今週デビュー予定のケンタッキーホーム(撮影:井内利彰) 過去にこのスペースで何度か提言してきた「ダート中距離番組の増設」が実現された今週。新潟と中京でダート1800mの新馬戦が行われる。これまでは新潟ダート1800mしかなかったため、ここを目指しても除外という馬がいたのだが、今年はそういったことはなさそう。中京の方は10頭前後の出走頭数になるかも知れないが、除外が出るよりもよいだろう。
今後はこの時期にデビューしたダート中距離馬がJBC2歳優駿や全日本2歳優駿に向けて、1勝クラスやオープンを経験できるようなローテーションを充実させていく。別に地方ダート重賞に頼ることなく、JRAが2歳ダートGIを新設してもよい。それが翌年のダート三冠レースの充実にも繋がってくるはずなので、これからの動きにも注目したい。
【8月2日(土) 中京芝1600m(牝)】
◆エンヴェロップ(牝、父ロードカナロア、母エンジェリックレイ、栗東・佐藤悠太厩舎)
母系には今年の日経新春杯を勝ち、大阪杯でも2着というGI実績のあるロードデルレイ(父ロードカナロア)がいる血統。
本馬は4月30日にゲート試験を合格して一旦放牧。7月8日にグリーンウッドから栗東へ再入厩。7月13日のCWから軽く時計を出し始めて、坂路も併用。7月24日はDコース芝馬場で来週デビュー予定のシホノグラツィアを追走。前半から速いラップを刻んでいき、ラスト1F標識手前で反応するとあっさりと前を捕まえて、ゴール前では相手が盛り返してきて同入。6F75.4秒、3F34.3秒、1F11.1秒と素晴らしい時計をマークしている。鞍上は吉村誠之助騎手が予定されている。
【8月3日(日) 中京ダート1800m】
◆ケンタッキーホーム(牡、父ゴールドドリーム、母フォンタネットポー、栗東・松下武士厩舎)
母系に2014年、2015年の南部杯を連覇したベストウォーリア(父Majestic Warrior)がいる血統。本馬は2023年ノーザンファームミックスセールにて、3900万円(税抜き)で落札されている。
7月4日のゲート試験を合格した時点で松下武士調教師が「中京ダート1800mに使ってくる有力馬はいますか?」と相手関係を気にするくらい期待している馬。7月9日に坂路で4F54.1秒をマークして、7月16日のCWでは古馬1勝クラスと併せて先着。6F82.1秒、1F11.4秒の時計をマークして、これは動くなという印象。1週前追い切りにはレースで騎乗予定の坂井瑠星騎手が跨り、6F80.5秒、3F36.2秒、1F11.5秒をマークして、古馬1勝Cに追走先着。追うごとに確実に良くなっており、この世代のダート路線を引っ張っていくような存在になってくれることを期待したい。
◆チャチャコマニ(牝、父ホッコータルマエ、母ビップチャチャチャ、栗東・佐藤悠太厩舎)
母系に1勝クラスから3勝クラスまでダート短距離で3連勝したミラーウォーカーズ(父サウスヴィグラス)がいる血統。2024年北海道サマーセールにて1350万円(税抜き)で落札されている。
7月24日のCWでの1週前追い切りは新馬3頭の併せ馬で最後方から追走。外を回したにもかかわらず最先着して、6F79.0秒をマークしている。「先行馬がかなり飛ばしたため、勝負どころからスピードを上げる形になりましたが、最後まで渋太く伸びてくれました」と佐藤悠太調教師。一応、新潟ダート1800mとの両睨みになっており、中京の場合は吉村誠之助騎手、新潟の場合は戸崎圭太騎手が騎乗する予定となっている。
【8月3日(日) 新潟芝1600m】
◆バドリナート(牡、父コントレイル、母モヒニ、栗東・松永幹夫厩舎)
母系に2024年阪神Cなど重賞5勝のナムラクレア(父ミッキーアイル)がいる血統。父コントレイルは今年の新種牡馬で、その産駒ルージュボヤージュ(美浦・国枝栄厩舎)が福島芝1800mを新馬勝ちしている。
本馬は7月9日に坂路で4F52.9秒をマークすると、7月16日にはCWで6F83.2秒をマーク。坂路でもCWでも動けるところを見せていたが、これは走ると思わせてくれたのは7月23日のCW追い切り。先週の関屋記念に出走したトランキリテを相手に追走して先着、時計は6F81.5秒、3F36.4秒、1F11.5秒をマークした。追わせるタイプの馬のようだが、そういった意味では直線の長い新潟はフィットするはず。鞍上は丸山元気騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)