関屋記念を制したカナテープ(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る関屋記念
【Pick Up】カナテープ:1着
馬主のチャールズ・フィプケ氏はカナダ人の探査地質学者。ダイヤモンド、金、ウランといった幅広い探鉱で財を成し、世界的なサラブレッド事業を展開しています。海外の個人馬主が所有する日本調教馬がJRA重賞を勝ったのは、ベルーガ(オーストラリア人ロバート・アンダーソン氏が所有し、2017年のファンタジーSを制覇)以来となります。
本馬は2019年のセレクトセール当歳でフィプケ氏が購買しました(税抜8400万円)。母ティッカーテープは、アメリカンオークス(米G1・芝10ハロン)とクイーンエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9ハロン)の勝ち馬。カナテープの半弟スカイロケット(父ジャスタウェイ)は芝短距離でオープンクラスに出世しています。
母の父ロイヤルアプローズは、スプリントC(英G1・芝6ハロン)、ミドルパークS(英G1・芝6ハロン)などを制したスピード馬で、2024年に英愛リーディングサイアーとなったダークエンジェルの2代父でもあります。
父ロードカナロアは、アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュなどの父。2025年のJRA重賞勝利数はこれで「10」の大台に乗りました。2位キズナ、3位キタサンブラックをおさえての一番乗りです。総合種牡馬ランキングはキズナが首位ですが、中央のみの集計ではロードカナロアがトップ。昨年に引き続きキズナとロードカナロアのマッチレースの様相となっており、年末まで激しい戦いが続きそうです。
◆血統で振り返る東海S
【Pick Up】ヤマニンウルス:1着
昨年7月のプロキオンS以来、ほぼ1年ぶりの重賞制覇となりました。
兄弟にヤマニンアルリフラ(北九州記念/父イスラボニータ)、ヤマニンアンフィル(北九州記念-4着/父ダイワメジャー)、ヤマニンサンバ(鳴尾記念-4着/父ディープインパクト)を持つ良血。母ヤマニンパピオネは名繁殖牝馬です。
父ジャスタウェイは2014年のワールドベストレースホースランキングで世界ナンバーワンの座についた名馬。レコード勝ちを果たしたドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)をはじめ、天皇賞(秋)、安田記念などを制覇しました。母方がアメリカ血統で構成されているため、配合次第ではパワー型の馬も出しており、マスターフェンサー(重賞4勝、米G1ベルモントS-5着)、テオレーマ(JBCレディスクラシックなど重賞3勝)、ヴェルテックス(名古屋グランプリ)などがダート戦線で活躍しています。
ジャスタウェイ産駒は、ダート1900〜2000mの成績が優れているのですが、母ヤマニンパピオネはミスタープロスペクター4×3にダンジグを併せ持つスプリンター。本馬の1400mに対する対応力は、このスピードの影響が大きいと思われます。