画像提供:マイナビニュースマンションリサーチは、ホームローンドクター代表取締役 淡河範明氏への聞き取り調査による住宅ローン金利の推移の予測と、マンションリサーチ保有データを用いて中古マンション市場の現況について調査しました。
近年、日本の不動産市場における最大の注目ポイントの一つは、東京都を中心とした一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)における中古マンション市場の動向です。特にコロナ禍以降の数年間は、超低金利政策や都市回帰の動き、そしてリモートワークの普及など、複数の要因が重なり合い、首都圏全体のマンション価格は上昇基調を続けてきました。
しかし、ここに来て一都三県の市場に明確な「二極化」の兆しが表れ始めています。
中古マンションの成約坪単価の推移をみると、その動きは顕著です。東京都は依然として力強い価格上昇トレンドを維持しており、高値圏での取引が続いています。特に東京都心3区(千代田区・中央区・港区)をはじめとする都心部では、需要が一段と強まっており、過熱感すら漂っています。
一方で、神奈川県・埼玉県・千葉県では、状況が異なります。これらの県では、2024年初頭を境に、実に10年以上にわたって続いてきた上昇トレンドがやや鈍化し、現在では横ばいまたは微減傾向へと転じつつあるのが実情です。つまり、東京都とそれ以外の三県では、不動産市場の温度感に大きな差が出てきているというわけです。
この分岐をより具体的に示すデータの一つが、「販売日数」と「値下げの回数」の推移です。
一都三県の中古マンションの販売における実態を時系列を可視化しました。ここで重要なのは、「販売日数」が短ければ短いほど、物件の流動性が高く、すなわち購入需要が強いことを示す点です。また「値下げの回数」が少なければ、それは売主が強気の価格設定をしている、すなわち価格交渉の余地が少ない状況を意味します。
この二つの指標で見ると、東京都では「販売日数の短縮」と「値下げ回数の減少」が同時進行しています。つまり、市場に出された物件はすぐに売れ、しかも売主は高い価格で成約に至っているというわけです。これこそが、東京都の中古マンション市場が現在も高い購入意欲に支えられており、需給バランスが売主優位にある証拠といえるでしょう。
対照的に、神奈川県・埼玉県・千葉県においては、2023年以降、「販売日数」がやや伸び、「値下げ回数」も微増する傾向が見られました。現在ではそれらは横ばいで推移していますが、これは明らかに、購入者側の勢いがやや落ち着き、売主側も強気一辺倒では売却が難しくなっているという構造変化を示しています。つまり、需給のバランスが緩やかに買い手寄りにシフトしているのです。
金利を引き上げた金融機関はなく、金利を引き下げたのはSBI新生銀行と楽天銀行の2行でした。特にSBI新生銀行は、休止していたキャンペーンを再開し、金利競争に再び参入した様子です。現在、金利競争の最前線は0.5%前後となっており、DH住宅ローン指数と比較しても非常に低い水準です。中でも、UI銀行や宮崎銀行といった地方銀行が積極的に競争を展開しています。
一方、楽天銀行は市場金利の動向に連動して細かく調整を行っており、従来どおりの「平常運転」といった印象です。全体として、金融機関の姿勢は様子見が中心となっており、変動金利に大きな動きは見られません。
日銀の総裁も、政策金利の引き上げは「当面見送る」との見解を示しており、市場のコンセンサスもこれに沿っています。ただし、「関税の影響による景気悪化が後半にどの程度出るかを確認し、物価動向次第で利上げを判断する」という旨を述べており、将来的な金利上昇圧力の可能性は依然として存在します。
さらに、今月の参議院選挙において自公連立政権が衆参両院で過半数を割ったこともあり、政権運営や経済政策の行方に不透明感が増している状況です。今後の景気動向に注目が集まっています。
今月のDH住宅ローン指数における10年固定金利は1.680%と、前月の1.818%から大きく引き下げられました。しかし、1年前の1.288%と比べると依然として高く、全体的には金利の上昇局面にあると見られます。
定点観測対象の13金融機関のうち、8社が金利を引き下げ、4社が引き上げ、1社は据え置きでした。先月は金利を上方修正する動きが目立ちましたが、今月はその反動で一部金融機関が金利を引き下げたとも言えるでしょう。
全期間固定型金利は、変動金利と比較して割高感があることから、これまで敬遠される傾向がありました。しかし、変動金利の本格的な上昇が見え始めたことで、ようやく全期間固定を選択する人も増えつつあります。それでもなお、変動金利が多数派である状況は続いており、今後は「変動+固定」のミックスプランを選ぶ人が増えることも予想されます。
今月のDH住宅ローン指数による全期間固定金利は2.321%で、前月の2.429%からは下落しました。これは国内の金利低下をそのまま反映した形ですが、1年前の1.984%からは上昇が続いており、長期的には依然として上昇トレンドにあります。
調査対象となった14行のうち、3行と「フラット35」のすべてが金利を引き下げた一方で、2行が金利を引き上げました。(上和田美紅)