「無印良品の家」ブランドを展開するMUJI HOUSEは7月30日、東京・銀座に新たにオープンする「無印良品のリノベーション 銀座店」で、新商品「MUJI INFILL FLAT」を発表した。新築マンション価格の高騰が続く中、「中古+フルリノベーション」という選択肢を提示し、特に50〜60代の顧客層をターゲットに攻勢をかける。
【写真5枚】生活空間のノイズを極限まで排除。「MUJI INFILL FLAT」をじっくり見る
新商品の「MUJI INFILL FLAT」は、50〜60代の顧客層をメインターゲットとし、「生活空間のノイズを極限まで抑えたデザイン」と「新築マンションの基準を超える断熱性能(ZEH水準)」を標準仕様とする点を特徴としている。
リノベーション事業本部の豊田輝人本部長は、住宅市場が大きな転換期にあると指摘。「2020年には93万円だった首都圏の新築マンションの平米単価が、2025年6月には136万円と約1.5倍になっている」とし、70平米換算では中古と新築で価格に約3000万円の差が開いているとした。
一方でMUJI HOUSEの独自調査によると、「都会に住みたい」と回答する人が半数以上を占めており、都市部での居住ニーズは依然として高い。豊田氏は「中古マンションを買ってリノベーションするということが、大きな関心を集めている」と語り、住宅再生関連市場が2030年には12.7兆円に拡大するという見通しを示した。
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●「INFILL ZERO」の成功と50代以上の存在感
MUJI HOUSEは2015年より「MUJI INFILL ZERO」を展開し、特に近年は契約数が急伸しており、2024年には2021年比で220%となったという。
成長を牽引(けんいん)しているのは、50代以上の顧客層の増加と、彼らのデザインや仕様への高いこだわりだ。豊田氏は「50代以上の契約者が増えており、デザインや仕様への要望が平均工事価格を引き上げている。それを踏まえて今回の新商品を開発した」と背景を説明した。
設計施工部の萬田浩太郎部長は、「素材や空間ではなく、お客さまの暮らしが主役」と、住む人の暮らしを最優先に設計していると説明。「暮らしを引き立てる壁」「生活感をなくす『隠す収納』」「ノイズのないディテールと素材」などを特徴として挙げた。
価格(リノベーション工事費)は66平米の物件で「INFILL ZERO」が1265万円、「INFILL FLAT」が1562万円と約300万円の差がある。豊田氏は「性能面を含めた商品性を考えると価格には妥当性がある」と説明。素材や色の限定によってコストを抑える工夫も施しているという。
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MUJI HOUSEは、今後3年間で契約数を現状の2倍に増やすことを目標に掲げている。その中で「MUJI INFILL FLAT」は全体の4割を占めることを見込む。
新築マンションの価格上昇が続くなか、MUJI HOUSEのリノベーション事業は、単なる改修ではなく、性能とデザインを兼ね備えた「暮らしの選択肢」を提示している。「MUJI INFILL FLAT」は、成熟世代に向けた「上質な暮らし」の提供を通じて、住宅市場での存在感を一層高めそうだ。
【お詫びと訂正:2025年7月30日午後14時23分の初出で、「MUJI INFILL ZERO」の契約実績について誤りがありました。7月30日午後5時56分、該当箇所を削除いたしました。お詫びして訂正いたします。】
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