50代からの親の介護で“やってはいけないこと”とは?FPが警鐘を鳴らすワケ

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2025年07月28日 09:01  女子SPA!

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画像はイメージです(以下同)
 親の介護が始まる人も多い50代。大切な親だからこそ、自分が介護したいと思う人も多いかもしれません。しかし、「親御さんを大事にする姿勢はすばらしいですが、介護離職はおすすめしません」と警鐘を鳴らすのは、『ゼロ活 〜お金を使い切り、豊かに生きる!〜』の著者であるファイナンシャルプランナーの井戸美枝先生です。

 50代以降、自分が最期を迎えるときに資産がちょうど0になるように生きる「ゼロ活」を提唱する井戸先生いわく、親の介護を行う場合はいくつかの要注意ポイントがあるのだそうです。自分自身の人生を豊かに過ごすため、親の介護に向き合う上での心構えをご紹介していきます。

(本記事は『ゼロ活 〜お金を使い切り、豊かに生きる!〜』より一部を抜粋し、再編集したものです)

◆介護離職は避けたい

「親やパートナーに介護が必要になっても介護離職はしないほうがいい」ということはお伝えしておきたいです。

 50代より上の世代の方の場合、突然親の介護が必要になるケースは珍しくありません。特に一人っ子だったり、兄弟姉妹が遠方に住んでいたりする場合、「自分が仕事を辞めて親の面倒を見るべきでは?」と考えてしまう方は少なくないはず。

 でも、私は「介護のために仕事を辞める」という選択はおすすめしません。介護離職が良くない理由はいくつかありますが、最も大きな問題は自分自身の収入がなくなってしまうからです。

 仕事を辞めてしまうと、自分の生活費も親の介護費用も年金や貯蓄に頼ることになります。やがて貯蓄も底をつきかねませんし、親が亡くなったあと再び仕事を探すにしても、退職時より年齢が上がっていることが足かせとなって、なかなか簡単なことではありません。

 日本には、介護と仕事を両立させるための制度が整っています。

 たとえば、「介護休業制度」や「介護休暇制度」です。介護休業制度では、介護が必要な家族ひとりにつき最大で通算93日間まで仕事を休むことができます。

 また、介護休暇制度では、1年間で介護する家族がひとりなら最大5日、2人以上なら最大10日まで休暇を取ることが可能です。正社員だけでなく、雇用保険に加入して一定期間働いているパートやアルバイトの方も使えます。2025年4月から介護休業や介護両立支援制度に関する研修や相談など事業主は、措置を講じるように義務づけられました。

 こうした制度をうまく活用すれば、仕事を辞めずに介護を続ける助けになるかもしれません。早めに企業に申出をしましょう。

 また、実際の介護の具体的な方法やプランは、ひとりで悩まずに専門家に相談するのが一番。最初に相談したいのは、地域に設置されている「地域包括支援センター」です。

 地域包括支援センターでは、ケアマネージャーと一緒に介護が必要な親に最適なプランをつくってもらうことができます。在宅介護の場合でも、デイサービスを利用したり、訪問介護のヘルパーさんに定期的に来てもらったりすることで、介護の負担をかなり減らせます。仕事と介護を両立するために必要な支援を具体的に相談しながら、無理のない体制をつくりましょう。

◆介護で実家に戻るなら、仕事を見つけてからが鉄則

 住んでいる場所が親と離れている方が故郷に戻ることを選ぶ場合も、現地に仕事のない状態で戻るのは避けましょう。まずは実家近くで新たな職場を確保してから、引っ越しすることをおすすめします。働き続けることは経済的な安定につながるだけでなく、自分自身の精神的な健康や社会とのつながりを保つうえでも非常に大切です。

「介護のために人生を諦めない」ということです。介護と仕事は、うまく制度やサポートを活用すれば両立しやすくなります。ひとりで抱えこまず、制度や周囲のサポートを最大限利用してバランスの取れた生活を目指していきましょう。

 また、自分に介護が必要になった場合のことも考えて、子どもに過度な負担をかけないためにも将来の算段は早めにつけておきたいものです。

◆定年後の資産運用は「余暇のため」

老後における「投資」との向き合い方も大切です。

 最近、よくいろいろな方に相談されるのが、「貯金だけで老後の資金が足りるのか心配なので、投資したほうがいいんでしょうか?」という質問です。

 この質問に対しては、「もし10年以上先に使う予定で余裕のある資金であれば投資の積み立てはやっておいてもいいかもしれませんね」とお答えしています。

 その理由はシンプルで、物価が上がり続ける限り資産を現金のまま置いておくと将来的に目減りしてしまうからです。銀行預金に大金を預けていたら、インフレに対応できず、気づいたら生活資金が目減りしてしまった、なんてことにもなりかねません。

 ただ、ここで、気をつけたいのは投資の仕方です。

 生活費や医療費など、将来的に絶対に必要になるお金を運用に回してしまうと、市場の動向に毎日ハラハラして精神的な負担が大きくなります。あくまで、10年以上先に使う資金であることです。

 また、50代以降の投資は、あくまで「生活費」などの必要なお金を稼ぐのではなく、「余裕分」だと割り切りましょう。つまり、ご自身の「遊び代」や「余裕の費用」を捻出するための投資だと捉えてください。

「この投資で生活資金を稼ぐのだ」「この投資を将来のリフォーム代にするのだ」など必要な支出にあてようと考えると、どうしても投資に対して慎重になりすぎたり、欲を出しすぎたりして冷静な判断をできないことがあります。

 しかし、「これはあくまで毎月自分が遊ぶためのお金を稼ぐのだ。余裕分なのでうまくいけばラッキー、うまくいかなければそれなりに」と割り切れるぐらいのスタンスであればさほど気負わず投資に取り組めるはずです。

 だからこそ今後の資産運用、「余裕分のお金を増やすため」という目的での投資するかたちで考えてくださいね。

◆第2の人生に始めるなら「長期投資」

 投資を考える際に大切なのは「時間軸」です。

 私はいつも、「投資をする場合は短期間ではなく、最低でも10年、できれば20年くらいの長期を見越して取り組むのがいい」とお伝えしています。

 投資を考える際、「短期投資」と「長期投資」という2つのアプローチがあります。

 それぞれに特徴的なメリットとデメリットがあります。

 まず、短期投資とは、数日から数カ月の短い期間で利益を狙う投資法です。

 メリットは、短期間で結果が出るため、資金効率が良く、短期的な市場の変動をうまく利用すれば大きなリターンを得られる可能性がある点です。

 しかし、市場の予測が難しいため、リスクが高いというデメリットがあります。

 価格の急激な変動に巻きこまれ、気づけば自分の大事な資金があっという間になくなってしまった……などという大失敗につながる可能性があります。

 一方の長期投資とは、数年から数十年の長期間で資産を増やす投資法です。

 最大のメリットは、時間を味方にして資産を安定的に成長させることが可能である点です。また、複利の効果を最大限に活かすことができるため、着実な資産形成が目指せます。市場が一時的に下落しても、長期的視点から見ればさほど損失を生まないことも多いのです。もっとも短期間での利益を狙うことが難しいため、短期間で大金を稼ぐことはあまり期待できません。

 第2の人生に投資を楽しむ場合は、短期間の値動きに一喜一憂する短期投資はストレスになる可能性も高いですし、リスクも高いでしょう。

 長期投資で時間をかけて少しずつ資産を育てていくことで、穏やかな投資を続けていただきたいです。

 また、長期投資には、待つ楽しさもあります。もし資金に余裕がある人ならば、「20年後、80歳になったら増えた資金で自分の好きなことに使おう」などと準備して未来の自分へのプレゼントにするのも素敵じゃないでしょうか。

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa

このニュースに関するつぶやき

  • 「通算93日間まで仕事を休むことができます」、はいはい制度だからね。でも、たった三か月で終わる介護なんてほぼないし、会社に申し出て居づらくなるパターンが多いんじゃない?
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