<フェンシング:世界選手権>◇27日◇第6日◇男子エペ個人◇ジョージア・トビリシ
2024年パリ五輪(オリンピック)金メダルの加納虹輝(27=JAL)が、決勝で宿敵シクロシ(ハンガリー)を延長戦の末に10−9で破り、この種目で男女を通じて日本勢初となる優勝を遂げた。五輪、アジア選手権、グランプリ(GP)大会とワールドカップ(W杯)を合わせた主要国際大会「5冠」を完全制覇した初めての日本人となり、SNSで「応援ありがとうございました! これで5大会ある全ての国際大会で優勝を達成しました!」と充実の報告をした。
世界ランキング2位で迎えた加納は、パリ五輪で日本勢「個人初」となる金メダルに輝いた剣士。24年7月28日(日本時間29日)から、ほぼ1年後の25年7月27日(同28日)に、世界で最も層が厚い種目と言われるエペで、またも新たな歴史を刻んだ。
日本のレベルの高さを証明するように、チームメートを連破する道を歩んだ。準々決勝で古俣聖(本間組)を15−11で退け、準決勝では山田優(SAGAスポーツピラミッド/中野建設)に15−8で勝った。前者はパリ五輪の団体で銀メダル、後者は21年東京五輪の団体で日本史上初の金メダル、パリ銀のメンバーで、仲間の思いも背負って決勝の舞台に進んだ。
そのファイナルでは、パリの団体決勝で最後の1ポイントを取られて金を阻まれたシクロシを相手に、大接戦。序盤にリードされたものの7−7に追いつき、シーソーゲームの末に延長戦へ。次にポイントを奪った方が王者となる運命の一本勝負を制した。勝った瞬間、ほえて拳を握り、坂本圭右と熱く抱擁して達成感を爆発させた。
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全身が有効面となるエペでは、男女を通じてエペの世界選手権では初となる制覇。男子フルーレで08年北京五輪個人銀、続く12年ロンドン五輪で団体銀のレジェンド太田雄貴氏からもX(旧ツイッター)で「本当に快挙なんです」と祝福された。
表彰式の後、加納は日本協会を通じ「今シーズンはメダルがなかなか取れず、悔しい思いをしてきましたが、最後に一番大きな試合で優勝することができて、うれしい反面、ホッとした気持ちもあります」とコメント。続けて「この調子で団体戦も優勝したいと思います」と大会2冠も見据えた。
○…個人戦は3位決定戦がないため、山田は銅メダル。加納とともに、世界選手権で初の個人メダルをつかんだ。女子サーブル個人では、世界女王の江村美咲(立飛ホールディングス)が3回戦で敗れて3連覇を逃す波乱があった。
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