米の値上がりで製パン会社に投資チャンスが到来!?【坂本慎太郎の街歩き投資ラボ】

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2025年07月28日 17:30  週プレNEWS

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『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
米の代わりに何を食べる?(第一屋製パン)

相変わらず米が高い。高騰に耐えかねて、主食を米から別のもの――例えばパンに切り替える人も少なくないはずだ。とすると、製パン会社は儲かっているのでは?

助手 米の価格が下がり始めたって報道を見かけるようになりました。でも、全然実感がないんですよねぇ。

坂本 確かに米価格は下がりつつある。備蓄米販売の本格化もあって、5月初旬に5kg4300円超だった米価格は6月後半に3800円台になっているからね。秋になれば新米も出てくるし、米の価格はもう少し下がるとは思う。

助手 問題は、どこまで下がるかじゃないですか。調べてみたら、去年の7月は米5kgが2300円台だったみたいです。当時と比べて1.5倍の価格となると、やっぱり米を積極的に買う気にはなれないなぁ。

坂本 とはいえ、主食を食べないわけにはいかないからね。

助手 なので、最近は麺類とかパンを食べることが多いかなぁ。

坂本 今、パンが米より安いのは確かだね。6枚切りの食パンは1枚当たり32円くらいだけど、米は5kg2800円になってやっと1膳36円の計算だから。

助手 やっぱり! となると、ほかの人も米の代わりにパンを食べる回数を増やしてるんじゃないですか? 今後も米の値段が元には戻らないとすればなおさらそういう傾向が続きそうです。パンのメーカーに投資してみたいんですが、上場会社ってありますか?

坂本 あるよ。国内シェア4割のトップメーカー・山崎製パンを筆頭に4社が上場しています。その中で今から投資を検討するなら、第一屋製パンが面白いと思う。

助手 どうせなら大手の山崎製パンのほうがよくないですか? 同社の「ロイヤルブレッド」とか「まるごとソーセージ」はスーパーやコンビニでよく見かけますけど。第一屋製パンの品ってどんなのでしたっけ。

坂本 第一屋製パンにも「ポケモンパン」とか「大きなデニッシュ」といったヒット商品はあるんだけどね。山崎製パンと比べてブランド力に差があるのは確かです。それでも、投資対象としては第一屋製パンにうまみがある。

助手 どんな理由が?

坂本 まず、山崎製パンはすでに株価が上がってしまいました。同社は従来、値上げに極めて慎重だったんですが、一昨年くらいから利益を確保するための値上げを繰り返しました。それが投資家から評価されるかたちで株価が急騰したんです。ただ、シェアや数量確保の観点でこれ以上の値上げは難しいかもしれない。

助手 なるほど。

坂本 対する第一屋製パンは、業界トップでプライスリーダーの山崎製パンが値上げを繰り返したので、自社も値上げをしやすくなりました。すでに一部商品の値上げに取り組んでいますが、その効果はこれから徐々に発現していくと思います。

助手 今後、利益が増えそうだと。

坂本 そう。そもそも同社は上位メーカーと価格競争になって業績が悪い時期が長かった。中堅・下位メーカーは低価格で勝負せざるをえないから、値上げが受け入れられる状況になったのは大きいよ。

助手 なるほど。

坂本 さらに、同社は業績不振だった2010年に総合商社・豊田通商の傘下に入って商社流の経営手法を導入し、原価管理の精度向上やコスト削減に取り組んできました。その効果で、値上げによる利益の増加にいっそうの弾みがつくはずです。しかも同社のPERは7倍強で割安。下値不安が小さいから、安心して長期投資できると思います。

今週の実験結果 
値上げが順調に受け入れられていけば、株価も上がるはず!

構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗

【図表】第一屋製パン(2215)の株価

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