EXILE CUP 2025 中国大会を制した総社北サッカークラブ [写真]=三村 諒 株式会社LDH JAPANが主催する小学4年生〜6年生を対象としたフットサル大会『EXILE CUP 2025』の中国大会が7月20日、広島県広島市の内外工業いくえい会 観音新町運動広場で開催された。
『EXILE CUP』は〈Dreams for Children〉をテーマに社会貢献活動の一環として2010年にスタートし、今年で13回目の開催。中国大会は地元の広島県から19チーム、山口県から9チーム、岡山県から5チーム、島根県から3チームの計36チームが参戦し、優勝チームには愛媛県今治市で行われる決勝大会の出場権が与えられる。
開会式では、橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)が、「日頃から一緒に切磋琢磨している仲間といろんなことを分かち合いながら、監督や保護者のみなさん、日々支えてもらっている方々に感謝の気持ちを持って頑張ってほしいです」と挨拶。ゲストのEXILE NESMITHさんも、「夏休みが始まってすぐの思い出になるように、今日は最高のパフォーマンスで頑張ってください」と呼びかけた。
選手たちは試合が始まる前にEXILE TETSUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」でウォーミングアップ。会場は島々が浮かぶ広島湾を臨む場所にあり、「海と山に囲まれて、すごく気持ちがいい場所」(橘さん)というピッチで、暑い日差しと穏やかな海風の中、選手たちの戦いが幕を開けた。
予選リーグは4チームごとの9ブロックに分かれ、7分ハーフの試合で総当たり戦を実施。各ブロック1位の9チームと各ブロック2位の成績上位7チームの計16チームが決勝トーナメントに進出する。その中でも強さを見せたチームのひとつが2023年優勝の福山ローザス・セレソン(広島県福山市)だ。今大会も個の技術や連係力の高さが光り、3試合で最多22得点と圧倒的な強さで首位通過を決めた。二井岡秀敏監督は、「大事にしているのは前線からしっかりボールを奪いに行くことで、強いプレスをかけることがウチの一番のモットーなので、奪ってからの速攻は意識しています」と強さの秘訣を話した。
その他、昨年王者の山口サッカースクール(山口県山口市)、2023年準優勝のFCリベルダーデ山口(山口県周南市)、女子チームのAIC広島F・Doレディース(広島県広島市)なども予選を突破。決勝トーナメントには、広島県の7チーム、山口県の4チーム、岡山県の3チーム、島根県の2チームが進出した。
決勝トーナメントは5分ハーフで行われ、福山ローザス・セレソンは初戦で2016年優勝の浦安フットボールクラブ(岡山県岡山市)と対戦。主導権を握って攻めたが、予選を無失点で全勝した浦安フットボールクラブの粘り強い守備に苦戦してスコアレスに終わり、PK戦の末にベスト16敗退となった。
堅守で勝ち進んだ浦安フットボールクラブは準々決勝でFC高禅寺ジュニア(島根県太田市)に5−0で快勝。続く準決勝では、昨年王者の山口サッカースクールを破って勝ち上がってきたCUORE(山口県岩国市)と対戦した。1点リードで試合を優位に進めていたが、大会を通じて粘り強さを見せていたCUOREにラストプレーで同点弾を決められ今大会初失点。それでもPK戦を制して9年ぶりに決勝へ駒を進めた。
反対側の山では、2019年に準優勝した総社北サッカークラブ(岡山県総社市)が尾道東SANBAフットボールクラブA(広島県尾道市)に4−1で勝利してベスト8に進出。準々決勝ではFC Marvos 広島(広島県東広島市)に2−1の逆転勝利を収めると、準決勝のアヴァンサールFC(岡山県赤磐市)戦でも1点ビハインドから追いつき、最後は10番・緒方陽音くんが「思いっきり枠に飛ばすように蹴った」という豪快なシュートを叩き込んで2−1の逆転勝利。立て続けの接戦を勝ち抜いて、2019年以来2度目の決勝進出を果たした。
決勝戦はお互いをよく知る岡山勢対決。再び7分ハーフで行われた試合は、総社北サッカークラブが先手を取った。最初のプレーで左サイドを持ち上がったキャプテンの清水瑛大くんが「自分で決めて勝ちたい思いがあったので振り抜いた」と得意の左足シュートを突き刺し、作戦どおりの奇襲攻撃に成功。その3分後にもゴール前で粘って最後は橋本賢人くんが大きな追加点を挙げ、前半のうちに2点のリードを奪った。
後半は追いつきたい浦安フットボールクラブが立ち上がりから攻勢を強めたが、大会を勝ち抜いてきた選手たちには疲れが見えて反撃も実らず。逆に2得点で勢いづいた総社北サッカークラブは、前線で体を張り続けた10番の緒方くんを中心に最後まで強度を落とさず、相手の猛攻を耐え抜いて2−0の勝利。悲願の初優勝を飾った。
2度目の決勝で優勝を果たした総社北サッカークラブの森田大志監督は、「感無量でそれ以外の言葉が見つかりません」と喜び、「パワフルさがウチの売りで、選手たちは最後までしっかりパワーを出し切ってくれました。ウチは雑草魂を持って、みんなの力で勝つようなチームなので、そこはもう子どもたちを褒めてやりたいです」とチームを称えた。
準優勝に終わった浦安フットボールクラブの赤坂一也監督は、「ここまで勝ち上がってこられたのは子どもたちのおかげです」とチームの健闘を称え、「この子たちはいつもなら試合で勝っても平気な感じだけど、今日はやっぱり決勝で負けて悔しさが出ているので、これからもっとレベルを上げていけると思います。そのときはまた総社と戦いたいです」とリベンジを誓った。
総社北サッカークラブは9月に愛媛県今治市で開催される決勝大会への進出が決定。クラブとしても初めて自力で全国大会の切符を勝ち取る快挙となった。森田監督は「夢は大きく、全国優勝を狙って継続して頑張っていきたいです」と意気込み、キャプテンの清水くんは「優勝できるとは思っていなかったのですごくうれしいです。全国は初めてで、強いチームもたくさんいるけど、勝ち進めるように頑張りたいです」と笑顔で話した。緒方くんも「ここで終わったわけじゃないから、全国大会でも良い成績を残せるように頑張りたいです」と力を込めた。
大会を見守った橘さんは、「毎回そうですけど、いろんなドラマが生まれて、決勝まで目が釘付けになってしまう場面が多く、子どもたちのサッカーを愛する純粋な気持ちはすごいなと改めて感じた1日でした」と振り返り、「勝ったチームはさらに高みを目指してほしいですし、負けたチームもその悔しさを忘れないでほしいです。今後の人生でも仲間と一緒になってひとつの目標に向かうことはあると思うので、この年代からサッカーを通してそういうものを感覚的に身につけていってほしいです」と選手たちにエールを送った。
NESMITHさんは、「印象的だったのは、男女分け隔てない混合チームや、女の子だけのチームが好成績を残していたこと。フィジカルコンタクトが多いスポーツの中で、子どもたちが性別を超えて戦っている姿にすごく感心しました。僕自身は子どもの頃にここまで熱くのめり込んで、仲間と一緒に戦うような経験はできていなかったので、今日のみんなはすごく輝いて見えました。この大会が、彼らのこれからの人生の糧になる経験になっていたらうれしいです」と話した。
戦後80年を迎えた広島市での開催となった今年の中国大会は、スポーツに打ち込む子どもたちの元気な姿であふれる1日となった。橘さんは「僕らはエンタメを通して人々に元気や笑顔を与えたい、日本を元気にしたいというテーマで活動していて、こういった社会貢献活動においてもアーティストが現地に行かせてもらって、いろんな方々と触れ合って、もっと地域を応援していく活動をしていきたいという思いがずっとあります。広島には悲しい過去もあるけど、そういうところにも僕らが足繁く通わせていただいて、今を生きる人たちが夢と希望に満ちあふれた思い出を積み重ねていけるよう、活動を続けていきたいと思います」と今後の継続した社会貢献活動への力強い言葉で大会を締め括った。
文=湊 昂大 写真=三村 諒