天下一品「こってり」のスープを飲み干したい…そんな欲求にこたえる「サイドメニュー2品」

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2025年07月29日 16:21  日刊SPA!

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こってりの大(1130円)、チャーハンの大(750円)、キムチ(180円)
6月30日、都圏内の天下一品が大量閉店。首都圏に展開する店舗の3割近くが姿を消した。
天下一品とは、1971年に京都で創業した、鶏がらベースのドロドロとしたこってりスープで人気のラーメンチェーン。都内のターミナル駅にはだいたい進出していたが、渋谷店、新宿西口店、池袋西口店、田町店、目黒店、吉祥寺店、蒲田店、川崎店、大船店、大宮東口店の10店舗が閉店した。

◆ラーメン好きではないものの、“天一”は別格

筆者の最寄りである吉祥寺店も閉店してしまった。コロナ禍になる前は深夜2時頃まで営業しており、飲み会の帰りにシメのラーメンを食べることができた。また、毎年10月1日の「天下一品の日(天一の日)」には欠かさず並んでいた。

なぜなら、この日にラーメンを注文すれば、次回使えるラーメン並盛りの無料クーポン券がもらえるからだ。

というか、筆者はラーメンが特別好きというわけではない。サービスエリアでラーメン、そば、うどんの中から選ぶとすれば、うどんかそば(冷)を頼む。おそらく、九州というとんこつラーメンゾーンで育ってきたため、しょうゆや味噌をラーメンとして認識できないのだ。

しかし、天下一品のポタージュのようなスープは別格。この重厚感こそ、ラーメンに求めているものである。

◆いざ、閉店直前の吉祥寺店へ

確かに、2024年に歌舞伎町店が突如閉店したとき、違和感を覚えるべきだった。中学生のときに『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「天下一品芸人」を見て以来、虜になったラーメン屋が、いとも簡単になくなったのだから。まぁ、ひとりの消費者が何かできたわけではないが……。

とはいっても、もし定期的に2000円分食べていたら、どうなっていただろうか? 吉祥寺店が閉店する数日前に食べに行った。

まず、チェーン店ではあるが注意してほしいのは、天下一品はフランチャイズであるという点だ。店によってメニューが異なる。筆者が訪れた吉祥寺店には、唐揚げと餃子がなかった。

もっとも筆者には決まった頼み方がある。それが、こってりの大(1130円)、チャーハンの大(750円)、キムチ(180円)である。合計2060円。

◆「屋台の味」の物足りなさが覚えているからこそ…

まず、スープは「こってり」。これは譲れない。かつて、10月1日にこってりを食べ、翌日は胃もたれを気にして「屋台の味」を注文したこともあったが、そのとき味わった物足りなさは忘れられない。

そのため、こってり以外は注文できなくなったのだが、ラーメン単体でドロドロスープを飲み干すのは至難の業……。

「スープは残してもいいだろ」

話はそれるが、この記事に対してきっと上記のようなコメントが付くだろう。だが、そいつは素人だ。天下一品のラーメンどんぶりの底近くには、「明日もお待ちしてます。」という文字が書かれている。これを拝まなければ、天下一品を食べた気がしない。もちろん、飲み干したからといって、何か特典があるわけではない。

◆どうやってスープを飲み干すべきか

なにはともあれ、ドロドロスープを飲み干すためには「チェイサー」が必要だ。それが、チャーハンである。

多くの店で推奨されているのは、こってりラーメンとライスの組み合わせである。そういうセットもあるし、なんだったらたくあんもついてくる。いわゆるラーメンライスは美味しいのだが、筆者は天下一品のこってりスープには白米よりチャーハンのほうが合うと思っている。

それぞれを個別に食べるのではなく、ラーメンをすすり、チャーハンをレンゲですくってスープに浸して食べるのだ。これが抜群に美味しいのである。

「こってりスープに浸して食べるなら白米でいいだろ」

そうではない。チャーハンでなければならないのだ。というのも、水分量の多い白米よりも、パラパラのチャーハンのほうがスープとよく絡む。それに、こってりスープに負けず劣らず、チャーハンの主張も強く、スープと一緒に食べていても、卵やコショウの味がしっかり感じられるのだ。

つまり、麺だけでなくチャーハンを追加することで、こってりスープを二度楽しめるというわけである。なお、「チャーハン定食」もあるが、それぞれを大で注文したいので、それは5年ほど前に卒業した。

その結果、チャーハンを頼むとスープが付いてくるようになった。これはこってりだけでなく、「あっさり」に変更することもできる。

◆「味変」に欠かせないキムチ。必ず注文する

ラーメンのスープもこってりなのだから、せめて付け合わせのスープではあっさり味を楽しみたいと思っているのだが、なぜか毎回、気づけばこってりスープがやってくる。その選択は券売機で行うのだが、もはや筆者の右の人差し指は「こってり」しか押さなくなってしまったようだ。意図的ではない。本当だ。信じてほしい。ただ、正直に言えばあっさり風の味ならヨソでも食べられる。

実は付け合わせのスープはこってりとはいえ、ラーメンのこってりスープとは異なり、少しあっさり目なのだ。これも本当だ。信じてほしい。その微妙な味の変化を楽しむのも面白い。

そして、「味変」に欠かせないのがキムチである。まさか、こってりスープと酸っぱ辛いキムチが合うとは思わなかったが、京都の本店で試したところ非常に美味しく、それ以降は必ず注文している。

残念なことに天下一品吉祥寺店はなくなったが、中野や立川に行けば、まだ店舗はある。だから、悲しむことはない。いつでも、天下一品のこってりスープは食べられるのだ。

そんなことを思いながら、食後に吉祥寺オデヲンで映画『国宝』を観た。糖尿病が恐ろしくなった。

【今回の摂取カロリー:1534kcal】

<TEXT/千駄木雄大>

【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある

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