<阪神5−0広島>◇30日◇甲子園
満員の甲子園はどんな僅差でも“押せ押せ”のムードを作ってくれる。阪神が前日の1−0勝利に続く、今季23度目の無失点勝ち。最強投手陣への信頼感は94試合目にして完全に極まった。
まだ7月。首位を独走する阪神にマジック39が点灯した。チーム一丸となって1つのアウトを積み重ねてきた結晶だ。藤川監督はマジック点灯を「全く知らなかった」と笑い飛ばし、「ファンの皆さんにどんどん盛り上がっていただいて。自分たちは現場で精いっぱい戦っていきます」と柔らかな笑みを浮かべた。
先発の村上が役目を果たした。6回を無失点。「球数がかかって、ピンチばかりでしんどかったけど、野手の方に守ってもらってのゼロなので良かった。試合の中でいろいろしながら修正できたのはプラスだと思う」と謙虚に語った。3者凡退は3回の1度だけだが、走者を出してからの投げミスが少ない。2回1死満塁では秋山を緩い遊撃ライナーに打ち取り、飛び出した走者も仕留めて併殺で切り抜けた。
7回からは及川、石井、桐敷が「0」をつないだ。思うように点を取れなくても、相手に本塁を踏ませず、負けない展開にもっていく。今季の強さを象徴する記念星で4連勝だ。今季最多の貯金22。これでチームは広島戦10連勝となり、8試合を残して年間勝ち越しを決めた。
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攻撃部門だけでなく、投手陣も驚きの数字を並べている。チーム防御率は7月2日から1点台。村上はこの日、防御率1・997と再び「1点台」に下げた。先発ローテで投げる全員が防御率1点台という快挙だ。規定投球回は才木と村上だけだが大竹、伊藤将、デュプランティエ、伊原が開幕から安定。手術から復活した「7人目」の高橋も2連続の好投。各自がベストに近い状態で登板できる態勢が整っている。
8回を抑えた石井は33試合連続無失点でセ・リーグの歴代単独3位に浮上した。「0が正義なので。(マジック点灯に)そうみたいですね。なんぼですか?」と無邪気に笑った。リリーバーとして一時代を築いた藤川監督は今のリリーフ陣を「チームの心臓」と言う。2年ぶり栄光への長いカウントダウンは始まったばかり。「まだまだ。ビルドアップさせながらというのは必要かなと。どんなことが起こるか分からないから」。どっしりと、阪神らしく歩を進める。【柏原誠】
▼阪神の投手陣は先発も救援も強力だ。先発陣はのべ94人で今季通算防御率が1・99と2点を切る。救援陣はのべ292人で防御率1・77とさらに強力な数字を残す。チーム防御率1・91はもちろん12球団一。7月中のマジック点灯に超強力投手陣が貢献している。
▼阪神○、中日●の結果、阪神に優勝マジック39が点灯した。2位以下で唯一自力Vが残っていた中日は残り全勝で92勝49敗2分け、勝率6割5分2厘。阪神は残り49試合のうち中日戦13試合に敗れても他カードで全勝すると93勝48敗2分け、勝率6割6分で上回るため、5球団に自力Vがなくなった。M対象は残り全勝した場合に勝率が6割7分9厘と最も高い巨人で、阪神は巨人戦以外で39勝すれば勝率6割8分1厘となりM39が出た。現日程での最短Vは8月27日。
▼2リーグ制後、7月中のM点灯は24年7月30日ソフトバンク以来11度目。阪神は03、08年に次いで3度目となり、ソフトバンク(南海時代含む)に並び最多。藤川監督は1年目で、新人監督のM点灯日としては24年小久保監督(ソフトバンク)に並び2リーグ制後最速だ。7月中に点灯した過去10チームのうち9チームは優勝しており、唯一のV逸が08年阪神。08年は7月22日にM46が点灯しながら巨人に逆転されたが、今年はこのまま逃げ切るか。
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