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自民党の敗北に終わった2025年の夏の参議院選挙。自民党が“給付のみ”を公約とするなか、多くの政党が消費税の減税を公約に戦った選挙でもあった。
各党の思惑が複雑に絡み合い、どのような結論を見いだすかはまだ判然としないが、各党の公約によって生活費の負担がどのくらい減るのだろうか。
ファイナンシャルプランナーの内山貴博さんに、総務省が発表する最新の家計調査をもとに、国民民主などの「消費税一律5%案」と、立憲民主・維新の「食料品のみ0%案」がそれぞれ実現した場合の、50代、60代、70代以上の夫婦世帯の負担減額を試算してもらった。
まず、国民民主や共産党が公約とする消費税一律5%となると、消費支出は50代夫婦世帯の場合、年間15万7008円減、60代夫婦の場合、年間で14万3664円減、70代以上で年間11万3784円減となった。
立憲民主や維新が掲げる食品のみ0%となると、50代夫婦は年間6万2304円減、60代夫婦は年間6万2340円減、70代以上夫婦で年間6万768円減というインパクトに欠ける結果に。ただし、立憲民主党は、減税されるまでに1人2万円の給付金も出すことを公約している。
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「各党案を並べてみると、自公の給付金のみというのはだいぶ見劣りすること、また消費税がいかに大きな負担になっているのかわかってきます」(内山さん)
しかし、消費税の減税が実現できても手放しでは喜べないというのは、関東学院大学経済学部教授の島澤諭さんだ。
「消費減税ともなれば、それに見合う財源が必要になります。本来、消費減税を公約とするのなら、社会保障の給付削減や自己負担の引き上げなどが議論の俎上に上るべきです。
金融所得課税の見直しも候補とされていますが、現在、見送られている社会保障の給付削減案も、今後は議論されていく可能性はあります」
生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんも同意見だ。
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「高額療養費制度の上限額が見送りになっています。1カ月の医療費が高額となった場合、所得に応じた上限額を設け、超えた分は返金される制度ですが、年収770万円ほどの人で上限額を約2万円上げることが検討されていました。同様に国民年金の加入期間を5年延長する案も見送りになっています。5年延長となれば、支払う保険料が105万円ほど増えます。
高齢者の医療費2割負担、3割負担の対象者を拡大したり、生命保険控除の見直しなども議論されるかもしれません」
消費税減税が行われても別の負担が増えれば意味がない。手取りが増える“本当の減税”が望まれる。
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