さや氏、蓮舫氏が参院選中に指摘された公選法への抵触疑惑…それでも“当選無効”にならない理由《専門家が解説》

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2025年07月31日 11:10  web女性自身

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7月20日の投開票からまもなく2週間を迎えようとしている参院選だが、いまだにXでは「当選無効」がトレンドに入るなど余波が続いているーー。



というのも、選挙期間中にSNS上で“公職選挙法”への抵触が指摘された当選議員が2人いる。1人目は東京選挙区から出馬して2位当選を果たした参政党のさや氏(本名:塩入清香氏・43)だ。



7月11日、参政党を「推しの党」だという新宿・歌舞伎町のあるホストクラブがSNS上で《投票済証明書が初回無料引換券に》というキャンペーンを告知したが、投票用紙の選挙区には「さや」、比例代表には「参政党」と、それぞれ記した記入例の写真が添えられていた。これに対し、さや氏は同日、《感謝で一杯です!!みんなの思いを無駄にしないよう精一杯頑張ります》とリプライした。



これが公職選挙法で禁止されている“買収”にあたるのではないかという指摘が殺到。さや氏は翌12日、《私の認識と配慮が足りなかったことにより、投票に関する投稿へ感謝のコメントをしてしまい、結果として不適切な形となってしまいました》などと謝罪し、当該投稿を削除。参政党も公式Xで、《【お詫び】 参議院選挙 東京選挙区さや候補の投稿につきまして、不適切な内容が含まれていたことを深くお詫び申し上げます。候補者の認識不足により、公選法に抵触する可能性のある投稿へ投票への感謝に対するコメントを行ってしまいました》と謝罪している。



もう1人が、’24年の東京都知事選に立候補するも3位に終わり、国政から距離を置いていたが、今回立憲民主党から比例代表で出馬して当選を果たした蓮舫氏(57)だ。



蓮舫氏は投開票日の20日、「【れんほう】2枚目の投票用紙!」という選挙期間中から使っていたアカウント名でXに《おはようございます!夏空、広がってますね》と、自身の写真を投稿していた。



蓮舫氏はその後、アカウント名を「れんほう 蓮舫」に変更したものの、実は「2枚目の投票用紙」の文言が、投開票日当日の”選挙運動”を禁じている公職選挙法に違反しているのではないかと指摘する声が殺到していた。蓮舫氏は、当選確定後に「ただ単に不注意です」と釈明した。



物議を醸している両者の”公職選挙法抵触疑惑”。これまでも、SNS上で公選法違反を指摘された議員などは多数いたが、それでも具体的に当選無効や逮捕に至った例はあまり見たことがない。そもそも逮捕されるケースはどのような場合だろうか。



『政治資金規正法 政治活動と民主主義のルールブック』(中央公論新社)の著者で、早稲田リーガルコモンズ法律事務所の竹内彰志弁護士によると「証拠隠滅の疑いがある場合」だという。



「まず、逮捕されるというのは、”証拠を隠す”とか”口裏を合わせる”などをしている疑いがあるときに逮捕ということになります。やったことそのものというよりも、証拠隠滅のリスクがあるかどうかが1つ基準になっています。事件の性質にもよりますが、証拠となるやり取りを消してしまったり、あるいは関係者で口裏を合わせているという疑いがあるような場合は、身体拘束されるリスクが高まるということです。



警察や検察庁が逮捕した方がいいと判断した場合は、裁判所に対して令状を請求して、裁判所が逮捕することを許可すれば、警察だったり検察庁が逮捕するという流れになります」



では、逮捕までは至らずとも、警察や検察が公職選挙法違反で”立件”の判断をするのはどのレベルからだろうか。



「事案の性質上悪質であるとか、違法性を認識してやっているなど、数多くの公職選挙法違反事例の中でも特に問題だと考えているものについては”起訴”に向けて動いていくということになります。ただ、公職選挙法の場合、特殊なのは”警告”という制度があることです。



例えば、選挙期間ではない時期に選挙運動をする、”証紙ビラ”のように選挙期間に配れるもの以外を配るなど、有罪にした例もありますが、それなりの数は”警告”という形で終わっています」



選挙が終わると各都道府県の警察が”警告”の件数などの取締状況を発表している。例えば、今回の参院選で警視庁は選挙違反の疑いがあるとして13件の”警告”を出したといい、内容としては、街頭演説で禁止された場所に「のぼり旗」を立てた、認められていない方法でビラを配るなどが該当した。



「この”警告”というのは、これ以上捜査することはないけれど、警察が把握した範囲で”よろしくない”ということで警告しているわけです。つまり”警告を受ける”ということは公職選挙法違反が”疑わしい”ということを意味します。



ただ、実際に有罪・無罪を決めるのは裁判所ですし、起訴するしないを決めるのは検察官なので、ある意味、警察が自主的な範囲で問題だと思ったことを指摘するのが”警告”です。なので、実際には”警告”で終わらせている事例が多いんですよね」



では、さや氏のケースは”警告”程度に該当するだろうか。



「例えば、”選挙割り”のように投票率を上げるためにタイアップしているのであれば問題ないですが、特定候補に対する投票での”割り引き”などは、特定の人の投票の対価として経済的な価値を提供することになるので、”有権者買収”に当たるわけですよね。



ただ、本人がどう意図していたのか、または候補者本人のアカウントを候補者だけが動かしているとは限らず、スタッフの誰かが投稿したのかなど、事実関係がわかっていないのでなんとも言えませんが、一方で『全く意図しておらず不注意でした、すみません』ってことになれば、『注意してね』という話にはなるかもしれませんが、その段階でそれ以上警察が動くこともあまり考えられないのかなと思います」



同様の理由で、蓮舫氏に対しても警察が動くことはなさそうだという。



一方で、近年では’23年に東京都江東区長選をめぐる事件で、公職選挙法違反(買収、有料ネット広告)の疑いで柿沢未途前法務副大臣(54)は逮捕、木村弥生前区長(59)は在宅起訴されている。ともに’24年に有罪判決を受けている。



柿沢前議員は同年4月の江東区長選で、木村前区長を当選させる選挙運動の報酬として、区議や陣営スタッフら10人に計約280万円の買収資金を提供したり、提供を申し出るなどの”買収”を行ったほか、区長選の期間中に前区長への投票を呼びかける”有料インターネット広告”を約38万円でYouTubeに掲載するなどした。



起訴にまで至る線引きは”金銭”が関係しそうだがーー。



「まさにその通りで、形式的な文章の 違反って、特にインターネットを使った選挙運動はまだなかなか定着していないところもあるので、何がいい悪いというのがまだ固まってないところがあるんですね。



それに比べて、投票してもらうために運動してる人にお金を渡すのは”運動員買収”だし、有権者の人に投票してもらう代わりにお金を渡すのは”有権者買収”になりますが、”買収”は非常に重いんです。”買収”になってくると、それはもう捜査機関としてもしっかり捜査をして起訴することは十分あると思うし、それを受けて裁判所が有罪だと判断することも十分あり得ると思います」



ネットで指摘されているようなSNS利用におけるさや氏や蓮舫氏のケースは「現状では」ケアレスミスということになりそうだ。そんななか、SNS時代の選挙では”インターネット広告”には注意が必要だと竹内弁護士は指摘する。



「インターネット広告は、政党や政党支部であれば出せますが、候補者個人はインターネット広告を選挙運動期間中は出せません。まさに”費用”がかかる話になるので。



候補者なり陣営の”ケアレスミス”というのは、広告ではなく、単純に自分で運用してるアカウントのミスというレベルなんですが、候補者が選挙期間中にインターネット広告を出したとなると、それは問題にされる可能性は高まります」



”費用をかけて行う運動”や、本来お金をかけてはいけないところに”お金をかける”という点が「公職選挙法上では重く捉えられている」という。



「それはなぜかというと、要は、選挙期間で掲示できるポスターの数や、配ることができるビラの数が制限されているのは、金銭力のある人がどんどん運動ができると困るから、同じ条件の範囲でやろうよっていうのが基本的な選挙の考え方です。なので、そういった”お金にまつわる規定”を守らなかった場合というのは、やはり1番重たいのです。これは当選しても、当選しなくても関係ありません」



とはいえ、いかなる候補者もケアレスミスがないように注意してほしいものだが。

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