やします。また、ハンディファンでは珍しく、台座も用意されており机上で自立させることも可能です。


 ハンディファンとは違いますが、ソニーのREON POCKETも夏場には話題になる製品です。風ではなく、首元から背中を冷却するというウェアラブルサーモデバイスです。動作音も静かなので、通勤通学時や、ウオーキング時などに気楽に使用できます。



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