
アメリカ野球殿堂入りの表彰式典を控えるイチロー(51・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、訪れているニューヨーク州のクーパーズタウンで独占インタビューに応じた。
【写真を見る】イチロー “野球の聖地”で伝えたい「特別な何かを持っているわけじゃない選手が、今ここにいる」殿堂入りワグナー氏と練習も
日本時間28日の式典まで殿堂入り関係のイベントが目白押しだが、この日(同26日)は比較的スケジュールに余裕があり、野球の聖地と言われるクーパーズタウンから南に車で15分ほどの隣町・ハートウィックの公園でトレーニングを行うなど、汗を流した。
そこには今年、イチローと同じく殿堂入りを果たす元アストロズ投手のビリー・ワグナー氏(54)と、その息子ケイソン・ワグナーさんの姿もあった。ケイソンさんは、高校3年生のピッチャーで来年のドラフト候補だという。イチローはその息子さんとキャッチボールから始まり、遠投と、野球を通じて“会話”した。
その後、公園の近くにあるバッティング施設に移動し、今度は父のワグナーがバッティングピッチャーを務め、殿堂入りした2人による“豪華共演”も実現した。
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Q.今日も練習をなさってますが、やっぱりやらないとって感じ?
イチロー:
4日間やらないのもありえないんで。場所があるから当然やりたいし。ワグナーの息子さんが、やっぱやりたいっていう話だったんで、ちょうど良かったし、これこそクーパーズタウンっていう感じがしましたね。今ビリーとバッティング練習で、投げてもらって、息子さんとキャッチボールしてっていうのは、世代を超えて、野球で会話ができるっていうね。それはクーパーズタウンにぴったりだなと思いました。
Q.ビリーの息子さんはかなりいいピッチャーなんですよ。
イチロー:高校3年生でドラフトにかかりそうだ。そこを狙ってるみたいですね。
Q.(式典の)スピーチに向けて、練習はかなり時間を割いてやってるんですか。
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イチロー:
時間は割いてないですよ。だって、スピーチ1回練習したら、もう20分近く経っちゃうから。それを何度も1日にできないから、集中力も続かないし、やったって1日1回、多くたって2回だから野球の練習してる時間の方がよっぽど長いです。
Q.具体的な内容は当日だとしても、こういう思いを込めたみたいなところを聞かせていただきたいです。
イチロー:
どんな思い・・・。英語だから、なかなかその気持ちが伝わるかどうかわからないけれど、うまく喋れないから思いが伝わるということもきっとあると思うんでね。もちろん英語うまく喋れないし、噛んじゃうかもしれないし、真っ白になっちゃうかもしれないけど、しっかり落ち着いて思いが伝えられればと思ってます。
Q.あえて伺いますが、日本語で今伝えたいという思いを、言葉にしていただくとしたら
イチロー:
特別な何かを持っている訳じゃない選手が、今ここにいるということは、メッセージになるだろうなと。野球をやっている子供たち、今の選手、現役の選手もそうかもしれないですね。見た目で言えば、もうごくごく普通の選手が積み重ねて、いろんな道をたどって小さなことを積み重ねていくと、結果ここに今いるっていう事実。それは知っておいてもらいたいことですね。
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Q.この町(クーパーズタウン)っていうのは、日本では聖地みたいな言われ方をしていますが、聖地だというような感覚は、イチローさんに今伝わってきていますか
イチロー:
まだそこまではいってないかな。でもこれからそうなっていくんじゃないですか。その空気の流れ方とかね。穏やかな気持ちになる。だけど野球に溢れてる場所なんで。携帯も持ちたくないっていうかね。時間の流れ方が明らかに違う。
Q.この街に最初に来たときに、イチローさんに野球とベースボールの違いは?というお話をしたら、接吻とキスの違い、台所とキッチンの違いとか、そういうことをおっしゃいました。あれから四半世紀が経って、今、野球とベースボールって、イチローさんの中では、どう違うと思いますか。
イチロー:
それなんか逆転してる感じあるよね。当時はそう思ってたけど、日本語と英語でニュアンスが変わるでしょう。こっちの方が“台所っぽい”なって今は思う。でも普段のMLBに接してると、なんか、キッチンが浮いてなんか地に足がついてない状態でも何かできるような、そんな感じに見えるんだけど、ここは何か台所でしっかり・・・そうね。地に足がついてる感じがするかな。人もそうなんじゃないかな。そういう野球が好きな人たちが集まるところ(という感じ)。