画像はイメージです
※画像生成にAIを利用しています 企業が社員の位置情報を把握するため、あるいは子供が現在どこにいるのかを親が確認するのに重宝されているGPSアプリ。だが、夫婦や恋人同士でもパートナーの行動を監視するためにこのアプリを入れているという話も聞く。
◆彼女がGPSアプリを勝手にインストール
お互い合意のうえなら問題ないが、実際には相手のスマホにこっそりインストールしているケースも珍しくない。建設会社に勤める吉井祥太さん(仮名・28歳)は、23年夏から友人の紹介で知り合った1歳下の女性と約1年間交際していたが、知らないうちに彼女からGPSアプリを入れられていたとか。
「普段から気になったアプリはとりあえずインストールしていたため、実際には全然使っていないアプリが多く、自分でも把握しきれていなかったんです。実は、ある時期から彼女に見張られているような、自分の行動が筒抜けになっているような気がしたのですが、まさかGPSアプリが原因とは夢にも思いませんでした」
彼女はもともと嫉妬深い性格だったらしく、普段から会社の昼休みや出先への移動中、仕事が終わった後、帰宅後など節目ごとにLINEを送ることを義務付けられていた。たまに忙しくてうっかり忘れてしまうと、すぐにメッセージや着信が入り、謝っても数日間は機嫌が直らない。
◆なぜか彼女とばったり出くわすことが増え…
そんな彼女に吉井さんも次第に嫌気が差すようになったという。
「私はいろんな工務店の方と仕事上の付き合いがあり、打ち合わせや親睦を深めるために食事や飲みに行くこともあります。でも、彼女は誰と飲みに行っていたのか、どういう話をしていたのかなど根掘り葉掘り聞きたがる。いくら彼女でも社外の人間にベラベラ話せないじゃないですか。それでも言える範囲で話すのですが、担当者が女性だと知るとまた不機嫌になるし、それが面倒で彼女にはウソの定時連絡を入れるようになりました。毎日でも私に会いたがるコだったので、残業と偽って同僚や友人と飲みに行ったり、自宅で1人きりの時間を過ごす日も増えていましたね」
ところが、飲み終わって店を出た直後に彼女とばったり出くわすことが立て続けにあった。また、残業と偽って自宅にいた日は「もう家に帰っているくせに!」と返信があり、ウソがバレてしまったのだ。
◆GPSアプリが仕掛けられていることが発覚…
以前から彼女との関係について相談していた友人に話すと、「ひょっとしてGPSアプリでも入ってんじゃね?」と冗談交じりに言われたそうだが、その場で調べてみるとなんとビンゴ……。
そこで彼女を自宅に呼び出して追及したところ、最初はシラを切っていたそうだが、以前泊まりに来た際、吉井さんが寝ている間にアプリを入れたことを自白した。
「けど、謝るどころか『心配させるそっちが悪い!』と、この期に及んで私を責めてきました。それまでは彼女が癇癪を起こすたびに謝ったりなだめたりしていましたが、この時はわずかに残っていた愛情も完全に消え失せましたね。その時、私は彼女に対して初めてブチ切れました。半分わざとではあったのですが別れると決めたため、遠慮する必要はないかなって」
◆彼女は周りから距離を置かれることに
普段とのあまりの違いに彼女も驚いたらしく、態度を一変させてドア越しに何度も謝ってきたが、それを受け入れることはなかった。すると、今度はLINEや着信の嵐。電話には出ず、メッセージは既読スルーだったが、翌日以降も仕事中お構いなしに来ていたため、ブロックと着信拒否をして完全に連絡を絶ってしまった。
「ただ、彼女は学生時代の同級生ではなかったけど、共通の友人も多かった。だから、彼らには別れた経緯を説明し、彼女に仲を取り持つように頼まれた場合は断ってほしいと頼みました。まぁGPSアプリで監視されていたと言ったらみんな同情して、彼女にドン引きしていましたけどね(苦笑)」
これほどの彼女だと別れた後に付きまとわれてもおかしくないが、幸運にもストーカーの被害はなかったそう。むしろ、共通の友人たちからヤバい女と認定されてしまい、周囲から少し距離を置かれることになってしまったそうだ。
「残業とウソをついて会うのを避けていたのはこちらに非がありますが、彼女と付き合っている間は浮気はもちろんのこと、合コンだって参加していませんでした。せめて事前に一言あれば別ですが、こっそり入れたGPSアプリで監視されて、それを許せるほど私は寛容ではありませんので……」
いくら便利なアプリでも重要なのは使い方。相手の合意がなければ高い代償を払う可能性があることも知っておくべきだろう。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。